第10回ARGO計画推進委員会議事概要

日時:平成17年2月22日(火) 14:00〜17:00

場所:中央合同庁舎2号館低層棟 共用会議室3A


出席者: 平啓介委員長、花輪公雄委員、道田豊委員

篠原正治委員(代理出席:落合氏)、佐藤洋委員、和田時夫委員、

小滝晃委員(代理出席:廣澤氏)、加納裕二委員、木村吉宏委員、

土出昌一委員、長井俊夫委員、菊地聡委員、四竈信行委員

欠席者: 今脇資郎委員、上原孝史委員


【議題1】

資料1-1に基づき内閣府落合氏より、「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」平成15年度評価報告書について説明がなされた。

 

【議題2】

 (資料2-1及び2-2について海洋研究開発機構(JAMSTEC)四竈委員より説明)

花輪委員: 中国やインド等もアルゴフロートの自主開発を開始したと聞いたが、フロート開発についての最近の動向はどうなっているのか。

四竈委員: 中国は2年前に自主開発を始めたが、良い結果は得られていないようだ。インドは自主開発を進めているようだが、詳細は不明である。米国ではスクリプス海洋研究所が自主開発したソロフロートについて、ポンプを2重にして小型化を進めているようだが、JAMSTECが開発を進めているものほど小さいものにはならないだろう。ドイツは自主開発を進めていると聞いたが、詳細は不明である。英国、豪州は開発の話を聞かない。

花輪委員: 水温・塩分以外のセンサーを取り付ける動きはあるのか。

四竈委員: 今後、いろいろなセンサーの開発が進めば、ARGOフロートはプラットフォームとして利用されるだろう。酸素センサーについては、アンデラ社とシーバード社が開発している。アンデラ社製の酸素センサーは、まもなく東北大学がAPEXに取り付けて投入する見込み。来年度にJAMSTECでもアンデラ社製、シーバード社製のものを取り付けて、CTDの測線で投入する予定。また酸素センサー付きのものは、ラブラドル海などでも投入されている。クロロフィルセンサーについては、東大の安田氏が鶴見精機製のNinjaに取り付けて観測中である。良いデータが取れているようだ。

道田委員: 送信できるデータ量を増やすためにイリジウム衛星等を利用することは考えないのか?

四竈委員: 2006年に打ち上げられるヨーロッパのMETOP衛星に次世代ARGOSの搭載が予定されており、双方向でかつ現在の通信量の20倍の通信が可能になる予定である。

イリジウムを利用した場合は、1分〜2分で大量のデータが送信可能であり、有効である。ただし、イリジウムについては、現状は国内において発信するための無線免許の取得は難しい状況。今後、総務省とも話をしていきたい。

道田委員: フロートのデータをアスキー形式でも提供することについては、とても良いことだと思う。前にWOCEのデータについてアスキー形式でも提供することを提案したが対応してもらえなかった。ARGO幹事会議での提案が実現するようにして欲しい。

四竈委員: ARGO幹事会議はユーザーの立場の研究者が多い。ARGOデータ管理チームとは温度差があり、データ管理チームではアスキー形式は不必要という考えもある。ARGO運営チームから強くデータ管理チームにアスキー形式でのリリースも可能とするよう働きかける予定である。

道田委員: 是非そうして欲しい。

平委員長: NEAR-GOOSのデータベースではどうなっているのか。

高槻氏:  アスキー形式で提供されている。

四竈委員: JAMSTECでも、NetCDF形式は使いづらいので、リアルタイムモードとディレイドモードの中間的な品質管理の済んだデータをアスキー形式でも提供している。インドのデータセンターでもアスキー形式で提供している。

平委員長: Ninjaはどのくらい使われているのか。

四竈委員: 使用しているのは、ほとんどJAMSTECである。JAMSTECでは8本ほど投入し、2本は現在も稼動している。


 (資料2-3-1について気象庁高槻氏より説明)

 (資料2-3-2について海上保安庁長井委員より説明)

平委員長: 水深1000m及び2000mの流速を求める際に行った補正はどういうものか。

高槻氏: 海面で得られるフロートの位置のデータから、フロートの海面浮上時と沈降開始時の位置をより正確に求めることにより補正した。

平委員長: 海洋短波レーダーについて、アンテナパターンの調整により、結果がどのように変わったのかわからない。また流速計のデータと海洋短波レーダーのデータは同時刻で比較したのか。

長井委員:同時刻で比較した。アンテナパターンの調整では期待したほど良くならなかった。


 (資料2-4について気象庁石川氏より説明)

 (資料2-5及び2-6について海洋研究開発機構湊氏より説明)

平委員長: 米国のフロートでも日本近海にあれば、日本でデータ処理をするのか。

石川氏:  米国のフロートデータは米国の国内データセンターで処理されGTS(全球気象通信システム)やARGO全球データセンターに入力される。

平委員長: それでは、米国のデータはどこで見られるのか。

高槻氏:  GTSに入力されたデータは世界中で利用可能である。NEAR-GOOSでも見ることは可能である。

花輪委員: 気象庁が提供している解析データのうち、流れの分布にはARGOデータが使われているのか。

高槻氏:  使われている。

花輪委員: ARGOが始まる前はXBTが主であり、年に4万点程度の観測データが得られていたが、ARGOに置き換わったため塩分のデータも取得できるようになった。また、これまでの観測は航路に沿った観測が主であったが、ARGOによって、平均的にバラけた観測データを入手できるようになった。データの質が変わっているので、ARGOによって、解析プロダクト等がどれだけ良くなったのかをアピールして欲しい。

平委員長: 漂着したフロートの回収について、国内の協力体制はどうなっているのか。日本に漂着した例はあるのか。

四竈委員: 過去にアメリカのフロートで日本海に投入したものが日本海沿岸に漂着した例がある。その時は日本海区水産研究所で対応した。ARGOフロートにはラベルが貼られており、6カ国語で連絡先が記載されている。

平委員長: 体制がとられていれば問題ない。


(休憩)


 (資料2-7について海洋研究開発機構四竈委員より説明)

 (資料2-8-1について海洋研究開発機構宮沢氏より説明)

 (資料2-8-2について海洋研究開発機構増田氏より説明)

北村氏:  4次元同化による長期再解析の結果がシミュレーションより良くなるのは当然と言えば当然。既存の再解析と比較してどこがよくなったのか。

増田氏:  熱の収支に関して、人工的な調整が不要となったことである。

平委員長: 資料2-7に示したWOD98とは何か。

四竃委員:  長期平均による1月の平均であり、2003年1月のデータをいうわけではない。

加納委員: 短期気候予測実験によるエルニーニョの予測で、海洋表層のデータが加わると精度はどうなるのか。

宮沢氏:  良くなると考えている。

北村氏:  表層データを入れたらもっと良くなるとのことだが、SST(海面水温)のみ同化したのがむしろ良かったのかもしれない。表層データも同化した結果は大変興味深い。

道田委員: 資料2-8-2-2の赤道域でエルニーニョが良く再現されているが、エルニーニョ減衰期に合っていないように見える。その理由は。

増田氏:  熱フラックスの問題と考えている。もしかすると、モデルの癖かもしれない。

平委員長: 資料2-8-2-4の赤道亜表層の流れは、ARGOのトラジェクトリも使用した流速結果か。

増田氏:  いずれは同化して使用したいが、今はまだ使用していない。ARGOによる海面の塩分と力学高度は入れている。


 (資料2-9について気象庁北村氏より説明)

平委員長: 海面水温の予報精度1℃はうまくいったというが、0.5℃はどうか。

北村氏:  現在計算中のモデルでも0.5℃は残念ながら困難だと思われる。ただし、予報精度の改善はなされてきたと考える。

道田委員: 海洋貯熱量の評価におけるコントロールランはどのようなものか。

北村氏:  コントロールランは利用できる全データを使用したものである。ARGOのデータを抜いても貯熱量がコントロールランと一致すれば、ARGOのインパクトはないことを意味する。

平委員長: TAOブイがなくても良いのか?

北村氏:  東西平均するとTAOとARGOのデータは同程度のインパクトとなっている。だが、東西の水温分布においては、TAOは重要である。また、亜熱帯域ではハワイから赤道を横切るXBTラインも重要であった。ARGOだけでは、カバーできないことがある。

平委員長: ということはARGOのみで良い、ということではないということ。

花輪委員: 観測手段それぞれに持ち味があって、総合的な観測が必要であるということだと思う。

道田委員: 結論をあまり単純化しすぎると誤解される。その表現ぶりには気を付けるべき。

北村氏:  そのとおりと思うので、今後気を付けたい。


【議題3】

 資料3に基づき、事務局(国土交通省廣澤氏)より説明。

 また、「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」の目標に関して、加納委員より季節予報の精度に関する説明がなされた(配布資料なし)。


(季節予報の精度について)

平委員長: 季節予報の対象範囲は、日本か。

加納委員: 日本の地域毎である。

平委員長: 予報のスキルがないと精度は50%なのに、平成14年度の精度が54%というのは、尺度が厳しいのでは。こういう形で出すつもりか。

加納委員: 検討する。

平委員長: 平成14年度から16年度にかけての精度の向上はARGOの成果と言えるのか。

加納委員: 3ヶ月予報で用いる力学予報の海面水温には、ARGOの成果が反映されている。


(別紙(資料3)について)

平委員長: 論文を引用しやすくするため、事業報告と論文をリンクさせ、論文リストは事業毎にすべきでは。論文のリストは既に出来ているのか。

四竈委員: 出来ている。

平委員長: 参考資料2のリストは膨大な量になるのでは。

四竈委員: そんなに多くはないと考えている。

平委員長: とりあえず集めてみるということで、四竈さんのところで行っていただけるのか。

四竈委員: はい。

平委員長: 参考資料3は。

四竈委員: 既にJAMSTECの分については作成済み。

平委員長: それではその方向で進めていただく。

道田委員: 報告をまとめる時には、評価報告書の指摘事項を洗い直して、対応がなされているのか確認が必要。また、成果を国民に向けて明解に示す必要もあるので考えて欲しい。


(本プロジェクト終了後の活動について)

四竈委員: 今後も関係機関と協力してやっていきたいので、連絡機関を設けて欲しい。JAMSTECは、今後規模は多少縮小するかもしれないが、ミレニアム・プロジェクトが終了しても、平成20年度まではフロートの展開を継続していく計画である。また、水産研究所等の他の機関も含めて協力関係を広げていきたい。

長井委員: 海上保安庁は短波レーダーを今後もやっていく予定である。また、実験局としての免許がこの3月で切れるため更新手続きをとっているが、今後のプロジェクトの動向について問われている。


加納委員: 気象庁は海洋の健康診断表に取り組む計画。このため、予測も含めて日本近海の観測を強化すべく、中層フロートを調達・投入する。また、今後もデータ管理を継続していく予定。継続の枠組みは、ARGO推進委員会のような有識者を含む委員会であれば、続けていきたい。どちらにしろ、省庁間の連絡会は必要。

佐藤委員: 有識者も含めたいが、実際には各省庁の考えによるため、他の機関を加えることを含め次回までに検討する。

平委員長: それでは、海上保安庁の事情もあり、まずは枠組みの名前が必要。

佐藤委員: “ARGO”はあったほうが良いか。

花輪委員: このARGO計画はミレニアムの中で成功した部類。この場の省庁は継続するとのことなので、“ARGO”は残して欲しい。

平委員長: 関係者で検討して欲しい。

佐藤委員: 次回の事務局である文部科学省が引き取り、提案させていただく。