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今日のアルゴ − データの見方 −

トップページにある「今日のアルゴ」では、全球に3500台以上観測中の、10日おきに2000m深まで観測できるアルゴフロートから得られるデータをお見せしています。「今日」、どの大洋のどの海域で、実際にどのようなデータが得られているのか、選りすぐった1台のアルゴフロートからデータを取りだしています。ですが、フロートから得られるデータは、一般の方にはなじみのないものです。
そこで、今日のアルゴで紹介されるそれぞれのデータの見方を紹介します。

「今日のアルゴ」の位置(軌跡図)

アルゴフロートはプロペラやエンジンがついているわけではないので、投入されたら海流に乗って流されるままです。
「位置情報」からは、フロートが投入されてから現在までにどのように流されてきたか、その間の観測点の位置とともに知ることができます。
今日のフロートが、どこで投入され、どこで観測して、どのような軌跡になっているのか観察してみましょう。

アルゴフロートは、海面から2000mまでの水温、塩分、水圧(深度)を計測することができます。
それらの組み合わせの関係から海の中の状況を知ることができます。
その関係を1つ1つ見ていきましょう。

「今日のアルゴ」の水温・塩分・密度

  • 水温VS水圧(深度)です。
    殆どの海域では、海面付近で暖かく、深くなるにつれて冷たくなっています。
    例えば熱帯や夏の日本付近などでは、海面付近が25〜30℃と非常に高温になりますが、
    実は2000m深まで潜ると0℃近くまで冷たくなってしまいます。
    これは、ふつう高温の水は軽いため上の方に、低温の水は重いので下の方に沈む性質を反映しています。この水温の状態は、海域や季節によって異なります。
  • 塩分VS水圧(深度)です。水温との関係とやや違いますね。
    塩分は通常の海では約3~4%の濃度です
    (塩分の単位"PSU"は、おおよそそれを10倍したスケールで示していることになります)。
    実際の海では、その1つ下の桁が変化しますが、そのような小さな変化が様々な海洋現象を引き起こすことがあります。
    この図では、海面付近では36程度,200m付近で一旦小さくなり35.5以下、300m付近で再び35.8程度と大きくなった後、2000mまで深さとともに減少しています。塩分は海水の中に含まれる塩類の濃度を表していますので、濃度が高いほど水が重くなることを意味します。そうすると、表面付近が一番重いことになり、バランスが悪いですね。海水の密度は水温と塩分濃度の両方で決まりますから、この場合は、水温の変化の方がより海水の重さに効いていることを意味しています。こういう分布は普通に見られます。
  • 密度VS水圧(深度)です。
    何となく水温のときと様子が似ていますが、鏡で映したような対称形に近い形になっています。
    これは、密度が主に水温によって決まることが原因です。
    密度は、海水の温度、塩分(圧力によっても変わりますが、通常この効果はとりのぞかれています)によって決まりますが、低温の場合を除いて水温変化に対してより感度が高くなるためです。
    ただし、極域や塩分変化が大きい海域などはこの限りではありません。その場合のプロファイルがどのようになるか探して観察してみましょう。
    なお、密度の単位はkg/m3ですが、簡単のために1000を差し引いています。

水温と塩分の時間変化

水 温

水温VS水圧(深度)をこれまでの観測順に並べていくと、図のようになります。
海面付近が暖かく、深層に行くに従って冷たくなるという関係がずっと続いていることがわかります。
ところが、海面付近を見てみると、時間経過とともに変化が現れていることがわかります。
これは季節変化によって暖候期にはより暖かく、寒候期には冷たくなることに主に起因しています。
一方で、下層の状態は殆ど変りません。このような状態は海域だけでなく年ごとにも変化します。
塩分の断面図とともにその様子を観察してみましょう。

塩 分

塩分VS水圧(深度)をこれまでの観測順に並べていくと、図のようになりますが、水温の場合と異なることが
すぐにわかります。塩分は、主に海面での降水・蒸発 や海氷の融解、河川水の流入などによって変化しますが、
おおよそ34.5~36.5PSU (おおよそ3.45~3.65%の濃度に相当します)のように、あまり海面から深い方まで
変化がありません。時間が経過しても、海面付近では少し変化しますが、下層では殆ど変化がありません。
人間の舌ではほとんどわからないほどの少しの塩分変化ですが、それが地球の気候に大きな影響を与えるのです。

参考:水温と塩分の関係図

水温VS塩分です。この関係は、一般には殆ど馴染みはありませんが、実は海水の起源や混合の度合いを研究するうえで大変有用な関係です。一般に密度が異なる海水どうしは混ざりにくく、同じ密度であれば混ざりやすいです。
同じ密度といっても様々な水温・塩分の組み合わせがあります。
この図で21、22、23…等と書かれたカーブは同じ密度の線を表していますが、例えば26の線上にある水温15℃、塩分35.5の水と水温19℃、塩分36.5の水は同じ密度です。
もしこれらの水が隣り合っていた場合、混合によっていくらか混ざります。
同じ海域にあるいくつかのプロファイルを比較して、海水の混合の比率を比較することもできます。