プロファイリングフロートの重量調整について

プロファイリングフロートの重量調整について

伊澤堅志*1,水野恵介*1, 宮崎 基*2,井上亜沙子*3, 安藤健太郎*1,高槻 靖*1, 小林大洋*2 ,竹内謙介*2

プロファイリングフロートを所定の深度に滞在させるための重量調整について,実海域 の条件を調べて,必要な精度を静力学的観点から検討した。太平洋の熱帯・亜熱帯海域の 2000m深付近では,フロートの1gの重量変化は10m程度の滞在深度の違いを生むが, 一旦その深度に停止すれば安定してその深度にとどまる。 しかし,現在のフロートのブラッダー容量では,西部太平洋熱帯域や東部インド洋においては 海面まで確実に浮上するには浮力不足であることを示した。 また,当センターで実施している高圧試験水槽によるフロートの重量調整方法を紹介し, その際に必要な精度や注意すべき点について論じた。 さらに,具体的な実験例をあげ,重量調整の計算方法を詳細に示すとともに, 実験データを入力すればフロートに付加すべきバラスト重量が自動的に計算できるソフトウェアも掲載した。

キーワード:アルゴ計画,プロファイリングフロート,滞在深度,重量調整,高圧水槽  

On the weight adjustment of profiling float

Kenji Izawa*4, Keisuke Mizuno*4, Motoki Miyazaki*5, Asako Inoue*6, Kentaro Ando*4, Yasushi Takatsuki*4, Taiyo Kobayashi*5, Kensuke Takeuchi*5

In order to park a profiling float at an appointed depth, relevant method of ballasting is examined from a view of hydrography and statics. It is shown that the weight change of float by 1gram makes around 10m parking depth difference, although it keeps that depth stably in the case of tropical and subtropical Pacific Ocean. It is pointed out that the buoyancy (i.e. bladder volume) of present APEX type float is not adequit in a certain area of western equatorial Pacific and eastern tropical Indian Ocean. Also, a method of ballasting using high pressure tank is described in detail, and calculation of ballast ing weight is explained by giving an example. A software of the calculation for ballasting weight is shown in appendix.

Keywords:Argo, profiling float, parking depth, ballasting, pressure tank

*1 海洋科学技術センター
*2 地球観測フロンティア研究システム,
*3 (株)マリン・ワーク・ジャパン
*4 Japan Mrine Science and Technology Center
*5 Frontier Observational Research System for Global Change
*6 Marine Works Japan Ltd.


1. はじめに

最近,ARGO計画が開始され,国際協力のもと近い将来3000個程度のプロファイリングフロート (以下フロートと略す)が全球的に展開される(Roemmich et al.1999, Wilson 1999, 水野 2000, 佐伯 2000など)。 各フロートは,2000m深まで沈降して周囲の海水の密度と釣り合って,その深度(滞在深度,parking depth)で漂い, 10日毎に海面まで浮上する。浮上中に測定した2000mから海面までの水温・塩分鉛直プロファイルの観測値を衛星経由で 観測者のもとへ伝送する(図1)。各フロートは4年間観測を繰り返し, 得られたデータは,ほぼリアルタイムで国際的に交換が行なわれ, 全球の2000mまでの海洋の様子がほぼ10日ごとに明らかになる計画である。


図1.Argoフロートによる観測
Figure 1. Schematic mission of Argo float.

この計画で使用するフロートは現在2・3種類あるが,作動の原理は同一で図2に示すように その体積を増減させて浮力を調節することにより浮沈制御を行う。 すなわち,フロート筐体内部から底部にあるブラッダーへ鉱油を注入して浮力を増し, 逆にブラッダーから筐体内部に戻して浮力を減らす。 この種のフロートはすでに比較的浅い深度(数100mまで)を対象とするものは 開発されており(Swift,D. and S.Riser 1994),WOCE計画では特定の海域で浅い深度に小規模に投入された実績があって (Davis et al. 1992, Davis 1999),全く新しい技術ではないが, 本計画では2000mを基準的な滞在深度とし,かつ長期間(4年程度) 安定してデータが取得できるフロートを利用することとしている。

この計画には多数のフロートが使用されるが,成功のためには 海洋学的な知見を基礎に技術的な問題点を十分検討しておくことが必要である。 まず,フロートは目指す滞在深度にとどまり,かつ確実に浮上して測定した観測データを通信できることが重要である。 既存のフロートは,長期間の作動を実現するため電池の消耗を押さえる必要があり, 水圧に抗してブラッダーを膨張させる仕事は電力を消費するので, 浮力すなわちブラッダー容量はできるだけ小さく設計されており, 海域によっては浮力が不足することもある(Swift and Riser 2000)。 このため,投入前に滞在深度における海水の密度を予測し, ブラッダーを最小近くまで縮めた時に中立となるようにフロートの重量調整(ballasting)を 行ってフロートの持つ浮力を最大限利用するようにしている。

本論文では,まず重量調整に関して,現実の海域の密度分布を基礎に静力学的な観点からフロートが中立になる条件を示し, 海洋科学技術センターで実施している重量調整方法を具体的に紹介する。 次に現在のフロートの海面への浮上能力を論じ,さらに重量調整の意義や実用上必要な精度に関する議論を行う。


図2.プロファイリングフロートの仕組み
Figure 2. Sketch of profiling float (APEX type).

2.海域の現場密度分布と水温分布

海水の密度は水温・塩分のほか圧力によっても変化する。 図3は東経130度沿いの海水の現場密度の鉛直断面である。 この図より北太平洋の2000m深(図の縦軸はデシバール単位の圧力で示すが,ほとんどm単位の深度と見てよい。) では,いずれも1037kg/m3程度であることがわかる。 このことは,一度この深度で中立になれば,フロートは海中を漂いつつも, それ自体の密度が安定な限り,ほぼ同一の深度を維持できることを示している。


図3.東経130度に沿った現場密度の鉛直断面
Figure 3. Vertical section of in-situ density along 130E.

また,図中右側にはこの海域の平均の現場密度の鉛直プロファイルを示した。 この深度ではプロファイルが直線に近く,現場密度の変化率はほぼ一定(1mあたり0.005kg/m3)になることを示している。 この鉛直密度勾配では,フロートの体積を簡単のため20リットルと仮定すると, フロートの重量が1g変わればフロートの密度は0.05kg/m3だけ変化する。 これは滞在深度が10m変化することを意味する。 また,フロートの体積が1cm3変化してもほぼ同様な変化が生じるはずである。 このことから滞在深度の誤差を10m以下にするには,かなり正確な重量と体積の制御が必要であることがわかる。

一方,フロート自体も滞在深度で中立になった後は一定の密度を保たねばならない。 フロート筐体はアルミニウム製であるが水圧で圧縮を受ける。ただし,海水自体の圧縮率より小さい。 このため,何らかの擾乱でフロートが滞在深度からやや下降(上昇)しても, 水圧増加(減少)で収縮(膨張)する分は周囲の海水よりも小さい。 よって,フロートは周囲の海水より軽く(重く)なり, 元の滞在深度に復元するから安定に滞在深度にとどまることが可能となる。

フロート筐体は金属製のため周囲の海水の温度変化によってもフロートの体積は変化する。 図4は太平洋における2000m深の長期平均水温分布である。全体に空間的な変動は小さく, 特に北太平洋ではほぼ全域にわたり水温は 2℃前後であり場所的な変化はほぼ±0.2℃の範囲にある。 時間的な変動は,World Ocean Atlas 1998(NOAA 1998) によれば, さらに小さくほとんどの海域で標準偏差は0.05℃以下である。 空間的な温度変化(0.2℃)に対するフロート体積の変化は, 筐体素材の物性(アルミニウムが一般的)から計算すると,滞在深度の変化にはほとんど影響しない。


図4.水深2000mの年平均水温(℃).等温線の間隔は0.1℃毎(NOAA 1998より)
Figure 4. Annual mean temperature (℃) at 2000m depth.
Contour interval is 0.1℃ (after NOAA 1998)

3.滞在深度における力の釣り合い

所定の滞在深度でフロートが中立になるためには,フロートにはたらく重力と浮力が釣り合わなければならない。
これは以下の式で表すことができる。

Mng = ρ(s,t,p) V(t,p) g ・・・・・(1)

左辺が重力,右辺は浮力を示している。 ここで,Mnは中立となるフロートの質量,gは重力加速度, s,t,pはそれぞれ塩分,水温,圧力でρは滞在深度における海水の現場密度である。 また,Vは滞在深度におけるフロートの体積で温度と圧力により変化するが, これはフロート筺体の物性に依存する。

 すでに述べたように現場密度ρは,北太平洋の場合 2000mでは安定しているので投入前にかなり精度良く予測できる。 また,Mnはフロートの内部におもり(バラスト)を入れて自由に制御できる。 所定の深度で中立になるようにフロートの重さを調整する作業がフロートの重量調整(ballasting)である。 問題は滞在深度におけるフロートの体積 V(t,p)をどのように決定するかである。これは次式で表すことができる。

V(t,p)=V0[(1−γp)+α(t−t0)] ・・・・・(2)

ここで,αはフロートの温度による体積膨張率,γはフロートの圧縮率である。 V0は1気圧下の室温(基準温度;任意に定義できる)における体積である。 αは筺体の素材の線膨張率(体積膨張率はその3倍)から計算する。 よって,未確定のパラメータV0,γについて何らかの方法で決定できれば, (1)式から滞在深度で中立になるフロートの重量が計算できる。 V0 は通常20リットルを越える大きさで,これを誤差1cm3以下の精度で測定するのは通常は困難である。 これは次節に述べる高圧試験水槽を用いた実験から得られる。

4.高圧試験水槽を使った重量調整

高圧試験水槽を模式的に図5に示す。 装置は水槽内のビデオカメラ及びスタンドと水槽外のビデオモニタで構成される。 スタンドはカメラの取付台座,及びフロートの保護枠を兼ね, この枠の中にフロートの底部に鎖を付けてセットする(写真1)。 水槽内には水温計と圧力計が必要である。これらが装備されていない場合にはCTDを水槽内に設置する。


図5.本実験に使用した高圧試験水槽の模式図
Figure 5. Pressure tank system used in this ballasting experiment.


写真1.スタンドにセットされたフロートとビデオカメラ
Plate 1. Float and video camera with stand.

実験では水槽に清水(通常の水道水)を満たして密閉し,徐々に加圧する。 フロートは始めは着底している。加圧によりフロートの体積は次第に圧縮されるが, 周囲の水自体も圧縮されて密度が増す。 ただし,水の圧縮率の方がフロートのそれよりも大きいため, 結果としてフロートの受ける浮力が次第に増加し,ついに自重を越えて浮上し始める。 自重を越えた余剰の浮力はフロート底部に取り付けられたチェーンを吊り上げてバランスする。 この吊り上げたチェーンの長さを予めフロート側面に印した目盛(通常は 2cm間隔) をビデオモニタで読みとれば,吊り上げ重量すなわち余剰浮力がわかる。

実験開始時には,フロートは着底していなくてはならないから, 実験前にフロートにリング状のウェイトをアンテナに通して付加し(写真2), 中立より少し重く調整する。これは,少し加圧すれば浮上が始まり, 最大の圧力下でも読み取るフロートの目盛りがビデオモニタの視野に収まる条件を満たすように設定する。 この実験前の調整を予備重量調整(rough ballasting)とよび, 従来の実験結果を参照にするか,初回は実際にフロートを水中に漬けてリングの数を加減しながら調整する。 また,フロートの底部にはチェーンを取り付けるための小さな治具が必要である(写真3)。 上記のウェイト,治具,チェーンの最大重量は合計200g(約25cm3)と規定し, 加圧中の水の密度変化による水中重量変化の影響を無視できる範囲にとる。


写真2.予備重量調整用ウエイト
Plate 2. Weights for rough ballasting (rings put on the anntenna).


写真3.チェーンと治具
Plate 3. Chain with attachment to the float.

ある圧力pの下で,フロートがチェーンを長さhだけ吊り上げて静止したとすると, フロートにはたらく力の釣り合いは以下のとおりである(重力加速度は省略)

Mf + mc h(t,p) + mw = ρ(0,t,p) V0[1−γp + α(t−t0)] ・・・・・(3)

ここで,mcはチェーンの単位長あたりの水中重量, mwは予備重量調整でフロートに取り付けたウェイト及び治具の水中重量を合計したものである。 (3)式で,Mf ,mc,mw,αは既知の定数で,tは計測し, 実験でpを与えてhが得られる。また,ρはpとtから計算できる。よって, (3)式の未知数はV0とγの2つの定数のみである。 tは実質的に一定とみてよく,mc hは圧力のみの関数となるから, 左辺第2項と3項の和 ( mc h(t,p) + mw )をもって,M(p)と書ける。 水槽内の温度を基準の水温(t=t0)にとれば,(3)式は

M(p) = ρ(p)V0(1−γp) - Mf ・・・・(4)

となる。この関数は水の圧縮率(体積弾性率の逆数)をκ(p)とすると以下の式で近似でき, かつ,圧力に関してほとんど直線的に増加するグラフとなる(付録A参照)。

M(p) ≒ ρ(0)V0(κ(p)-γ)p + (ρ(0)V0 - Mf) ・・・・(5)

一方,(4)式は2つの異なる圧力 pを与えてM(p)を計測すれば, V0とγを未知数とする連立方程式が得られ,これを解いてM(p)の関数形が決定できる。 しかしながら,M(p)は測定誤差を伴うから,この方法ではM(p)の推定精度に問題がある。 よって,様々な圧力下でM(p)を計測して,pの一次回帰式( M(p) = Ap + B )により M(p)を推定している。

上の(4)式で表される理論上の重量調整曲線の切片は,M(0)=ρ(0)V0-Mf である。 これは,測定結果から計算した回帰直線の切片Bに相当し, 両者は近似的に等しい(B≒ρ(0)V0-Mf)はずであるからV0の近似値が得られる。

滞在深度におけるフロートの体積(V0(1−γp))は(4)式から簡単に求まるので, 前節(2)式から実海域の水温による熱膨張分を付加して,現場のフロートの全体積を求め, これと海水密度との積から中立となるフロートの全重量が計算できる((1)式参照)。 この重量になるようにバラストをフロートに入れて調整すればよい。

5.重量調整の実験例

ここでは,海洋科学技術センターで行われた実験の例を示す。 試験用のフロートは, Webb社製のAPEX-SBEモデル(SN.225)である。 また,水槽内には実験中の水温と圧力をモニターするため, Seabird社製のCTDセンサー(SBE9plus)を設置した。 その水温・圧力測定精度はそれぞれ,0.001℃,0.9 dbである。 フロートを水槽に入れて密閉して,圧力ゼロから 2000db付近まで加圧する。 以後,徐々に減圧しながら様々な圧力下でチェーンの吊り上げ量を計測した後, 再び加圧しながら同様に計測して,合計11点の圧力下で測定値を得た(表1)。

測定番号
Measurement
Number
圧 力
Pressure
[dbar]
浮上距離
Rising length
[cm]
チェーン重量
Chanin Weight
[g]
総重量
Total ballast
[g]
1 1920.1 38.80 31.35 35.69
2 1818.4 31.20 25.21 29.55
3 1727.7 24.20 19.55 23.89
4 1623.4 16.20 13.09 17.43
5 1526.6 9.40 7.60 11.94
6 1427.5 1.40 1.13 5.47
7 1477.2 4.80 3.88 8.22
8 1578.5 12.60 10.18 14.52
9 1675.8 19.80 16.00 20.34
10 1773.4 27.40 22.14 26.48
11 1871.8 34.60 27.96 32.30
(注)チェーン重量:浮上距離をチェーンの重量に換算した値
   総重量 :チェーン重量+ウエイト+治具重量
    *Chain Weight : Calculated from rising length of the chain
*Total Ballast: Weight of ( Chain + Ring + Attachment )

表1. 浮力試験データ
Table 1. Ballasting Experiment data

このデータからM(p)の一次回帰式を求めると,

M(p)[g]=0.061099[g/db] p[db] − 81.79[g]   ・・・・・(6)

が得られた。これを重量調整曲線(ballasting curve)とよぶ。 図6に実験結果と回帰直線を示す。この直線の傾きは, 圧力が1db上がる毎にフロートが受ける浮力の増加分を示し, Y切片は圧力ゼロの時に必要なフロートのバラスト重量を示す。 この場合は1気圧下では重量が浮力に対して81.79g過剰で, フロートが着底していたことを示している。


図6.重量調整曲線の例
Figure 6. An example of ballasting curve obtained by the experiment.

実験に用いた各項目の明細は表2に示した。 まず,@の滞在深度の圧力を任意に設定して,A,Bに推定値を与える。 C〜E及びHは測定して求める。Fは既知で, この例ではWebb社のAPEX型のフロートは素材のアルミニウム(AL-6061)で(Webb Research Co. 1999), その線膨張率(2.3×10-5/℃: Dexter 1979)の3倍を体膨張率として用いた。

項目(item) 記号(symbol) 値(value) 備考(remarks)
@滞在深度圧力
pressure at parking depth
p 2000 [dbar] 任意に設定
arbitrary
A滞在深度水温
in-situ temperature at parking depth
t 2.0 [℃] 推定値
estimated
B滞在深度現場密度
in-situ density at parking depth
ρ(s,t,p) 1.03687 [g/cm3] 推定値
estimated
Cフロート初期重量
initial weight of float
Mf 25050.5 [g] 実測値
measured
Dチェーン単位長水中重量
weight of chain per unit length (in water)
mc 0.808 [g/cm3] 実測値
measured
Eウェート水中重量(治具込み)
weight of attached ring weight(in water)
mw 4.34 [g] 実測値
measured
Fフロート体膨張率
coefficient of thermal expansion of float
α 6.90×10-5 [/℃] アルミの線膨張率
property of alminum
Gタンク内圧力
tank water pressure
p 2000 [dbar] @と同じ
same as @
Hタンク内水温
tank water temperature
t0 9.20 [℃] 実測値
measured
Iタンク内の水の密度
tank water density
ρ(0,t0,p),/TD> 1.00916 [g/cm3] 状態方程式
equation of state
Jタンク内付加総重量
added weitht to the float
mch(t,p)+mw 40.4 [g] 重量調整曲線より
ballasting curve
Kタンク内フロート総重量
total weitht of the float
Mt 25090.9 [g] Mf+mch(p)+mw
Lタンク内フロート体積
float volume in the tank
V0[1−γp] 24863.1 [cm3] Mt/ρ(0,t0,p)
M1気圧下フロート体積(温度t0)
float volume in air pressure
V0 24974.5 [cm3] 重量調整曲線より
ballasting curve
N滞在深度でのフロート体積
float volume at parking depth
Vp 24850.7 [cm3] V0[1-γp+α(t-t0)]
O滞在深度でのフロート重量
float weight at parking depth
Mn 25767.1 [g] ρ(s,t,p)Vp
Pバラスト重量
ballast weight
Mb 716.6 [g] Mn−Mf
表2.バラスト重量の計算の明細
  Table 2. Specification of ballast weight calculation

I以下は逐次,計算あるいは実験により求められる。 最後にPでフロートに付加すべきバラスト重量 Mbが得られる。 この計算の詳細に関しては,付録Cにプログラムを掲載した。

これまで,フロートの圧縮率自体は計算しなかったが, Lで圧力下のフロートの体積(V0[1−γp])を計算する過程ですでに体積と圧縮率を含めた値が得られており, 明示的に算出する必要はないからである。ただし,実際に計算すると, γ=2.230×10-6/dbを得る。この値は海水の圧縮率の約半分にあたる(付録Aの表A1参照)。

ちなみに,理論上の重量調整曲線は前節の(5)式で良く近似でき, (5)式は ρ(0)V0(κ(p)-γ)がほぼ一定のため,これを傾きとする直線に近い。 この傾きを平均的なκ(p)の値で計算すると,0.06184となり,おおよそ上記の回帰曲線に近いことが確認できる。

6.海面浮上の条件

これまでの議論で,目標の深度で中立になるフロートの重量が決定する方法が得られた。 しかし,一方で観測データを衛星経由で送信するためフロートは海面まで確実に浮上しなければならない。 このためには,ブラッダーを膨張させてフロートの密度を海面の海水密度より小さくすればよい。 すなわち,海面におけるフロートの体積をVs,ブラッダーの膨張分をδV,海水密度をρとし, 滞在深度におけるフロートの体積をV(t,p),海水の密度を ρ'として,

ρ(Vs +δV) > ρ' V(t,p)    ・・・・・・・・・・・(7)

が成立すればよい。ここで,基準温度を海面温度にとり(Vs=V0),V(t,p)に(2)式を代入して整理すると

δV > Vs (ρ'/ρ){(1-ρ/ρ') - γp + α(tp-ts)} ・・・(8)

が得られる。ここでtp,tsは滞在深度,海面における水温である。 もし,上式の両辺が等しければフロートは海面すれすれで中立になる。 実際はフロートにはアンテナ部を海面より完全に空中に持ち上げる浮力が必要であるが, これは海面付近でエアブラッダーに空気を注入して膨張させて別に得られるため,上記の計算には考慮しなくてよい。

上式の右辺で,pは想定する滞在深度(2000db)であり, その水温(tp),現場密度(ρ')は前述のようにかなり精度良く推定され, αは既知,γは前節の重量調整実験で得られている。左辺のδVを一定とおけば, フロートが海面に到達するか否かは(8)式の成立に依存し,海面の海水密度と水温の値があれば判定できる。

ここで,(8)式右辺の中括弧内の各項の大きさを見積もる。 滞在深度と海面との密度差が大きい場所が問題となるから, 熱帯・亜熱帯を想定すると,密度差の分(1-ρ/ρ')が 20×10-3程度,フロートの圧縮効果分(-γp)が-5×10-3, 温度変化の効果(α(tp-ts):水温差20℃として)が-1〜-2×10-3程度であって, 密度差の効果が大きいが,いずれも同程度のオーダーである。

海面の海水の密度・温度は時空間的に変化が大きいが, 過去の観測データから海域毎にそれぞれの標準偏差を求め, それらの変化は一定の相関(この場合は-0.75と仮定)を持ちながら正規分布に従う確率変数と仮定して, 浮上する確率を計算した。ここではWebb社のAPEXタイプのフロート(鉱油内蔵量260cm3)について, 歴史データ(WOA98)から緯経度5度の海域毎に浮上確率を計算した(図7)。 ただし,次節で述べるように内蔵する鉱油の全量を利用することはないので, 利用可能な鉱油量は全量の80%と仮定した。図より, このフロートは太平洋熱帯域の暖水プールや東部インド洋では浮上しない場合がかなりあることを示しており, これらの海域では既存のフロートでは2000mまでの観測を確実に行うのは不可能で, より大きい浮力を持つフロートが必要である。


図7.260cm3ブラッダーを持つフロートのによる水深2000dbからの年平均浮上確率. ただし利用可能な鉱油量は20%のマージンを引いたものと仮定した。
Figure 7. Annual mean probability of surfacing from 2000db for floats with 260cm3 bladder oil volume(with a safety margin of 20%).

7.議論

重力調整試験には様々な測定誤差を伴うため,この実験から決定されたバラスト重量には微小な誤差が含まれ, 現場密度・水温と想定値との間の微小な誤差も存在する。 よって,フロートには多少の誤差は自動的に修正する機能が必要となる。 すなわち,フロートは投入後沈降しつつ圧力を計測し,所定の深度付近になると, ブラッダーに注入する鉱油量を微調整しながら目標の深度で停止するようにプログラムされている (最初の潜航のみ。以後は同量を注入)。 この微修正のため滞在深度ではブラッダーを完全には収縮させず, 多少の余裕が必要で,フロートの持つ鉱油量は全てを利用できるわけではない。

既存のフロートは前述のように海域によっては必ずしも十分な浮力を持たないので, 精度良く重量調整を行って最大限の浮力を引き出すことが必要となる。 特に太平洋の熱帯・亜熱帯海域,東部インド洋を対象とする場合は重量調整が重要となる。

7.1 重量調整実験の精度の検討

重量調整曲線におけるM(p)を決定するために測定する項目はチェーン吊り上げ長さのみである。 これをチェーンの重量に変換し,ウェイト・治具分の一定重量を加えて, 吊り上げ総重量を得る。チェーン・ウェイト・治具はいずれもステンレス製で, 空中・水中重量を計測してそれらの密度から各々の材質の確認を行う。 重量計測は標準分銅で較正した電子天秤により精度 0.02gで計測される。

吊り上げたチェーンの重量は,吊り上げ長をフロートに印された2cm間隔の目盛りで読取る精度(0.2cm)に依存し, チェーンの単位長重量は0.8g/cmだから測定誤差は0.16gで, ウェイトと治具は0.02gの精度で測定されているから,全体の吊り上げ重量の測定誤差は約0.16gである。 ただし,pも1db程度の測定誤差がある。この誤差がM(p)に及ぼす影響は回帰直線の傾きに比例し, この実験例では0.06gであるから,両者の測定誤差により得られるM(p)の測定誤差は, 双方の平方和の平方根をとって,0.17gと推定される。

個々のM(p)の測定値には上記の誤差が含まれるが,他にも様々な要因による誤差が測定値に含まれる。 このため,実験値に最小二乗法による回帰直線をあてはめてM(p)を決定する。 この回帰直線と測定値のずれの度合いから,回帰式の予測誤差が推定できる。 この場合,個々の測定値と回帰直線との偏差(εi=yi-Yi:yiは第i番目の測定値, Yiは回帰直線上の予測値)を求め,その標準偏差(√買テi2/(n-2))が予測誤差となる。 ここで,nは実験の回数である。n-2で割っているのは, すでに切片と傾きを実験値から求めているので自由度が2だけ減少したからである。 ちなみに,この実験での予測誤差は0.24[g]であった。 これを se とおくと圧力Xでの予測値 y の信頼区間は以下の式で計算できる(田中,脇本1983)。

Y - tα√{1+1/n+(X-Xmean)2/nSxx} se < y < Y + tα√{1+1/n+(X-Xmean)2/nSxx} se

Yは圧力Xに対応する回帰直線上の値,XmeanとSxxはこの実験のXの平均と分散(ただし,偏差平方和をnで割ったもの)である。 信頼限界を95%とすると,自由度9だから,tα=2.262となり, 圧力2000dbにおける回帰直線の信頼区間は,40.41±0.67[g]となった。 これは1g以内の目標精度を満たしている。

なお,実験において回帰直線による予測値と実験値の差の標準偏差の許容範囲は0.8g以下と設定した。 この実験例では十分許容範囲内であるが,もし許容範囲を越えた場合は再実験を行なっている。

7.2 バラスト重量の推定誤差

重量調整では,フロートに付加すべき重量(Mb)のみが必要である。 第5節の表2では逐次計算を行っているが,以下のようにまとめて計算すると, バラスト重量の誤差を推定しやすい。すなわち,表2を参照して,

Mb = Mn - Mf = ρ(s,t,p)V0{1-γp+α(t-t0)}-Mf

これに,V0(1-γp) = (M(p)+Mf)/ρ(0,t0,p),を代入し,簡単のため,
ρ=ρ(0,t0,p),ρ'=ρ(s,t,p),とおくと,
Mb = ρ'(M(p)+Mf)/ρ + ρ'V0α(t-t0) - Mf,  整理すると,

Mb = M(p)ρ'/ρ + ρ'V0α(t-t0) + Mf(ρ'-ρ)/ρ ・・・・・・(9)

が得られる。ここで,ρ'〜1,ρ〜1,ρ'/ρ〜1,(ρ'-ρ)/ρ〜0.03,α(t-t0)〜 0.0014(水温差20℃として)であるから,Mbに対する各項の誤差の影響を評価できる。

すなわち,第1項は,そのままM(p)の測定誤差がMbの誤差に影響する。 一方,第2項は α(t-t0)が小さく,V0 に10cm3の誤差があってもMbには0.014gの誤差しか影響しない。 第3項は,Mfの10gの誤差がMbの0.3gの誤差を生む程度で,あまり影響がない。 よって,Mbを精度良く求めるには,重量調整曲線の精度向上が効果的である。

7.3 タンクの水温変化や気泡の影響

高圧水槽実験では,加圧による断熱圧縮のためタンク内の水温が上昇するはずである。 ちなみに,2000dbの圧力をかければ,0.14℃の昇温が見込まれる。 この昇温により水の密度は0.000018g/cm3減少する。 しかしながら,通常は以下の検討によりこの効果を無視している。

すなわち,フロート体積[cm3]と重量[g]はおおよそ25000だから, (9)式のρがこの変化を受ければ,第3項は0.44g増加する。 また,昇温は第1項の重量調整曲線にも影響する。 すなわち,最大圧力の2000dbでは昇温による水の密度の減少に対し, フロート体積の増加(0.24cm3)があり,結局フロートの浮力は0.20gだけ減少する。 その分重量調整曲線の吊り上げ重量が減少する。しかしながら, 断熱効果は2000dbで最大で,低圧部では昇温が小さく, 重量調整曲線の予測誤差に及ぼす影響は小さいと考えられる。 Mbの推定誤差は,主に(9)式第3項の誤差が影響するが無視できる大きさである。

重量調整に及ぼす断熱変化の影響は比較的小さいが, 実際には水槽内部に温度躍層が生じたり,時間的な温度変化を受けることがある。 タンク内の水温が10-20℃帯にあるとすれば, 水温が1℃上昇することによる影響を同様に見積もると,水は0.0001g/cm3の密度低下を生み, これにより(9)式第3項は2.5g増加し,重量曲線は全体に0.8g程度減少する。 よって,Mbには1.7g程度の誤差が生じる。この誤差は許容範囲を超えている。 よって,実験中のタンク内水温は一様,かつ安定になるよう十分管理する必要がある。 この実験に使用した試験水槽は一度水道水をリザーバータンクに貯めて一昼夜放置してから加圧する。 秋冬の季節に数回の浮力試験を行ったがこの期間では水温は比較的安定していた。

この実験で,フロートを水槽に入れると,表面に気泡が付着するのは避けられない。 (4)式で気泡はフロート体積を増加させる誤差要因になる。 しかしながら,気泡の体積は圧力に反比例して小さくなるので, 気泡による誤差は急速に減少する。 実験では一度加圧することによって気泡をフロートから離脱させた後に計測を開始している。

7.4 フロートの圧縮率と熱膨張率が浮上に果たす役割

重量調整に関しては,フロートの熱膨張の影響は小さく, フロートの圧縮率の影響は重量調整曲線に包含されて明示的に示されなかった。 しかしながら,実海域での浮上については両者の影響がかなり大きい。 すなわち,実際にフロートで得られた水温・塩分の鉛直プロファイル(図8左)から, 浮上中のフロート体積の変化を圧縮と熱膨張の効果に分けて, 各々の浮力に対する寄与分を示したのが図8右である。 ここでは滞在深度における寄与分をゼロとした。これによれば, 浮上中のフロート体積の膨張による浮力への寄与は,圧力の効果の方が大きいが, 温度躍層以浅の暖い海水による体積変化も無視できないことがわかる。


図8.左:フロートで観測された水温・塩分鉛直分布の例,太線は水温,細線は塩分
    Figure 8. Left panel: An example of vertical temperature/salinity profile observed by a profiling float.

右:フロートが浮上中,水温の上昇によるフロートの熱膨張で得られた浮力(細線) と減圧によりフロートが膨張することで得られた浮力(太線)
Right panel: Contribution to buoyancy of float by heat expansion effect (thin line) and decompression effect (thick line)
at the observing (rising) phase shown in the left panel.
フロートの圧縮率は,水の圧縮率と比較すると50%程度である。 これは,滞在深度から浮上する際には,フロート自身も膨張することを意味し, 全く圧縮性のないフロートに比べれば膨張分だけ浮力を持っていることになる。 仮に圧縮率が水と同じならば,圧力のみの効果を考えると, どの深さでも周囲の水と同じ密度を保つことができる。 さらに通常は上層ほど水温が高いので熱膨張による効果も期待でき,少しブラッダーで体積を増せば浮上が可能となる。

フロートの重量調整曲線の傾きは, 近似式(5)から水とフロートの圧縮率の差(κ(p)-γ)に比例するから水に近い圧縮率を持った場合は傾きがゼロに近く, 重量調整曲線は水平となり,どの圧力下でも同一のバラストで中立になる。 しかし,これは逆に同一の深度に安定してとどまれないことを意味する。 ただ,適当な圧縮率の増加により重量調整曲線の傾きを緩くし, より小さなバラスト重量で済むようにすることはできる。 ある程度のフロート筐体の圧縮率の増加は,浮上に必要なブラッダーの容量を小さくできる利点がある。

前節で見たように,既存のフロートは2000mを滞在深度とした場合, 太平洋熱帯域や東部インド洋などの海域で浮力不足となるから全球的な展開のためにはより大きな鉱油量が必要である。 Webb社のAPEXのようにピストンをモーターで押し出すタイプのフロートは, 原理的にはピストンの長さないし太さの変更により容量の増加が可能であるが, 設計上フロートの大型化は電池容量の増大,内部の設計変更にも及ぶため鉱油量増大は簡単ではないようである。 上の議論からフロートの圧縮率を少し大きくすることによっても浮力はかなり増加するので, この方法も含めて浮力増大を考えるべきであろう。

8.まとめ

本文では,実海域の海洋条件を検討して, 静力学的な観点からフロートが2000m深で中立になるための条件や海面への浮上能力を調べた。 2000m深でフロートを停止させるため, 重量調整実験の重要性を論じ,当センターで実施している高圧試験水槽による調整方法を具体的に述べた。 また,重量調整実験に必要な精度や注意すべき点を指摘した。要点は以下のとおりである。
  1. 太平洋の熱帯・亜熱帯海域において,2000m深付近の海水の現場密度分布によれば, 既存のフロートの1gの重量の違いは,10m程度の滞在深度の違いを生む。 ただし,その深度の水温・現場密度は空間的に一様かつ安定で, 一旦その深度に停止したフロートはこの深度にとどまることができる。
  2. 現在のフロートのブラッダー容量では, 西部太平洋熱帯域や東部インド洋では海面まで確実に浮上するには浮力不足であるため, 浮上能力を最大限利用すべき海域は広く,このためには精密な重量調整が必要となる。
  3. フロートが中立になるには,海水密度とフロート密度の一致が必要で, 事前に滞在深度の温度・密度は精度良く推定できるから,圧力と温度によるフロートの体積変化を知り, フロート重量を調整する必要があり,これは高圧試験水槽による実験で得られる。
  4. フロートに付加すべき重量は, 高圧水槽実験での圧力とフロートによるチェーンの吊り上げ重量との関係の 一次回帰式である重量調整曲線から求めることができる。
  5. 正確な重量調整のためには,重量調整曲線の精度が重要で, チェーン・ウェイト・治具の正確な重量測定とともに,水槽内の温度管理が重要である。
  6. フロートの浮上に関しては,浮上中の水温・圧力の変化によるフロートの体積変化が浮力の増加にかなり有効で, 大きな圧縮率を持つフロートは必要なブラッダー容量を小さくできる利点がある。   特定の海域におけるフロートの浮力不足の問題に関しては, より大きなブラッダーが必要であるが, 一方ではフロートの長期稼動のため電力消費の小さいブラッダー容量の小さいフロートが望ましい。 大きな浮力を持つタイプのもの(Provor)もあるが, 稼動期間と多くの電池の搭載,サイズの大型化などの問題がある。 将来,多数のフロートの展開にはボランティア船からの投入が必要となるため, フロートの小型化が必要となろう。この場合は搭載電池数やサイズの制約でブラッダーも小型化が必要となり, 体積が小さくなるため重量調整は今後も必要であろう。
 

9.謝辞

本研究に先立ち,ワシントン大学,スクリプス海洋研究所の好意により 圧力水槽や調整装置と実験の様子を見学する機会を得た。 ワシントン大学のライザー教授,スイフト博士からは実験方法について多くの有益な助言を得た。 またスクリプス海洋研究所のデュフォー博士からは浮力計測方法や浮力試験方法について有益な示唆を得た。 これらの方々に厚くお礼申し上げる。また,本研究の高圧水槽実験にあたっては, 当センター施設課の久保下氏と(株)マリン・ワーク・ジャパンの菊間氏から運用面で協力を得た。 本研究は,平成12年度から内閣府により開始された “ミレ二アムプロジェクト”の一環として実施されているプロジェクトである 「高度海洋観測システムの構築」により実施されたものである。

付録A.重量調整曲線の直線性の検討

一般に海水の密度ρの圧力による変化は水温,塩分,圧力をそれぞれ s,t,pとすると以下の式で表される(気象庁 1972)。

ρ(s,t,p) = ρ(s,t,0)/(1-p/K(s,t,p)) ・・・・・・・(A1)
 ただし, 
K(s,t,p)=K(s,t,0)+Ap+Bp2
ここで,Kは海水の体積弾性率で,AとBはいずれもtとsの関数である。 これは,海水に1気圧(p=0)から次第に圧力pをかけて縮んだ割合から, 単位分縮めるのに必要な平均の圧力を示し,圧縮率(圧力pを加えたときに縮む割合)の逆数である。

本文で述べたように,高圧水槽実験では,s=0 で, tも実質的に一定(t=t0)と見てよいから,A,B いずれも定数となり, Kはpのみの2次関数となる。圧縮率をκとおいて   (κ(p) = 1/K(p)),(A1)を書き換えると,

ρ(p) = ρ(0)/(1-pκ(p)) ・・・・・・・(A2)

となる。本文(4)式に上式を代入すると,

M(p) = ρ(0)V0(1−γp)/(1 - p κ(p)) - Mf  ・・・・・(A3)

が得られる。この式の変数項(1−γp)/(1 - pκ(p))において, 分子は圧力によりフロートが縮む効果,分母は水の縮む効果を表している。 水の方が縮む割合が大きいから,M(p)はpとともに増加する。 水の圧縮分pκ(p)を様々なケースで計算すると(表A1), いずれも1%以下で小さく,γpも通常はpκ(p)の1/2程度で小さい。 よって,(A3)式の右辺の変数pを含む項は,以下の式でかなり良く近似できる(誤差0.005%以下)。

(1−γp)/(1 - p κ(p)) ≒ 1 + (κ(p)-γ)p  ・・・・・(A4)

この近似式を(A3)に用いれば,

M(p) ≒ ρ(0)V0(κ(p)-γ)p + (ρ(0)V0 - Mf)  ・・・・・(A5)

  が得られる。右辺のκ(p)はpに関してほぼ一定(0-2000dbで3%程度の変化)であることから, (A5)のグラフは直線に近いと期待できる。

0db 500db 1000db 1500db 2000db
 0℃ 0 0.00252342 0.00500574 0.00744782 0.00985047
10℃ 0 0.00237190 0.00470730 0.00700697 0.00927170
20℃ 0 0.00227730 0.00452054 0.00673051 0.00890797
30℃ 0 0.00222178 0.00441059 0.00656724 0.00869250
表 A1.水の圧縮比
Table A1. Ratio of compressed volume
厳密には,M(p)はpの複雑な分数関数であるが,そのグラフを描くと 図A1)直線に近いことがわかる(t=9.2℃,γ=2.23×10-5/db,V0=24975.5cm3とし,p=0でM(p)=0 とする)。 この関数に一次関数を当てはめると,図中の破線の回帰直線(1.221 + 0.06112×10-5 p)が得られ,直線の近似度は差の標準偏差が0.455gであった。他の温度で計算しても近似度は変わらない(表A2)。この誤差は実際の海洋で4-5mのフロート滞在深度の違いを生むが,許容範囲内であり直線近似で差し支えないと考えられる。


図 A1.理論的に求めた重量調整曲線(実線)と最小自乗法により得られた直線近似(波線)
Figure A1. Theoretical ballasting curve (solid line) and fittest linear curve by least square method (dashed line).

Temperature(℃) Error(RMS)
0 0.50
10 0.45
20 0.42
30 0.41
表 A2.水温による直線近似誤差の変化
Table A2. Fitness of linear fitting curve in terms of tank water temperature

付録B. フロートやウェイト等の空中及び水中重量に関する注意点

フロートやウェイト等の重量は空中で計測されるため,正確には空気の浮力分の補正が必要である。 ここでは,フロート,ウェイト,チェーン,治具の重量について,空気の浮力の影響を評価する。 また,本文中ではフロート以外の物体の水中重量は水圧にかかわらず一定として取り扱ったが, その妥当性を以下に検討する。

1.空気の浮力がフロート重量等に与える影響

1気圧下の空気の密度は温度と湿度により決まる。理科年表(東京天文台1990)によれば, 空気の密度は温度0-30℃,湿度0-100%の範囲で, 1.146−1.293g/lの間にある。空気の密度を1.2g/lすればフロートの体積は約25リットル程度だから, 空気の浮力は30g程度となり無視できない大きさである。

本文で述べたように1気圧下のフロート体積(V0)は, より正確には重量調整曲線から求まるが,近似値は予備重量調整から求められる。 すなわち,予備重量調整ではフロートを水槽に入れ, 水面にわずかに浮く状態から徐々にウェイトを増やしていく。 ウェイトは1つ25gないし50gのリングを使用するから, 最初にフロートが沈むまでに付加したウェイト重量をmw'とすれば, これは水中で中立となるために付加すべき重量を上回るが, 誤差は 25g以内に収まる。 ただし,フロートには気泡も付くから誤差(経験から通常は10g以下)の原因になるが, これを考慮して更に控え目に見積っても50gよりは良い精度で決定できる。 このとき,水中でフロートがほぼ中立と見ると,以下の近似式が成り立つ。

V0 ρ ≒ Mf'+ V0ρa + mw' ・・・・・・・・ (B1)
ここでMf'は空中で計測したフロートの重量,ρaは空気の密度である。 ウェイト重量mw'も空中で計測したものであるから空気の浮力の影響を受ける。 本文で述べたように,ウェイト,治具,チェーンの合計重量は最大200gと規定したから,mw'はこれ以下である。 ウェイトの材質である18-8ステンレス (SUS304)の密度は7.9[g/cm3](日本機械学会 1993)だから, 体積は25cm3を超えない。よって空気の浮力はせいぜい0.03gに過ぎず,無視して差して良い。

フロート体積V0の近似値は(B1)から以下の式で表される。

V0 ≒ (Mf + mw')/(ρ- ρa) ・・・・・・・・ (B2)

上式右辺のフロート体積の概算値は,上述のようにmw'の誤差は50g以下であり, 分母はほぼ1(g/cm3)であることから,誤差50cm3以内に収まる。

フロートに掛かる空気の浮力はV0ρaだから, このV0に上記概算値を用いても誤差は最大でも0.06g程度となりMf'の測定精度0.5gよりも小さく, 十分な近似となっている。よって,予備重量調整で得た体積の近似値から空気の浮力を見積もり, これをMf'に加えて真のフロートの重量Mfを求めればよい。

実際には,同一ロットのフロートの体積は50cm3よりもはるかに良い工作精度と考えられるから, 個々のフロートについて空気浮力補正分を計算する必要はなく, 空気の浮力補正分として一定値を加えれば十分と考えられる。

また,上述のようにウェイトについては体積が十分小さく, 空気浮力補正を不要なことを示したが, 治具やチェーンについてもウェイトと同じ材質で体積はより小さいため 同様な理由により空気浮力補正は不要である。

2. 水中でのチェーン等の圧縮と浮力の変化

チェーン,治具,ウェイトの材質である18-8ステンレス(SUS304)の体積弾性率(K)は, 以下の式で与えられる。
K=E/[3(1 - 2ν)]
 ここで,Eは縦弾性率,νはポアソン比である。これらの値はそれぞれ,189 [GPa], 0.2であるから(日本機械学会 1993),体積弾性率は105 [GPa]である。チェーン,治具,ウェイトの1気圧下での体積をV,水槽内の圧力をp,この圧力下での圧縮分をΔVとすると,
p = K ΔV/V
の関係があり,2000db(20MPa)下では,圧縮比ΔV/Vは約0.0002となる。 すでに述べたように,ウエイト,チェーン等の総重量は 200[g]以下だからVは25cm3を超えず, ΔVは最大でも0.005[cm3]となるから,体積は一定と見てよい。

一方,ウェイト,チェーン等にはたらく浮力は,水圧による水の密度の変化にも依存する。 水の密度は2000db下では1気圧下よりも約1%増加する(表A1参照)。 浮力は体積と密度の積だから,浮力の増加分はせいぜい0.25gである。 この分水中重量が減少するが必要な重量調整の精度から見て無視して差し支えない。

付録C.浮力試験のデータ処理方法

浮力試験で得られたデータを処理するためにWindows上で作動するソフトウエアを開発した。 用いた言語はVisual Basicであるが,より一般性を持たせるためにN88-日本語BASIC (86)に書き直したものを掲載する。

本プログラムでは,高圧水槽実験において計測した圧力とフロートが吊り上げた鎖の長さの組のデータを入力すると, 重量調整曲線が求まる。これに基づき,任意に指定した深度で中立にするためにフロートに付加すべきおもりの重量が得られる。

使用方法の詳細についてはプログラムリスト先頭部にあるコメント行を参照されたい。 このリストのうち,1540行から1740行に書き込まれている DATA文は実験で得られた結果である。 データ文は,サンプル数,各圧力でのチェーンの吊り上げ量,チェーンの単位長さあたりの重量, ウエイトの重量,フロート初期重量が登録されている。 また,滞在深度の水温・塩分・圧力は通常一定であるからDATA文とは別に値を定義してある。 Windows版ではこのデータの登録部分は図C1のようなグラフィカルユーザーインタフェースにより利用しやすくなっているが, データ処理の内容はこのリストと同一である。

図 C1.重量調整用ソフトウエア入力画面
Figure C1. Graphical user interface of a program for ballasting experiments using pressure tank.

なお,このプログラムはhttp://w3.jamstec.go.jp/J-ARGO/に掲載されているので必要なら参照されるとよい。

プログラムリスト
1000 ' SAVE "BALLAST.BAS"
1010 '
1020 '1) 概要
1030 ' このソフトウエアはプロファイリングフロートの重量調整(ballasting)に使用
1040 ' される。
1050 '
1060 ' 高圧試験水槽を用いて計測された圧力とフロートが吊り上げる鎖の長さより
1070 ' 重量調整曲線(ballasting curve)を求め,これより滞在深度にフロートを停止さ
1080 ' せる(海水の密度とフロートの密度が等しくなる)ためのおもりの重量を決定する。
1090 '
1100 '2) 必要なデータと入力方法
1110 ' ・圧力試験のデータ入力
1120 ' DATA文を編集して行う。
1130 ' DATA文の並びは次のとおりである。
1140 ' なお(H)と(L)は振動した場合のことを考えている。
1150 '
1160 ' サンプリング数 N
1170 ' 圧力1,吊り上げ量(H)1,吊り上げ量(L)1
1180 ' 圧力2,吊り上げ量(H)2,吊り上げ量(L)2
1190 ' ・
1200 ' ・
1210 ' ・
1220 ' ・
1230 ' 圧力N,吊り上げ量(H)N,吊り上げ量(L)N
1240 ' チェーンの単位あたりの重量
1250 ' ウエイトの重量
1260 ' フロート初期重量
1270 ' タンク内水温
1280 ' 1290 ' ・滞在深度の条件
1300 ' DATA文の下の次の変数を編集する。
1310 '
1320 ' O.TEMP# = 5.13# ' 滞在深度水温
1330 ' O.SALT# = 34.325# ' 滞在深度塩分
1340 ' TP# = 2000# ' 滞在深度圧力
1350 '
1360 ' ・タンク内塩分
1370 '
1380 ' T.SALT# = 0# ' タンク内塩分(通常は0)
1390 '
1400 '3) 単位
1410 ' このソフトウエアで使用している単位は次のとおりである。
1420 ' 塩分 [psu]
1430 ' 水温 [℃]
1440 ' 圧力 [db]
1450 ' 重量 [g]
1460 ' 密度 [g/cm^3]
1470 '
1480 '
1490 '4) その他
1500 ' 計算は倍精度で行われる。
1510 '
1520 '
1530 '
1540 ' ************* 実験データ **************
1550 '
1560 ' APEX-SBE SN.225 重量調整データ
1570 ' 実験日 平成 13年 2月 1日
1580 '
1590 DATA 11 ' サンプリング数
1600 DATA 1920.1 , 38.8 , 38.8
1610 DATA 1818.4 , 31.2 , 31.2
1620 DATA 1727.7 , 24.2 , 24.2
1630 DATA 1623.4 , 16.2 , 16.2
1640 DATA 1526.6 , 9.4 , 9.4
1650 DATA 1427.5 , 1.4 , 1.4
1660 DATA 1477.2 , 4.8 , 4.8
1670 DATA 1578.5 , 12.6 , 12.6
1680 DATA 1675.8 , 19.8 , 19.8
1690 DATA 1773.4 , 27.4 , 27.4
1700 DATA 1871.8 , 34.6 , 34.6
1710 DATA 0.808 ' チェーンの単位あたりの重量
1720 DATA 4.34 ' ウエイトの重量
1730 DATA 25050.5 ' フロート初期重量
1740 DATA 9.2 ' タンク内水温
1750 '
1760 ' ************************************************
1770 '
1780 O.TEMP# = 2# ' 滞在深度水温
1790 O.SALT# = 34.6# ' 滞在深度塩分
1800 TP# = 2000# ' 滞在深度圧力
1810 '
1820 T.SALT# = 0# ' タンク内塩分
1830 '
1840 AL.TXP# = .000069# ' アルミ容器膨張率
1850 '
1860 '
1870 ' ***** 密度計算のための係数 *****
1880 '
1890 ZB0# = .824493#
1900 ZB1# = -.0040899#
1910 ZB2# = .000076438#
1920 ZB3# = -.00000082467#
1930 ZB4# = .0000000053875#
1940 '
1950 ZC0# = -.00572466#
1960 ZC1# = .00010227#
1970 ZC2# = -.0000016546#
1980 '
1990 ZD0# = .00048314#
2000 '
2010 ZA0# = 999.842594#
2020 ZA1# = .06793952#
2030 ZA2# = -.00909529#
2040 ZA3# = .0001001685#
2050 ZA4# = -.000001120083#
2060 ZA5# = .000000006536332#
2070 '
2080 ZF0# = 54.6746#
2090 ZF1# = -.603459#
2100 ZF2# = .0109987#
2110 ZF3# = -.00006167#
2120 '
2130 ZG0# = .07944#
2140 ZG1# = .016483#
2150 ZG2# = -.00053009#
2160 '
2170 ZI0# = .0022838#
2180 ZI1# = -.000010981#
2190 ZI2# = -.0000016078#
2200 '
2210 ZJ0# = .000191075#
2220 '
2230 ZM0# = -.00000099348#
2240 ZM1# = .000000020816#
2250 ZM2# = .00000000091697#
2260 '
2270 ZE0# = 19652.21#
2280 ZE1# = 148.4206#
2290 ZE2# = -2.327105#
2300 ZE3# = .01360477#
2310 ZE4# = -.00005155288#
2320 '
2330 ZH0# = 3.239908#
2340 ZH1# = .00143713#
2350 ZH2# = .000116092#
2360 ZH3# = -.000000577905#
2370 '
2380 ZK0# = .0000850935#
2390 ZK1# = -.00000612293#
2400 ZK2# = .000000052787#
2410 '
2420 '
2430 ' ***** メインルーチン *****
2440 '
2450 *MAIN
2460 '
2470 ' --- データの読込 ---
2480 '
2490 READ N
2500 DIM PRESS#(N) , HLEVEL#(N) , LLEVEL#(N) , M.CHAIN#(N) , V.CHAIN#(N)
2510 DIM DX(N) , DY(N) , CAL#(N) , MASS#(N) , DEN#(N) , VOL#(N)
2520 '
2530 FOR J = 1 TO N
2540 READ PRESS#(J)
2550 READ HLEVEL#(J)
2560 READ LLEVEL#(J)
2570 NEXT J
2580 '
2590 READ W.CHAIN# ' チェーンの単位長あたりの重量
2600 READ M.REMOVE# ' ウエイトの重量
2610 READ INIT.MASS# ' フロート重量初期値
2620 READ T.TEMP# ' タンク内水温
2630 '
2640 ' --- チェーンとウエイトの重量計算 ---
2650 '
2660 FOR J = 1 TO N
2670 M.CHAIN#(J) = (HLEVEL#(J)+LLEVEL#(J))/2*W.CHAIN#+M.REMOVE#
2680 NEXT J
2690 '
2700 '
2710 ' --- 最小自乗法による重量調整曲線の計算 --
2720 '
2730 FOR J = 1 TO N
2740 DX(J) = PRESS#(J)
2750 DY(J) = M.CHAIN#(J)
2760 NEXT J
2770 GOSUB *KAIKI
2780 AA = A ' バラスティングカーブ 切片
2790 BB = B ' 傾斜
2800 STD.DEV = DEV ' 標準偏差
2810 '
2820 ' --- タンク内の密度の計算 ---
2830 '
2840 T# = T.TEMP#
2850 S# = T.SALT#
2860 P# = TP# / 10#
2870 GOSUB *DENSITY
2880 T.DENS# = ZRSTP# / 1000#
2890 '
2900 ' --- 滞在深度の海水の密度の計算 ---
2910 '
2920 T# = O.TEMP#
2930 S# = O.SALT#
2940 P# = TP# / 10#
2950 GOSUB *DENSITY
2960 O.DENS# = ZRSTP# / 1000#
2970 '
2980 ' --- 1気圧下フロート体積(温度t0 の計算) ---
2990 '
3000 T# = T.TEMP#
3010 S# = 0
3020 P# = 0
3030 GOSUB *DENSITY 3040 INIT.DENS# = ZRSTP# / 1000
3050 INIT.VOL# = (INIT.MASS# + AA ) / INIT.DENS#
3060 '
3070 ' --- 各々の計算 ---
3080 '
3090 T.MASS# = INIT.MASS# + BB*TP# + AA
3100 T.BALLAST# = BB*TP# + AA
3110 T.VOL# = T.MASS# / T.DENS#
3120 D.VOL# = T.VOL#*(O.TEMP# - T.TEMP#)*AL.TXP#
3130 O.VOL# = T.VOL# + D.VOL#
3140 O.MASS# = O.VOL# * O.DENS#
3150 C.MASS# = O.MASS# - T.MASS#
3160 O.BALLAST# = T.BALLAST# + C.MASS#
3170 '
3180 *DISP
3190 PRINT USING "重量調整曲線 M(P)[g] =##.######*P[db] +###.##" ; BB ,AA
3200 '
3210 PRINT USING "標準偏差  ##.## [g]" ; STD.DEV
3220 PRINT
3230 '
3240 PRINT "滞在深度圧力  " ;
3250 PRINT USING " ##### [db] " ; TP#
3260 '
3270 PRINT "滞在深度水温 " ;
3280 PRINT USING " ###.## " ; O.TEMP# ;
3290 PRINT "[℃]"
3300 '
3310 PRINT "滞在深度塩分 " ;
3320 PRINT USING " ###.### [psu]" ; O.SALT#
3330 '
3340 PRINT "滞在深度現場密度 " ;
3350 PRINT USING " #.##### [g/cm^3]" ; O.DENS#
3360 '
3370 PRINT "フロート初期重量 " ;
3380 PRINT USING " #######.# [g]" ; INIT.MASS#
3390 '
3400 PRINT "チェーン単位長水中重量 " ;
3410 PRINT USING " ###.### [g]" ; W.CHAIN#
3420 '
3430 PRINT "ウェイト水中重量(治具込み) " ;
3440 PRINT USING " ###.## [g]" ; M.REMOVE#
3450 '
3460 PRINT "フロート体積膨張率  " ;
3470 PRINT USING " #.#E-05 " ; AL.TXP# * 100000# ;
3480 PRINT "[/℃]"
3490 '
3500 PRINT "タンク内圧力 " ;
3510 PRINT USING " ##### [db] " ; TP#
3520 '
3530 PRINT "タンク内温度 " ;
3540 PRINT USING " ###.### " ; T.TEMP# ;
3550 PRINT "[℃]"
3560 '
3570 PRINT "タンク内の水の密度 " ;
3580 PRINT USING " #.##### [g/cm^3]" ; T.DENS#
3590 '
3600 PRINT "タンク内付加総重量 " ;
3610 PRINT USING " ###.## [g]" ; T.BALLAST#
3620 '
3630 PRINT "タンク内フロート総重量 " ;
3640 PRINT USING " ######.# [g] " ; T.BALLAST# + INIT.MASS#
3650 '
3660 PRINT "タンク内フロート体積 " ;
3670 PRINT USING " #####.# [cm^3]" ; T.VOL#
3680 '
3690 PRINT "1気圧下フロート体積(温度t0) " ;
3700 PRINT USING " #####.# [cm^3] " ; INIT.VOL#
3710 '
3720 PRINT "滞在深度でのフロート体積 " ;
3730 PRINT USING " #######.# [cm^3]" ; O.VOL#
3740 '
3750 PRINT "滞在深度でのフロート重量 " ;
3760 PRINT USING " #######.## [g]" ; O.MASS#
3770 '
3780 PRINT "バラスト重量 " ;
3790 PRINT USING " ####.## [g]" ; O.BALLAST#
3800 '
3810 END
3820 '
3830 '***** 最小自乗法による回帰計算 *****
3840 '
3850 *KAIKI
3860 ZX = 0
3870 FOR J = 1 TO N
3880 ZX = ZX + DX(J)
3890 NEXT J
3900 '
3910 ZY = 0
3920 FOR J = 1 TO N
3930 ZY = ZY + DY(J)
3940 NEXT J
3950 '
3960 ZXY = 0
3970 FOR J = 1 TO N
3980 ZXY = ZXY + DX(J)*DY(J)
3990 NEXT J
4000 '
4010 ZXZY = ZX*ZY
4020 '
4030 ZXX = 0
4040 FOR J = 1 TO N
4050 ZXX = ZXX + DX(J)*DX(J)
4060 NEXT J
4070 '
4080 IF (N*ZXX - ZX*ZX)= 0 THEN B = 1 : A = 0 : GOTO *KAIKI2
4090 '
4100 B = (N *ZXY - ZX*ZY)/(N *ZXX - ZX*ZX) ' 傾斜
4110 A = ZY/N - B *ZX/N ' 切片
4120 '
4130 '
4140 '***** 標準偏差の計算 *****
4150 *KAIKI2
4160 DEV1= 0
4170 DEV2= 0
4180 '
4190 FOR J = 1 TO N
4200 CAL#(J) = B *DX(J) + A
4210 CE = CAL#(J) - DY(J)
4220 DEV1 = DEV1 + CE * CE
4230 DEV2 = DEV2 + CE
4240 NEXT J
4250 DEV = SQR((N * DEV1 -DEV2*DEV2)/N/(N-2))
4260 RETURN
4270 '
4280 '
4290 '
4300 ' ***** 海水密度の計算 *****
4310 '
4320 ' 塩分 S#,水温 T#,圧力 P#より海水の密度を計算する。
4330 '
4340 *DENSITY
4350 T2# = T#*T#
4360 T3# = T2#*T#
4370 T4# = T3#*T#
4380 T5# = T4#*T#
4390 '
4400 ZRW# = ZA0# + ZA1#*T# + ZA2#*T2# + ZA3#*T3# + ZA4#*T4# + ZA5#*T5#
4410 ZRST0# = ZRW# +(ZB0# + ZB1#*T# + ZB2#*T2# + ZB3#*T3# + ZB4#*T4#) *S#
4420 ZRST0# = ZRST0# + (ZC0# + ZC1#*T# + ZC2#*T2#) *S#^(3/2) + ZD0#*S#*S#
4430 '
4440 ZKW# = ZE0# + ZE1#*T# + ZE2#*T2# + ZE3#*T3# + ZE4#*T4#
4450 ZAW# = ZH0# + ZH1#*T# + ZH2#*T2# + ZH3#*T3#
4460 ZBW# = ZK0# + ZK1#*T# + ZK2#*T2#
4470 '
4480 ZA# = ZAW# + (ZI0# + ZI1#*T# + ZI2#*T2#)*S# + ZJ0#*S#^(3/2)
4490 ZB# = ZBW# + (ZM0# + ZM1#*T# + ZM2#*T2#)*S#
4500 '
4510 ZKST0# = ZKW# + (ZF0# + ZF1#*T# + ZF2#*T2# + ZF3#*T3#)*S# + (ZG0# + ZG1#*T# + ZG2#*T2#)*S#^(3/2)
4520 '
4530 ZKSTP# = ZKST0# + ZA#*P# + ZB#*P#*P#
4540 '
4550 ZRSTP# = ZRST0#/(1# - P#/ZKSTP#)
4560 ' PRINT S# , T# , P#
4570 ' PRINT USING " #####.##### ######.##### " ;ZRSTP# , ZKSTP#
4580 RETURN
4590 '
4600 '
4610 '

参考文献

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  2. Davis,R. et al.,"The Autonomous Lagrangian Circulation Explore(ALACE)", Journal of atmospheric and Oceanic technology, 9,264-285,(1992)
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  4. Dexter,S.C., "Handbook of Oceanographic Engineering Materials",314pp,Wilely,NY,(1979)
  5. 気象庁,海洋観測指針,(1972)
  6. 日本機械学会,機械工学便覧,(丸善,東京,1993)
  7. 東京天文台,理科年表,(丸善,東京,1990)
  8. Roemmich,D. et al. "On the design and implementation of Argo - A Global Array of Profiling Floats - ", Argo Science Team, (1999)
  9. 佐伯理郎,”ARGO(アルゴ)計画”,気象,44(7),4-8(2000)
  10. Swift,D. and S.Riser, "RAFOS Floats: Defining and Targeting Surfaces of Neutral Buoyancy", Journal of atmospheric and Oceanic technology,11(4),1079-1092,(1994)
  11. Swift,D. and S.Riser, "Technical Note: Surveys of Buoyancy Requirements for Profiling Drifters",(2000)
  12. 田中 豊,脇本和昌,多変量統計解析法,(現代数学社,東京,1983),296
  13. 水野恵介,"高度海洋監視システム(ARGO計画)構想について”,日本造船学会誌,854,485-490(2000)
  14. Webb Research Corporation, (Users Manual - APEX-SBE Profiler ),13(1999)
  15. Wilson,S. (ed.), "Observing the Ocean ... in Real Time: Argo " (アルゴ計画パンフレット)(1999)