重要なお知らせ

Argoデータにおける圧力バイアスに関する勧告


国際Argo運営チームから、2010年4月7日に、Argoデータセットの圧力バイアスに関する勧告が発表されました。 Argoデータを学術研究に使用する方々にとって重要な勧告ですので、ご留意ください。

勧告の原文(英語)は、国際Argoプロジェクトオフィスまたは 国際Argo情報センターのウェブサイトをご覧下さい。


【勧告訳文】

「Argoデータセットの圧力バイアスに関する勧告」 2010年4月7日

全球Argoデータの一部の圧力値にはバイアスが存在します。 これらのバイアスは通常5dbar以下ですが、場合によっては20dbarよりも大きくなることがあります。 過去のArgoデータまで遡った再処理による、このようなバイアス誤差の補正が現在進められています。 2010年末までには全球Argoデータセットの遅延品質管理データおよび即時データの両方について圧力バイアス補正が 完了する予定です。Argoデータファイル(注1)において、バイアス補正済みの圧力値はPRES_ADJUSTED変数に格納されます。 一方、圧力バイアス未補正の生データはPRES変数にそのまま残されます。

バイアス補正後のArgoの圧力データの精度はほぼ2.4dbarです。ただし、Argoフロートの中には圧力バイアスを送信しない タイプのフロートが存在し、そのようなフロートについては圧力バイアス補正ができません。 このタイプのフロートの中には、大きなバイアス誤差を持っているものもあると考えられます。 このような大きな圧力バイアスを持つ可能性の高いフロートは、遅延品質管理処理で識別され、そのデータのPRES_ADJUSTED_ERROR変数に 高い圧力エラー値(20dbar)を記載することにより明示されます。

小さな圧力バイアスでも影響が大きい学術研究への利用(例えば、全球海洋貯熱量や混合層深度等の計算)にあたっては、 以下のようにArgoデータを取り扱うように勧告します。
  1. Argo data file内のquality flagを確認し,QC=1と表示されたデータを利用する。
  2. 遅延品質管理データのみを使用する。
  3. 圧力補正されたデータのみを使用する。
  4. PRES_ADJUSTED_ERRORを確認し,その値が20dbar以上の場合にはそのデータを使用しない。



【補足説明】

国際Argo計画では、これまで過去3回にわたりArgoデータにおける圧力バイアスの問題について国際Argoプロジェクトオフィスよりアナウンスしてきました。
  1. 米国ウッズホール海洋研究所(WHOI)が運用するSOLO型フロートの圧力データの演算処理の不具合(2007年2月)
  2. APEX型フロート圧力補正の必要性について(2008年12月)
  3. フロート装着のSBE-41およびSBE-41cp CTDのDruck社製圧力センサーのmicroleak問題発生(2009年5月)

上記の問題によっても発生する圧力バイアスのほとんどは5dbar以下ですが、場合によっては20dbarより大きくなることがあります。

そこで、Argoデータ管理チームでは、過去のArgoデータを含めArgoフロートの圧力データのバイアスの補正処理を行うことになりました。 補正処理後には、Argoデータファイル(注1)において、測器の圧力計測値(バイアスを含む生データ)はPRES変数にそのまま残され、補正された圧力値はPRES_ADJUSTED変数に格納されます。 バイアス補正後のArgoフロートの圧力データの精度はアルゴ計画における目標精度(2.4 dbar)とほぼ同じです。


圧力バイアスの補正は、フロートが送信してくる海面での圧力値に基づいて行われますが、Argoフロートの中には、この作業に必要な情報を送信しないタイプのフロートが存在します。 それらのフロートについては圧力補正は出来ませんが、大きな圧力バイアスを持つ疑いがあるフロートを識別することは可能です。 大きな圧力バイアスを持つ可能性の高いフロートは遅延品質管理処理で識別され、そのデータのPRES_ADJUSTED_ERROR変数には高圧力エラー値(20dbar)が記載されます。

現在、上記の作業が世界各国のDACにおいて進行中で、即時データおよび遅延品質管理データの両方の全球Argoデータに対して2010年末までには補正処理が完了する予定です(注2)。

国際Argo計画では、これからもグローバルな変動の研究に影響を及ぼすArgoフロートの系統エラーを発見し、注意深く取り除く努力を進めて参ります。
(注1) GDACから公開されているnetCDF形式のArgoデータファイル。拡張子がncのファイル。
(注2) 現在公開中のArgoデータセットには、一部にまだバイアス補正処理が施されていないデータが存在します。データ取り扱いの勧告にご留意の上、ご使用ください。