第7回ARGO計画推進委員会議事概要

日時:平成15年4月21日(月)14:00〜17:00

場所:文部科学省特別会議室

出席者:平委員長,今脇委員,花輪委員,道田委員,篠原委員,小林委員,昆委員,桂委員,佐伯委員,加納委員,

堀田委員,竹内委員,海上保安庁中村上席研究官(佐々木委員代理),

文部科学省花岡地球・環境科学技術推進室長(吉田委員代理)

欠席:山元委員


● 議題1 「平成14年度の事業実施状況と平成15年度の事業実施計画」

・ 文部科学省花岡委員代理より平成14年度の事業実施状況と平成15年度の事業実施計画の総括説明が行われた。

平委員長:説明のあった投入済みアルゴフロート150本というのは、全てミレニアムプロジェクトによるものか。

竹内委員:2本ほど以前のものが残っているが、ほとんど全てミレニアムで投入したものである。

平委員長:つまり昨年度95本投入して、残りは昨年度以前に投入したものが生きているということか。

竹内委員:生きているときにデータが取得されているので、死んでいるものも含めてカウントしている。

桂委員:11月に予定されているシンポジウムは、日本で実施するのか。

竹内委員:日本で実施する。

海洋科学技術センター竹内委員より、資料1−1「国際協力体制の構築」について説明が行われた。2003年3月に中国で“International Argo Science Team Meeting”が開催され、世界中で投入されたアルゴフロートが2003年度中に1000本に達する見込みであること、Project Officeの設立、アルゴフロートの滞在深度に関して議論したほか、(北西太平洋での)投入計画の調整等の議論を日・中・韓で行ったことなどが報告された。また、日本において2003年11月、アルゴ科学シンポジウム“First Workshop on Scientific Contributions of the Argo Project”を海洋科学技術センター及び米国NOAAの共催で実施する予定であることが報告された。

 海洋科学技術センター安藤オブザーバより、資料1−2「中層フロートの展開」について説明が行われた。昨年度95本のフロートを北太平洋・インド洋東部・南大洋に投入したこと、これまで投入したフロートの稼働状況、フロートの技術的問題の検証と対策、結果としてフロートの品質が向上したこと、ボランティア船による投入装置の実海域実験、センサーの再検定、国産フロートの実海域試験などについて報告された。

 海上保安庁桂委員及び寄高オブザーバ並びに気象庁加納委員より、資料1−3「アルゴフロート以外の観測システム」について説明が行われた。海上保安庁による、平成14年度の房総半島野島埼・八丈島の短波レーダーによるリアルタイム海流データの取得状況及びその検証結果、平成15年度の本州南方の1点における係留式測流システム等による短波レーダーデータの検証計画、及び測量船によるフロート検証計画について報告された。

今脇委員:ベストフィットしたときの傾きが1より小さいのはなぜか?

寄高氏(海上保安庁):主にずれているのは、局からかなり遠い海域である。ノイズも大きいが、バイアスもあり、平均値自体があまり合っていない。

今脇委員:検出限界すれすれでのデータということか。

寄高氏(海上保安庁):そうです。意味のある傾きのずれではない。

続いて、気象庁による、塩分センサーの経時変化の検証、フロートによる流速計算における誤差の補正方法の検討について報告された。

平委員長:(海面並びに沈降及び浮上中の流れのパーセントについて)パーセントとは何に対するパーセントか。

加納委員:フロートの滞在深度における、真実の流れに対するパーセントである。これを全く計算しないと、全部で30%ですから、10cmの流れのところを13cmと大きく見積もってしまう。

平委員長:漂流は浮上時間が長いと大きくなるのか。

加納委員:そうです。APEXの方が早く浮上する。PROVORの方がゆっくり浮上するということで若干大きい。またPROVORの方が沈降前に位置が得られてから実際に沈むまでの時間が大きいので誤差が大きくなる。どちらにしても1割から2割程の誤差を持つ。

平委員長:それでは、竹内委員の説明について質問はないか。

花輪委員:アメリカScripps海洋研究所にProject Officeを置き,今のところアメリカの予算により実働1名で活動しているとのことだが,各国に費用負担を要求するのは今後の見通し・計画があってのことなのか。

竹内委員:現状の1名が増える計画はない。現在1名の費用・活動費は全部アメリカから出ているが,国際的になるべく広く負担するようにしたいとのこと。例として、フロートの数に応じた負担、例えばフロート一台について3%という具合に負担するという提案があった。

平委員長:AICとの関係はどうなっているのか。

竹内委員:AICはEEZに入るとか、そういうことを知らせるために設立されたものである。Project Officeはプロジェクトの調整などを行う。もちろんAICとProject Officeが別々にやるのが良いかどうかは議論がある。

平委員長: AIC設立の時にも(費用負担に関して)全く同じ議論があった。それでまた、米国が勝手にこのようなものを作るというのはいかがなものか。なぜ必要なのか理解できない。

竹内委員:AICの時と同じように、米国が勝手に作ったという感がないでもない。しかしアルゴ計画のようなプロジェクトが成熟してきて、フロートの数も増え、これまではアルゴサイエンスチームが色々な調整をやってきたが、チェアマンの負担が非常に大きくなってきている。彼も一サイエンティストなので、これからProject Officeのようなものがないと、プロジェクトとしてやっていくのが難しいというのは確かである。しかし、それでは必要だからといって、各国のコンセンサスを得て負担をどうするかを詰めてから出た議論かというと,そうではない。ただし、Project Officeがないとこれから進めていくのは難しい。

平委員長:他に何かないか。

佐伯委員:(費用を負担している)アメリカというのは具体的にはどこの機関か。

竹内委員:NOAAである。カナダは(国際的に負担することに)賛成だったが、他の国はなかなか難しいという話だった。

平委員長:英国は賛成だったのではないか。

竹内委員:イギリスは、メットオフィス(UKMO)の人はかなり反対していた。インドの代表からは、政府間の枠組みにしないと駄目ではないかとの意見があった。しかし、将来的に現業化される場合は政府間でやらざるを得ないが、あまり早くから政府間の枠組みにすると柔軟性が悪くなる。今は研究者同士が勝手にやっているようなところがあるからできているところもある。政府間の枠組みに移行する早さに関しては,国によって温度差がある。Project Officeを作るというのも、これまでは各国が勝手に実施していたことを、もう少し調整しましょうと、少し一歩踏み出したところである。

佐伯委員:アルゴ計画というもの自体が、放っておくと科学的な成果が出てきにくい。だからJAMSTECが、秋にシンポジウムをやろうということだと思うが、Project Officeがあると、科学的な成果が組織的に出てくるので、プロジェクトを中期的に見た場合に、そういうものを作るのは良いことだと思う。インドの主張のように、政府間の枠組みにしてしまうと、科学的な成果が出てくる前に政治的な話になって、科学的にも現業的にも良いな結果にはならない気がする。どのように政府間の枠組みに移行するかという点については難しい面がある。まずは科学的な成果がないと、現業化も何もないのではないかと思う。Project Officeを作っていくというイニシアティブは歓迎すべきものだと思う。

竹内委員:推進委員会で(Project Officeに金を)出すべきだという話になった場合に、予算から出せるものなのか。

佐伯委員:このプロジェクトの予算にはないので、国費では無理だと思う。

竹内委員:少なくとも現状ではできないと言うことか。

平委員長:アメリカが勝手に作った組織に、金がいるから出してくれと言われて,はいそうですかとはいかないと思う。

竹内委員:それは払うべきかどうかの問題だが、(仮に)払うべきだとなった場合に、純粋に経理事務上可能なのか。

堀田委員:ミッションが明確でないから、学会活動のようなものである。各機関の判断の問題だが、JAMSTECではこのまま科学者による枠組みだけだと難しい。しかし、ポストミレニアムを考えたときに、政府間によるメカニズムをどこかに作って、将来的な長期的なプロジェクトとして動き出せば、機関として支出することは可能ではないか。

竹内委員:ポストミレニアムまでの1年から2年の間に、政府間の枠組みへの移行は簡単にはいかないと思う。

平委員長:例えばIOCの立場からいくと、WMOとの提携ということにはJCOMMということになるのではないか。

佐伯委員:今政府間の枠組みに移行するのはARGO計画にとっては良くない。成熟してきたときに、IOCやWMOなど国際機関を通じた任意拠出によってProject Officeを支えていくのが良いのではないか。AICでも同じで、直接の拠出はだめだが、国際機関への拠出を通して影から貢献できるのではないかと思う。

平委員長:この問題はこれ以上深入りしない。ここで我々だけが結構ですと言ってもしょうがない。他の委員は、いかがでしょうか。

道田委員:中国・韓国の今後の見通しはどうなっているか。どのくらい投入するとか。

竹内委員:数のことか。

道田委員:数だけではなく、何年続きそうとか。

竹内委員:韓国・中国とも毎年20〜30本くらい入れ始めている。今のところ終わるという話は聞いていない。ここしばらくは、増えることはあっても減ることはないと思う。

平委員長:フロートの開発についての見通しはどうか。

竹内委員:何とも言えないが、安藤の意見によると、中国では良い線を行っているとのこと。テスト段階だが、国家海洋技術センターとかいう、そういうところが国家プロジェクトとしてフロートの開発を行っているので、結構良いものができるかもしれない。

平委員長:資料の中で、「イリジウム等」というのは何か。倒産したかと思っていたが、復活したのか。

竹内委員:復活した。アメリカの軍が金を出して、イラク戦争でもかなり使われているらしい。そのためイリジウムに関しては経営的に安定している。イリジウムの長所は、双方向通信ができることと、圧倒的にデータ量が増えること。現在は表層に8〜12時間いる必要があるが、イリジウムだと数分で済む。例えば今はデータ転送量の制限から、データを取得する層の数に制限があるが、データ量が増えればもっと細かくデータを取得できるので、混合層の深さなどがきめ細かく出せる。


平委員長:つぎに「中層フロートの展開」についていかがか。

平委員長:PROVORの稼働率が40%を切っているということだが、海外での実績でもそんなものか。

竹内委員:海外ではフランスが主に使っている。フランスではかなりよい。これはマーテック(MARTEC)社のものである。我々が買っているのはカナダのメットオーシャン(METOCEAN)製である。何が違うのか調べているところだが、フランスではパークアンドプロファイル(park and profile)というのをやっている。それが1つ。あとは製造技術も同じでライセンス生産をやっていると言っても、細かなところは違う。非常に大きなポンプを使っているので、非常に細いバルブを使っている。そこでカスがつまりやすい。それは両社とも同じものを使っている。あと、フランスのものの方がソフトでの対応が少し早かった。マーテック社の方でいろいろやって、その後その成果をメットオーシャンに反映しているので、その分少し遅れている。

平委員長:この辺は仕様書だけではわからない。海外の噂、研究者同士の情報交換が非常に重要である。

平委員長:緊急浮上というのはどういう意味か。

安藤氏(海洋科学技術センター):緊急浮上というのは、PROVORの場合は2100mを超えて深くなると、フロートが危ないと判断して浮上することを言う。

平委員長:その後どうするのか。

安藤氏(海洋科学技術センター):その後は、また沈降する。

平委員長:次の10日待ってから沈降するのか。

安藤氏(海洋科学技術センター):いいえ、そのまま沈降して10日間待ってから浮上する。ところが、バルブのゴミが除かれないため、不安定なものですから、またすぐ緊急浮上をしてしまうと考えています。

平委員長:それでは、使えない。

竹内委員:その代わり、プロファイルはたくさん取れる。

道田委員:半年後のサバイバルレートの検討ですが、(海面)ドリフタでは半数寿命というものを使っていた。つまり100個流したものが50個になる日数という意味だが、これを使うと多少細かい議論ができるので、検討すると良いのではないか。国際的な基準になっているのであればしょうがないが。

花輪委員:道田委員が言われるのはその通りだが、その統計を取るためのデータがまだなく、改良も継続されているので、もうしばらく経ったらできるでしょうけど、今はちょっと早いのではないか。

道田委員:半数寿命というのは刻々計算できますから、一個死ぬたびに更新していけば良い。

竹内委員:花輪委員が言われたのは、均一のデータがあればそうだが、改良されたものから寿命が延びるので、その結果を取り込むのが難しいと言う意味だと思う。

加納委員:今まで一番寿命が長かったのはどれくらいなのか。

竹内委員:33ヶ月。これは、観測間隔が長いフロート。

今脇委員:生存率はAPEXの場合は2年で半分だから、PROVORはAPEXに比べると寿命が半分くらいと言うことか。

安藤氏(海洋科学技術センター):はい。ただこれは、昨年度分はまだ統計が取れていないので、古いタイプのものである。

平委員長:次に、桂委員の発表について何かないか。

平委員長:情報はホームページで公開しているのか。

寄高氏(海上保安庁):はい。

道田委員:係留係で時系列を取るという話だったが、場所はどこか。

寄高氏(海上保安庁):パワーポイントが6枚並んでいる図の、2枚目の2ページと書いてある一番最後の図で、チャーリーの西のちょっと太めの丸の位置の予定。三宅島の南東。

道田委員:そんなに表面近くの流れは取れないのではないか。

寄高氏(海上保安庁):あまり流速計の深度を深くすると表面付近が取れないので、なるべく浅めにと思っているが、ADCPでは表面ギリギリまでは取れない。それでも、船舶搭載よりは表面に近いデータを取りたいと思っている。

花輪委員:電離層の安定度の関係で、夏と冬を比較すると夏に精度が落ちるとのことだが、これは7月を中心とする数ヶ月にきわめてノイジーなデータしか取れないという理解でよいか。

寄高氏(海上保安庁):ノイズレベルは全般的に夏の方が高くなります。

花輪委員:取っている流速も夏はノイジーになのか。

寄高氏(海上保安庁):その可能性が高い。

平委員長:次に、加納委員の説明について何かないか。

平委員長:流速の見積もりは、APEXとPROVORの両方を使用して、その違いを調べるということか。

加納委員:はい。どれについてもできるだけの補正をしたいと言うことで。

今脇委員:沈んだときの時間はどのように測定したのか。

オブザーバ(気象庁):APEXの場合は、電源を入れた時間で浮き始める時間と沈む時間が決まっているので、何サイクル目ということで推測している。PROVORの場合は、海面に浮いているときに、前回何時に沈んだか、今回何時に上がったかなど、内部時計の情報がテクニカルメッセージで送られてくるので、それを使っている。

平委員長:28度くらいに東向きの流れがある。時計回りに回っていて下の方は逆に流れているが、このような流れがあるのか。

竹内委員:これ(漂流深度)は深いですから。

平委員長:この平均流速はどれくらいか。以前1500mでは3cmから4cmだった。

オブザーバ(気象庁):大きいところでも6cmぐらいである。

平委員長:塩分センサーもこれだけ変化するのであれば、意味がありそうだということか。

 海洋科学技術センター湊オブザーバより、資料1−4「データ品質管理」及び資料1−5「データベース」について説明が行われた。データ品質管理については、水温・塩分センサーの検定システムが順調に運用されていること、回収フロートの事前・事後検定によりセンサーの経時変化を調査したこと、塩分濃度の品質管理を国際合意の方法で実施していることについて報告された。データベースについては、順調に運用していること、Webページのアクセス数が月に約600件あること、累積で158本のフロートが登録されそのうち40数本が既に死んでいること、データ密度が充実してきたことで塩分濃度分布等のより詳細なマップが作れるようになったことが報告された。

平委員長:マップの作成にはどこのデータを使っているのか。

湊氏(海洋科学技術センター):アルゴデータだけではなく,CTDデータも含めている。

平委員長:アルゴだけではなく、全体像ということか。

竹内委員:圧倒的にアルゴのデータである。

平委員長:補正法について、JAMSTECでそれぞれの海域毎の特徴を捉えて独自に開発したわけだが、今回アメリカが開発した管理手法は全く同じものか。

竹内委員:違うものだ。従来は海域毎にデータセットを用意して、海域を区切ってそこのものと比較するという手法をとっていた。PMELにおいて計算機で自動的にQCをやるプログラムが開発され、それを我々の方でもテストをした。結果としては,自動的にやってもヒストリカルデータがきちんとQCされていれば,十分に使えることが判った。JAMSTECで、どこの海域でどのくらいデータがあって、どのくらい信頼性があるかをチェックした。その結果を踏まえて,その方法をスタンダードとして、太平洋での取り組みが突出しているので、太平洋から実施していく。

平委員長:JAMSTECの方法により、改善されないのか。

竹内委員:以前は人間の手作業でやっていたが、自動的にできるようになった。もう一つの特徴は、時系列を調べられることである。また,自動的にできるので、どこの国でやっても同じ結果が得られるという特徴がある。ただし、ずれが見つかったデータの,最終的な修正は人間の手作業で行う。

平委員長:このあたりのことは自分たちが一番良いと思う方法を採るべきである。ところで混乱水域においてドリフトと書いてあるが、これは混乱水域にそういう特徴があるという意味か。

湊氏(海洋科学技術センター):データ自体はドリフトを持つとわかる。他の水域であれば修正することができるのだが、ここではエラーバーが大きすぎて修正ができない。

平委員長:これは今のPMELのQC法でも駄目なのか。

湊氏(海洋科学技術センター):はい。

竹内委員:これは2000mのTSリレーションが明確でないからである。北大西洋などにこういう海域がある。

平委員長:TBTOとはどういう意味か。

湊氏(海洋科学技術センター):生物付着防止剤が最初に溶けると言う意味。

平委員長:TBTOが悪さをしているということか。

竹内委員:それ自体ではないが、粗悪品があって、その油がフロートが沈んだときに周囲の圧力で出てきてコンタミを起こすということである。

平委員長:それは補正できたのか。

竹内委員:今はTBTOに良いものを使って、それ自体が起こらないようにしている。

 気象庁加納委員より、資料1−6「全球海洋データ解析・提供システムの整備」について説明が行われた。最近6ヶ月の間にGTSにデータが入力されたフロートの分布状況、アルゴが開始されたことでデータが充実してきたこと等が報告された。

今脇委員:GTSに載せるにはどのようなプロセスがあるのか。

オブザーバ(気象庁):気象庁に全てのデータを集めて、気象庁からリアルタイムデータとしてGTSにデータを送っている。

今脇委員:人の手が入っているのか。

オブザーバ(気象庁):入っていない。

今脇委員:24時間以上遅れるのは、他の機関では手を入れているからか。

オブザーバ(気象庁):昔は人の手を介していたので、24時間以内に入るデータは少なかったが、今は各国とも自動処理化を進めた結果、70%から80%は24時間以内にデータが入るようになった。

今脇委員:では、殆ど即時入っていると言うことか。

オブザーバ(気象庁):そうです。気象庁ではプロファイルが再現できた時点で送っている。複数のメッセージに分割されて送られてくるが、それらが揃った時点でGTSに送付している。だいたい5時間から10時間くらいである。

竹内委員:表層データの何%というときの表層とは何を意味するのか。

加納委員:表層データとはうちで“BATHY”と呼ばれている形式で送られてくるものだ。

オブザーバ(気象庁):海面より深いところに観測データがある。

加納委員:中にはブイのように、ぱらぱらと観測があるのもあれば、きれいなプロファイルが取れるものもあるが、全てを表層と称している。

花輪委員:外国では研究者が取ってきたお金でデータを入れている例が多い。日本のミレニアムは連携が非常に良く取れているが、外国では連携がうまく取れないから24時間以内に発信する率が低くなるというそういう理由はないか。

オブザーバ(気象庁):あるかもしれないが、アルゴ計画は初めから24時間以内にデータを発信することを目標に定めていたので、隠しているものもあるかもしれないが、24時間以内に出ているデータは他のプロジェクトに比べて非常に多い。

花輪委員:それでも60%と言う話があったが、あとの40%は24時間以上かかっている訳だが。

オブザーバ(気象庁):それは隠しているものではない。隠しているものはこの統計には入っていない。残りの40%というのは、人が見てデータを入れているものである。

平委員長:資料1−6の中で、国際的動向で世界データセンターが稼働したというのは、どこのことを言うのか。

オブザーバ(気象庁):フランスとアメリカである。

平委員長:これはどういう関係があるのか。AICとは関係ないのか。

竹内委員:AICでは,データそのものは扱っておらず,フロートの展開状況を扱っている。データセンターはフランスIFREMERとアメリカGODAEセンターにある。2つあるのはバックアップと言う意味がある。日本もそのデータをミラーして、いつでも提供できるようにはしているのだが、JAMSTECのファイアーウォール工事の関係で、今は出せない。それが済み次第、我々としてはいつでも出せるように用意してある。

 海洋科学技術センター竹内委員より、資料1−7「データ同化」について説明があり、2001年のデータを用いて1度メッシュのグローバルモデルとして順調に進捗しているが、結果の評価法を検討する必要性があることが報告された。

平委員長:GODAEになったら何をやるのか。

竹内委員:GODAEの一部という位置づけだが、実際には共生プロジェクトに淡路さんが代表をやっている研究があって、そこと連携して進めている。

今脇委員:やった結果が改善されたかどうかの評価は、難しい問題だが、例えばどのようにやるつもりなのか。

竹内委員:こちらも教えていただきたいと思っている。

堀田委員:モデルの高度化というのが評価・助言会議でいつも問題になっている。年次計画に記載されている気候変動予測モデルの高度化研究は,当初からミレニアムには予算措置がなく、地球フロンティアでやっている気候変動予測モデルの開発がそこに貢献していくと説明している。気象庁の佐伯委員にもご指導いただいているが、地球フロンティアの気候変動予測モデル研究領域の中で,海洋モデルと大気モデルとの連携を進めていて、それを使った応用研究で、黒潮の変動予測の研究をやっている。そのなかでは、アルゴデータを導入する方向で進んでいる。14年度に,ある程度試行的なものをホームページで公開しているが、15年度にはアルゴデータを同化したものを入れた場合と入れない場合でどう変わるかを検証する。16年度には大気モデルも導入して、最終的には結合モデルという段階に持って行って、我が国周辺の気候にどう影響するかという研究を行う予定である。

今脇委員:これは予測がどれくらい良くなるかということで評価するのか。

堀田委員:モデルの比較研究にも使っていこうと考えている。15,16年度でアルゴデータを取り込んでどう変わるかを調べていこうと考えている。

平委員長:黒潮の位置というのは信用できるのか。

竹内委員:JCOPEは流路予測をやっていて、色々なところで研究されているが、例えば小蛇行がどう発達するかなどを調べている。

今脇委員:海面高度計はものすごく有効だが、ARGOのデータはどれくらいか。

竹内委員:流路予測に関しての有効性は疑問もある。

平委員長:間隔は。

竹内委員:良いときは2ヶ月ぐらいまではうまくいくと言っていた。

平委員長:これは予報ということか。

竹内委員:予報です。

平委員長:これまでの間は、衛星高度計のデータなども全部入れた上でスタートしているわけですね。風については気象データを入れて。

竹内委員:風は気候値を入れている。実際JCOPEの場合,殆ど渦の挙動を見ている。

今脇委員:前の竹内委員の話に戻るが、グローバルなモデルで改善があったことをどのように判定するのかが難しい。

 気象庁佐伯委員より、資料1−8「海水温予測モデルの高度化」について説明が行われた。海水温予測モデルを改善した結果、既存のモデルと比較して予測精度が向上し、中間目標に近い水準の予測精度(1.05℃)を得たことが報告された。

平委員長:資料1−8では、海洋の水平分解能が南北1度・東西1度になっているが、実際は1/3度なのか。

佐伯委員:高緯度は粗めに採るが、赤道域を細かく採って最終的に1/3度メッシュにする。

平委員長:現在の予測精度は1.05℃だが、最終目標はどこまでいくのか。

佐伯委員:0.5℃という野心的な数値目標を揚げている。そこまで達成するのは難しいかもしれないが、現行モデルと比較して新モデルは約15%精度が上がっている。一つの理由として,初期値のデータ同化の部分がかなり寄与していると思う。

今脇委員:今の結果にアルゴのデータが使われているのか。

佐伯委員:塩分のデータは、アルゴのものも使用されている。最近の結果はアルゴのデータが使われている。データ同化についても1980何年まで遡って、塩分のデータ、TOPEX/POSEIDONのデータ、数は少ないが観測船のリアルタイムで報告されるTSのデータ、最近は2000年ぐらいになってからARGOのデータも少し使用している。ARGOデータの使用の有無ということでは、2000年か2001年ぐらいからプロファイルの数も増えてきており、それを取り入れている。

今脇委員:ARGOのデータを使用した場合としない場合で比較検証をしてみてはどうか。

佐伯委員:やってみたいと思う。

花輪委員:前の図で空海というのは、オールド空海か。

佐伯委員:新空海である。

花輪委員:こうやって見ると数字上は近いが、時系列を見ると、91,92,97−8年つまりエルニーニョが起こった時期では明らかに空海の方が良い。そういう視点が大事だと思う。だから精度を一律に出すだけでパフォーマンスを評価するのが良いことかどうかは,考えどころである。つまりこのデータは数値以上に良い結果が得られていると思う。次に空海の誤差の大小を見ると、1年にひと山程度の誤差がいつも見られる。これはモデル依存性又は自然界とモデルの間で証明されていない何かがあるのではないか。だいたい年の初めに見られることが多い。その点を改善すると非常に良くなる希望があると思える。

佐伯委員:数値目標に関しては、現在の行政は数値目標が求められる時代になってきているが、実際上は、花輪委員が言われたような評価をするべきであると考える。実際この数値自体は現場ではあまり拘っていない。2番目のコメントでモデル依存性があるのかどうか、例えばスプリングバリアのような現象なのかというところは、花輪委員のコメントは的を得ていると考える。

竹内委員:熱帯の海面水温は、風の有無などですぐ変化する。そのような中で季節内変動が予想できるのか。このピークはひょっとするとそういう理由でずれが出ている可能性がある。そういうものまで果たして予測する必要があるのか。そういう意味も含めて議論するべきではないか。

平委員長:要するに熱容量のようなもので調べるということか。

竹内委員:例えばそうだ。あるいは海面水温もあるが、時間平均したもので見るとか。

平委員長:熱容量にしてしまうと、モデルも気候値が作れるわけですね。この持続というのはどういう方法か。

佐伯委員:持続というのは、今の偏差が0.5℃だとすると、その温度偏差がそのまま続くという意味である。資料では熱帯域で4ヶ月海面水温予測と書いてあるが、これは3ヶ月目という意味だが、ここがモデルと持続の分かれ目になっている。モデルががんばらなくてはならないのが4ヶ月目以降である。逆に大気の長期予想になると、4ヶ月目以降のSSTというものをうまく予想するというのが非常に重要になってくる。

平委員長:気候値に3.5℃という誤差ピークがありながら、モデルと持続がそんなに違わないのはなぜか。

竹内委員:エルニーニョが予測できているからである。

平委員長:気候値の誤差のスコアというのは、

竹内委員:気候値は、単に気候値であるから、エルニーニョになると外れる。

平委員長:外れるのだけれど、気候値の誤差とモデルの誤差は1.20と1.05の違いしかないのに,何故このように大きく見えるのか。

佐伯委員:何もないときに、モデルの方が何かあるかもしれないと、悪さをしている。

平委員長:空海が1℃を切るのは難しそうだが。

佐伯委員:この誤差の定義として、一番成績の悪いところの値を採用しているので、気候値に優しい評価の仕方になっている。

平委員長:最終目標の0.5℃という値の定義は、どうやってやりなさいと示した訳ではない。この方法だというのは今日初めて出たのではないか。

今脇委員:最初から、一番悪いのが0.5℃以下になるようにすると、口頭では言っていたと記憶しているが。

竹内委員:2・3年前にそう言っていて、それで評価・助言会議で何故わざわざ自分から苦しむようなことを言うのかと疑問が出ていた。

平委員長:初めは言っていなかったと思ったが。

竹内委員:一番初めは言っていなかった。

今脇委員:文章には書いていなかったが、口頭で言っていた。

道田委員:成績の悪いところを選んでいるが、成績の悪いところがどこかに偏っているとかそういう傾向はないのか。きっとあると思うのだが。

佐伯委員:図がないのだが、エルニーニョの時に一番ずれが大きくなる。エルニーニョが起きるとみんな討ち死にする。

平委員長:(太平洋の)東側が良いのか。

佐伯委員:いいえ、東側が悪くなっている。

道田委員:花輪委員が言われたように空海で年の初めに悪いということだが、それは本当に(太平洋の)東側か。それが特定の傾向がないかというのが私の質問である。

花輪委員:エルニーニョもローカルなものは一年周期の周期性がある。これの終わるタイミングが合わないと、毎年同じ時期に誤差が大きくなる。

● 議題2「作業部会からの報告」

 海洋科学技術センター竹内委員より、資料2−1「中層フロート展開に関する作業部会の活動報告」の説明が行われ、平成15年度に約100本のフロート投入が計画され、特に「みらい」による南半球への投入では,日本だけでなくイギリス・フランス・アメリカ等外国のフロートを投入することを検討中であること、及びフロートの滞在深度を2000mから1000mへの変更を検討中であることが報告された。

今脇委員:「みらい」の航海では向こうの人は乗ってくるのか、それともこっちで入れるのか。

竹内委員:投入作業は殆どこちらでやる。「みらい」の航海は乗船者が多く、余裕がない。

今脇委員:滞在深度の変更は国際的に採用されたことか。

竹内委員:サイエンスチームの議論の中で、1000dbが良いのではないかという意見に対して、特に異論はなかった。大方のコンセンサスは得ている。

道田委員:「みらい」の大西洋航海は何度か。

オブザーバ(海洋科学技術センター):(南緯)35度。モルジブのEEZクリアランスが取れない場合は、仕方がないので、南に下げて南緯35度付近にせざるを得ない状況である。

竹内委員:Brydenの航海時に25本のフロートを投入している。その中のいくつか死んでいるが、10何本かは生きているので、同じラインを繰り返すならば15本は投入しないで、4・5本ということになると思う。

道田委員:南東の太平洋が空白域になっているが、韓国や中国が南極に行くときにこの海域を通るのではないか。

竹内委員:韓国の南極観測隊で、去年フロートを何本か投入したが、あっという間に死んでいる。海洋学者があまり乗船してなく、他分野の専門家ばかりなので、扱いをよく知らずにすぐ死んでしまったのではないかと言っていた。

佐伯委員:先ほどのパークアンドプロファイル(park and profile)のことだが、ポンプを動かす回数は変わらないのではないか。

竹内委員:2000mのところで止まっているため、調整で常に動かしていなければならない。2000mは圧力が高い上に、密度がかなり均一なので調整が困難であることが、緊急浮上の理由の1つになっていると思う。

○ 議題3「その他」

 内閣府篠原委員より、資料3−1「評価・助言会議の今後の進め方について」の説明が行われた。評価助言会議を年2回にすること、2回目の推進委員会を6月に予定されている評価・助言会議による評価報告書とりまとめ後速やかに開催することの提案、2回目の推進委員会における中間報告の提出は特に必要ない等の発言があった。また、次回評価助言会議は5月20日10時より開催予定であることが報告された。

平委員長:次の推進委員会は、7月から10月の間に実施するということで,具体的な日程はまだ決まらないということか。

篠原委員:評価・助言会議の中身を見て、なるべく早く対応する必要があると認められた場合は、早く開催していただくということで考えている。

平委員長:事務局はそれでよいか。

事務局:はい。

平委員長:時間が空いたので、全体で何かないか。

竹内委員:アルゴホームページのトップページの構成が理想的ではない。具体的に言うとリアルタイムデータと高品質データ(要するにディレイドモードデータ)という入り口になっていて、その他の活動に行くには高品質データから入っていかなければならない。これは一般の人に不親切ではないかということで、変更をしたいと考えている。もし変えるということになったら雛形を作って、みなさんに諮りたい。

平委員長:そんな必要はない。良いと思ったら変えて、それを電子メールで知らせて意見を受け付ければよい。あまり形式張る必要はない。

平委員長:他に何か。

今脇委員:3月末に学会でシンポジウムがあったが、その報告をお願いします。

竹内委員:これは花輪委員からお願いします。

花輪委員:3月27日朝の10時から、夕方6時ぐらいまで開かれていた。「アルゴ計画は海洋学に革命をもたらすか」という副題をつけて実施した。立ち見まで出て聴講者が100名を超えた。前半はミレニアムアルゴがどう進捗しているかを各担当機関から紹介した。午後は,半分ぐらいはアルゴデータを実際に使ってプロダクツを作る、海洋予報に使う、同化モデルに使う等の紹介、それから実際に海洋学的にこういう研究をして成果を出しましたという課題が2つぐらい、最後にポストミレニアムアルゴ計画を睨んでの議論というラインアップであった。最後のポストミレニアムアルゴをどうするかについては,皆さん興味を持って議論をした。おおよその意見として、もちろん長く続けていきたいのだが、できれば次のモードも研究調査的なところもかなり入れて、まだまだ技術的にも運用面にも改良すべき点があるので、そちらのほうで持って行けばどうかという意見が大半であった。ただし、リサーチモードと言っても明確な目標及び社会的ニーズとの整合性を取らなければならないので、そのへんは今からの議論と思うが、コミュニティー全体としては我が海洋コミュニティーのアルゴにしてもらった、という結論です。

竹内委員:これについては、月刊海洋で特集号を出す予定。

堀田委員:JAMSTECは平成16年4月1日で独法化する予定である。独法化すると平成16年から20年にかけて中期計画を定めなければならない。それがそろそろ検討を始めなければならない。このミレニアムプロジェクトは16年度で終わるので、ポストミレニアムアルゴをJAMSTECとしてどうするかという議論はもう今やらなければならない。年末までに全て片づけなければならない。早急に関係機関と相談しながら、予算として確保できる計画を作っていきたい。5月6月中には原案を作りたい。

平委員長:学会としてもサポートする体制にはある。

堀田委員:5カ年と限られた計画で、順調にここまで来ていて、目標が達成するとなると、それでポストミレニアムで研究の看板を掲げられるかどうか明確でない。

平委員長:達成されたというのは、現業化できると評価するわけか。

堀田委員:現業化まではまだ難しいと思うが、その中間的なものになると考えている。

平委員長:こちらとしてはお願いするしかないが、独法化すると現業的なことはできないのか。

堀田委員:はい。より学術には近くなったが。

平委員長:最後に事務局でなにかあればどうぞ。

(事務局):次回の推進委員会の日程は、評価助言会議の結果を受けた後に、平委員長と相談して決めたいと思います。