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トピックス(解説)

2017.04.04平野瑞恵技術スタッフが、平成28年度JAMSTEC業務改善功績賞を受賞しました

 全球に展開されているアルゴフロートから送られて来る水温・塩分・圧力データを、決められた精度に整えることは、気候変動研究にとって必要不可欠です。これまでも、センサー精度が不十分なアルゴフロートがによって、誤った貯熱量や淡水変動が推定されたり、アルゴフロートが制御不能になる等のトラブルが起こりました。このような事態を未然に防ぐために重要なのが、投入前のセンサー精度検定です。JAMSTECでは、これまで長年アルゴフロートからセンサー部を外して精度検証する方法で検定を実施し、精度が不十分なフロートの投入を出来るだけ防止してきました。実はこのように投入前検定を実施しているのはJAMSTEC以外には、米国ワシントン大とスクリップス海洋研究所だけなのです。しかし、これまでの方法は手順が煩雑であり時間がかかるため、全センサーに対して行うことが困難でした。
 平野技術スタッフは、検証用の高精度センサーを活用して水温・塩分・圧力センサーを取り外さずに検定を行う新しい検定方法を考案しました。センサー精度検定を行う場合、センサー部や検定用海水の厳密な温度保持が重要なファクターの1つですが、微妙なセンサー部の温度上昇や室温の変化の影響を防ぐ必要があります。そこで、システム全体をビニールで覆う、センサー部を断熱シートでくるむなどの工夫を行い、検定の精度が十分出せるようになりました。また効率化によりこれまで12時間以上必要だった検定時間も20分に短縮することができました。 今後は、この検定システムをさらに効率化、小型化し、各国研究機関でも実施可能なシステムになるよう改善を進めるとともに、深海用などの各種フロートにも対応できる方法を検討していく予定です。

  • 新たなセンサー検定システムによる検定作業風景。同時に3台のアルゴフロートが検定可能であり、貯蔵タンクから、チューブを通じて塩分計測済み人工海水が高精度基準センサーやアルゴフロートセンサー部が流れる仕組みになっている。