アルゴが私たちに新たな地球観を教えてくれる

研究成果の解説

海洋の中深層で観測された水温の四季変化

日本をはじめとする中緯度帯では、春夏秋冬の四季がはっきりしています。これは太陽高度の変化による日射の強弱によって引き起こされます。海洋表層でも、日射による海水の加熱、あるいは風の強化による冷却などによる水温変化が、四季を生んでいます。そういった日射や風の影響が小さい中深層では、一部の特殊な海域を除いて殆ど季節変化がないと考えられていました。全球アルゴ観測網が整備されることにより、2000mまでの水温変動をくまなく調べることが出来るようになりました。アルゴフロートの水温変化(WMOID:5900292、北緯15度、西経165度付近)を調べたところ、表層付近に見られる高温(暖色系)・低温(寒色系)の四季サイクルが、1000mを超える中深層にもはっきり現れていることがわかりました。これは主に風の季節変動が中深層にも伝わって引き起こされ、それが波(1年周期Rossby波と呼ばれます)となって海洋内部を西に伝播することが原因です。


出展:Hosoda, S., S. Minato, and N. Shikama (2006), Seasonal Temperature Variation below the Thermocline Detected by Argo Floats, Geophys.Res.Letters, 33(13), L13604, doi:10.1029/2006GL026070.

図1:15N,165W付近で投入・観測を行ったアルゴフロート(WMOID:5900292)。黒線は水温、色は各深度における3年間の平均値からの差を表し、寒色系が低温、暖色系が高温を示す。約3年間の観測中、各層で毎年寒暖を繰り返していることがわかる。 図2:10Nにおける2002年~2005年にかけての水温偏差の時系列。偏差は3年間の平均水温に基づく。東から西に向かって偏差が伝播している様子がみられる。