アルゴが私たちに新たな地球観を教えてくれる

研究成果の解説

気候変動研究のための海洋環境再現に大きな寄与をするアルゴフロートデータ

数年から数10年規模の時間スケールを持つ気候変動には海洋内部の変動が重要な役割を果たしていることが知られています。気候変動の研究を進めるために20世紀後半から国際的な連携の下、大規模な海洋観測がさまざまな測器を使って実施されています。それと並行してそれぞれのデータが持つ優位性をうまく引き出して気候変動研究を進めるためにデータ統合の研究が盛んになってきました。21世紀に入ってからはArgoフロートの全球展開により亜表層観測の空白域が劇的に減り統合データセットの精度が大きく向上しています(図1)。JAMSTECではArgoフロートデータを含む利用可能な海洋観測データを使って海洋環境再現データセットを作成しています(Estimated STate of global Ocean for Climate research: ESTOC)。ESTOCはhttp://www.godac.jamstec.go.jp/estoc/j/からどなたでも参照できます(図2)。今後2000mより深い中深層でも同様の観測網が構築されることが期待されます。


出展:Masuda, S., T. Awaji, N. Sugiura, J. P.Matthews, T. Toyoda, Y.Kawai, T. Doi, S. Kouketsu, H. Igarashi, K. Katsumata, H. Uchida, T. Kawano, and M. Fukasawa (2010), Simulated Rapid Warming of Abyssal North Pacific Waters, Science, 329, 319-322, DOI, 10.1126/science.1188703.


Kouketsu, S., T. Doi, T. Kawano, S. Masuda, N. Sugiura, T. Toyoda, H. Igarashi, Y. Kawai, K. Katsumata, H. Uchida, M. Fukasawa, and T. Awaji (2011), Deep ocean heat content changes estimated from observation and reanalysis product and their influence on sea level change, J. Geophys. Res.,116, C03012, doi:10.1029/2010JC006464.


Masuda, S., T. Doi, N. Sugiura, and S. Osafune (2014), Estimated State of Ocean for Climate Research by Using a 4 Dimensional Variatinal Approach (ESTOC), Earth Simulator annual report 2013.

図1:北太平洋北緯47度、西経143度、255m深における水温の時間変化。Argoフロートデータ(青)を統合することで、その他の海洋観測データだけを統合した場合(緑)に比べ、2000年代中心に水温がより修正されている(赤)。 図2:ESTOCの可視化ページの一例