第6回ARGO計画推進委員会 議事概要
日時:平成14年11月27日(水)14:00〜17:00
場所:気象庁大会議室
出席者:平委員長、今脇委員、花輪委員、道田委員、吉田委員、昆委員、佐伯委員、加納委員、堀田委員、竹内委員、金澤委員、加藤委員代理、小林委員代理
欠席者:山元委員、佐々木委員
議事概要
議題1 第6回、第7回ARGO計画評価・助言会議報告
● 内閣官房 加藤委員代理(田中)から概要説明(資料1)
(質疑応答)
今脇委員:データ同化において、実用的なシステムとはどういうものか。
平委員:現業的に取り入れるという意味での実用的ということか。
堀田委員:現業というのは、気象庁でやっている業務と理解しており、それではない。将来の気候変動モデル構築において、精度の良いデータセットを作るようなことを考えており、15,16年度に取り組むこととしている。
今脇委員:実用というのは予報に使えるように急いでプロダクトを作るという意味なのか。
竹内委員:評価委員会の趣旨とは違うかもしれないが、当方はそのように理解している。
議題2 平成14年度の進捗状況及び平成15年度以降の計画
● 文部科学省 吉田委員から説明(資料2-1,2-2)
(質疑応答)
平委員長:14年度の会合(西太平洋ネットワーク)はどこでやるのか?
堀田委員:キャパシティービルディングの一環として、沖縄で研修中であり、横須賀でも実施することとなっている。
● 海洋科学技術センター 竹内委員から説明(資料2-1,2-3)
● 海上保安庁 金澤委員から説明(資料2-3)
● 気象庁 加納委員から説明(資料2-3)
(質疑応答)
道田委員:10月のPICESで具体的な動きは?JODCで行われたトレーニングコースにSOPACのメンバーが来ていたが、協力が得られるのではないか。
安藤氏(JAMSTEC):PICES第11回年次会合のワークショップにおいて、日本のARGO計画の現状、塩分オフセットと品質管理について紹介した。
竹内委員:SOPACのメンバーは関心を持っているようである。IO-GOOSという名でインド洋でもGOOS地域プロジェクトの動きがある。
堀田委員:SOPACは南太平洋応用地球科学委員会(South Pacific Applied Geoscience Commission)であるが、このチャンネルで引き続き連携協力を強固にしようと進めている。
平委員長:9月の、道田委員と出席したWESTPACの総会で、SOPAC海域を対象とするPacific-GOOSについて議論した。WESTPACはSOPACと協力している。
花輪委員:先日のWOCEコンファレンスにおいて、ARGOが大きな位置を占めるという話があった。日本もこれに充分貢献しているとされていた。世界中の研究者は、ARGOのシステムが更に発展するものと期待している。
竹内委員:C−ARGOという二酸化炭素モニタリングのARGO計画もあるということで、Argoフローとは測定器のプラットフォームとして使われる可能性がある。
平委員長:ARGO計画は16年度以降はどうなるのか。
堀田委員:JAMSTECでは17年度以降について議論している。次の研究として何らかの開発を目的とした予算をお願いしていきたい。これがルーチン化した場合には海上保安庁、気象庁との協力も含めて、話していきたい。
平委員長:いろいろとやっていただくことに感謝する。
今脇委員:VOS(篤志船)からのフロート投入について、最終的には高速で航走しながら投入していくのか。
竹内委員:まだそこまではいかない。最初は船速を落としてから投入する。最終的に実用化するには巡航速度で投下するのが理想である。箱に入れて、ある程度下ろしてやればうまくいくだろう。アメリカやイギリスでは航空機により空から投入するものや滑り台を使う方法等を試みている。
今脇委員:国産のフロートの開発は将来的にどう考えているのか。
竹内委員:世界的にも採用されるようなものである必要があると考えている。間に合えば、この計画の中でやりたい。
今脇委員:急いでやろうと思うと大変だ。一、二年の勝負である。
今脇委員:バラスティングについて、高圧タンクは2000mぐらいの水圧をかけるのか。
竹内委員:かける。業者に任せると高くつく。台数も考えると、ミレニアム以降も睨むのであれば、自前でやることを考えた方がよい。
平委員長:これは海水を使うのか。
竹内委員:海水ではない。バラスティングの計算は、タンクの中の水温を計測して行っている。
平委員長:むつ研究所でのバラスティングは現地職員が実施しているのか。
竹内委員:現在は本研究グループが担当している。
平委員長:海洋情報部のHFレーダーは、野島崎と八丈島を結ぶ海域では、南北方向しか測定できないということか。
金澤委員:HFレーダーがこの海域の南北にあるため原理的に視線方向である南北成分しか測れない。東西成分はこの海域の両側のデータから補間している。
道田委員:ADCPのデータと差があるが、流速はどのくらい差があるのか。
金澤委員:2〜3ノットの場合がある。
今脇委員:ほとんど合っていないのではないか。
金澤委員:データの見直しが必要であると考える。詳しい原因をチェックしたい。
佐伯委員:神津島と三宅島の水位差は、TPから持ってきたのか。三宅は火山噴火でかなり大きい隆起・沈降があるはずだが、その補正はやっているのか。
金澤委員:調査して別途、回答したい。
平委員長:人工衛星による絶対的な高さは決めてないのか。
金澤委員:GPSを使っているはずである。別途、調査して回答したい。
今脇委員:船のADCPとの比較の件は、これだけ合わないのであればこの場で出すのは早すぎる。
花輪委員:HFレーダーの受信装置はもう一箇所設置すると聞いたがどうなったか。
金澤委員:相模湾を対象として、荒崎と大島の間に設置しているが、受信についてはまだ評価が十分できていない。評価でき次第、公開したい。
今脇委員:ARGOフローとの塩分計測についてCTDと比較すると、0.02〜0.03PSUぐらいずれている。これは許容範囲は超えているとみるのか。
竹内委員:超えている。
平委員長:気象庁のフロートに見られる塩分値の低い方向へのシフトは、塩分センサーに異物が入ったことにより生じたと考えているのか。
加納委員:異物が入ったかどうかはわからない。投入後380日目位から塩分値が低い方向にシフトし、100日経ったら元に戻った。
平委員長:低温度の、異なる水の中にあったと言うことか。
石川氏(気象庁):近傍のCTDの結果では塩分値の低下は見られず、水が変わったということではない。
今脇委員:海洋物理的には水温に対して塩分が全部低いというのは考えられない。塩分計測について障害があったと考える。
竹内委員:外国でも塩分がシフトして、ある時突然戻ったということを聞いたことがある。生物付着が原因と思われる。
今脇委員:これは防ぎようがないということか。曖昧性をもって考えないといけないということか。
竹内委員:生物の付着でも起こることであり、品質管理が必要となってくる。
今脇委員:ずれをみていれば検出できるのか。検出して補正するというシステムはできるのか。
竹内委員:生物による異常値と考えれら、検出システムはできる。
今脇委員:表層の流速による2000dbの流速の補正について質問する。沈降時の最後の信号から浮上時の最初の信号までの時間と距離で流れを出したのか?
加納委員:沈降、浮上する時刻は正確にわかっており、海面でのフローとの位置信号から海面の流れを推定し、沈降時と浮上時の位置を求めた。これを使い、2000dbの流れを求めた。
花輪委員:前回、気象庁が放流した6台のブイのうちかなりの数がオペレーションを早く終わったという報告が前回あったが、今回さらに1台稼働停止したということか。
加納委員:今回の稼動停止は、残念ながら回収に失敗したためである。
● 海洋科学技術センター 竹内委員から説明(資料2-4)
(質疑応答)
今脇委員:投入時に塩分値がずれているとの判断の根拠は何か。
竹内委員:ヒストリカルデータと合わせたことから分かった。
花輪委員:塩分にトレンドがあるように見えるが、この処置はどういう考えか。
竹内委員:ヒストリカルデータに完全に合わせるのではなくて、実際に観測した値との差が極端に大きくならないように最小二乗法で合わせてある。
今脇委員:補正の時の最後の値はたまたま一致したのか。
竹内委員:意図的にあわせたものではない。データ品質管理方法の正しさを示していると思われる。
● 海洋科学技術センター 竹内委員から説明(資料2-5)
(質疑応答)
特になし。
● 気象庁 加納委員から説明(資料2-6)
(質疑応答)
平委員長:資料2−4,5,6について、意見はないか。
花輪委員:気象庁とJAMSTECとともにプロダクツを作成するとあるが、どういうものを作るのか。
竹内委員:国際的な分担はこれからの大きな課題である。最低限、水温、塩分、流れの分布など検討していきたい。どういう内容かは、今後の要望も踏まえて考えていきたい。
平委員長:JODCの役割について、連携はどうなっているのか。
加納委員:別途、作業部会の方で報告する。
平委員:資料2−4について、投入前の補正の値はずれているのか。
竹内委員:事前検定の値との差である。投入直後の表面にある時にセンサーがずれてしまったと考えられる。
● 海洋科学技術センター 竹内委員から説明(資料2-7)
● 気象庁 佐伯委員及び北村エルニーニョ監視予報官から説明(資料2-8)
(質疑応答)
平委員長:表層水温予測の目標が2002年度までに1℃、2004年度までに0.5℃の精度と、いうことからするとこれまでの成果はどうなのか。
気象庁(北村氏):1℃、0.5℃の評価のスコアというのは今回の資料にある単純な相関係数ではなく、いくつかの熱帯太平洋をいくつかの四角に分けて、その中で最も精度の悪い値をもとに計算する。今回の図は同化システムの改良だけを行った予備的な実験の結果にすぎないが、あえてこれで計算してみると、1.1〜1.2℃ということになる。現システムと比較して相関係数の改善は非常に大きいが、スコアの値ではそれほど変わっていない。
平委員長:地球シミュレータの計算速度は、20倍程度、或いは、もっと見込めるのか。
竹内委員:全体がどうかは分からないが、このモデルに関しては、早くなっている。
平委員:1℃、0.5℃という分かりやすい実施目標と今回の実験に関して、何かコメントは?
佐伯委員:誤差については、右肩下がりになるよう今度も努力したい。予備的な結果ではあるが、今回の塩分観測や海面高度から初期値が改善され、予測計算結果が上がったことは追い風になった。
堀田委員:データ同化のうちモデルの高度化に関して、ARGO計画推進の年次計画に、モデルの高度化研究が15年度から入っているが、ミレニアムの中では予算措置されていない。これは、地球フロンティア研究システムの中の大気海洋結合モデルに結合していこうと考えている。また、これを加速させる意味で、14年度から人・自然・地球共生プロジェクトの中で一課題ををスタートさせた。その中で結合モデルの開発が認められ、松野太郎システム長をヘッドに、気象庁、東大CCSRも参加して実施することとしている。従って、15年度以降は、ミレニアムに加えて、この共生プロジェクトで進めて結合していくことと考える。
平委員長:私どもとしては大歓迎であるが、ミレニアムとしてどう評価するか配慮が必要である。
今脇委員:気象庁の海面フラックスの補正量について、いわゆるフラックス補正と同じことか。世界的には補正しなくても結合モデルでうまくいくという見解がある。
気象庁(北村氏):フラックス補正そのものである。結合モデルでは最初の数年は調節があって、そのあと安定する。温暖化のような長期の気候研究では、かなりのモデルが補正量無しで成功しているが、始めの一年、二年程度を扱うモデルはインバランスが依然問題であり、フラックス補正を行った。もう一つは、内輪の事情だが、モデル自身を精査してフラックス補正が少なくていいようなモデルを開発する時間的な余裕が無かった。
今脇委員:モデルを動かすとき、ARGOのデータとしては、塩分が大事だということか。
北村氏:その通り。しかし、塩分だけではなく水温も大事である。熱帯域ではTAO/ TRAITONブイが主役であるが、躍層付近の水温データは充分でないので、熱帯域でのARGOの水温データは貴重である。
議題3 作業部会からの報告
● 気象庁 加納委員から、データの配信・処理等に関する作業部会の活動報告について、説明(資料3-1)
(質疑応答)
平委員長:G−DACとGTSのデータとはスピードが違うのか。
竹内委員:気象庁からGTSに入ると同時に、同じものがG−DACへ入る。G−DACへ入ったものは品質管理を行う。品質管理のタイムラグは、リアルタイムモードは2,3日ぐらい、ディレードモードは6ヶ月かかる。品質管理のプログラムでは、ある程度そのフロートの歴史を知らないと良い管理ができない。
● 海洋科学技術センター 竹内委員から、中層フロート展開に関する作業部会の活動報告について、説明(資料3-2)
(質疑応答)
佐伯委員:ロシアが2本入れたということだが、ここに出された図で日本海にもう1本あるのは?
竹内委員:位置は間違いだと思うが、CREAMSでいれたもので、ロシア・韓国・米国が共同でやったプロジェクトで入れたフロートと思われる。
道田委員:白鳳丸がハワイへ行くが、その際に投入の協力ができるものと思われる。
今脇委員:みらいによる南半球の世界一周航海はあまり機会のないところへ行くので、有効な航海である。
竹内委員:ARGO以外でも非常に関心が高い航海である。
議題4 平成13年度評価・助言に対する取り組みについて
(質疑応答)
平委員長:今回修正案を出していただいたので検討しなければならない。委員の方々には前もって配付してあるので、それぞれについて、後ほど意見を頂きたい。塩分オフセットがなぜ良くなったのか、事前に検定したためか。
竹内委員:表層でポンプが働かないようにしたため。表層で働くと吸い込むときに汚れた油やプランクトンを吸い込んで、結果、汚れてしまう。もともと表層では働かないはずだが、バグがあったため働いてしまったようだ。時間が長くなったのが原因。全部が塩分オフセットを起こすわけではなく、たまたまそういう場所にいるものが起こしてしまった。
今脇委員:いつも表層で止めるということか。
竹内委員:そのとおり。
花輪委員:評価委員会の指摘の中に、このプロジェクトを行ったらどんなインパクトがあったか、ということがあった。このプロジェクトと、このプロジェクトを行わなかった場合との差が分かるような簡単な事例を示すことが大事であり、世間へのアピールにつながる。分かりやすい売りになる。このプロジェクトの重要度を広く理解させなければならない。
佐伯委員:国内的には、海洋学会等で情報を出していきたい。具体的なアドバイスがあれば、この委員会のみなさまにもお願いしたい。
花輪委員:いろんなレベルでそれを示せると思うので、一番簡単なところからどんどんやっていただきたい。
加納委員:取り組みの6ページに記載されている、現業的プロダクトへのインパクト評価として、ただいまの花輪委員の提案を取り入れていく。
花輪委員:今後、ARGOデータを使ってサイエンティフィックな成果をアウトプットしていくと思うが、そういうものをずっと監視していくことも大事である。成果としてどんどん出し始めているが、どういうふうに使われているか、このプロジェクトの中で監視をしていくのはどうだろうか。
竹内委員:ホームページでこれまでの研究のリスト等を出していく。今後、いろいろと意見をインプットしていきたい。
平委員長:HFレーダーによる流速監視は、全体の観測システムへ取り込んでいくと言うことだが、有機的な繋がりは計画されているのか。
金澤委員:先ほどの絵の形では、引き続きインターネットで提供して行くが、研究者の希望に応じて、数値データを提供できるような仕組みを考えていきたい。
平委員長:気象庁の係留系のデータはどうか。
加納委員:要望に応じて、ARGOのコミュニティー等に出していきたい。
今脇委員:シンポジウムの話がたくさんでているが、しっかりやらないと答にならないのでは?
竹内委員:今のところ、3月の海洋学会のシンポジウムはプロジェクトの活動報告に加え、データを使った研究や各方面へのインパクトを含めた内容にしたい。気候変動モデルがどうなっているかなどの声もあり、こういう場で公表したい。推進委員会では説明しきれないディーテイルを話すとともに、研究成果もぼちぼち出ているのでこれらも出していきたい。
道田委員:WOCEの会議でも、ARGOを補完して西岸境界流域をいかに計るか、と言うことについて強い意見があった。これを踏まえて、このARGOフロート以外の観測の位置付けが重要になっているという認識を持って、しっかりやってもらいたい。
平委員長:フロート以外の観測によるモニタリングの充実は、今後も引き続きお願いしたい。
議題5 その他
(連絡事項)
事務局:資料については、清書したものを送付するのでよろしくお願いしたい。次回の日程については、15年4月頃を予定しているのでよろしくお願いしたい。
閉会