第1回推進委員会

第1回アルゴ計画推進委員会議事概要

日時:平成17年12月2日(金) 14:00〜17:00
場所:海洋研究開発機構東京事務所10階セミナー室A

出席者:
花輪公雄委員長、久保田雅久委員、松山優治委員、道田豊委員、 本清耕造委員(代理出席:山田基靖氏)、佐藤洋委員、 和田時夫委員、馬場崎靖委員(代理出席:廣澤純一氏)、木村吉宏委員、 小田巻実委員、菊地聡委員、水野恵介委員、四竈信行委員

*開会後、各委員及びオブザーバーの自己紹介を行った。
*委員長の選出:事務局からの提案に対して全員の拍手により、花輪公雄氏が委員長に選出された。
*配付資料の確認:

*委員長の挨拶の後議事に入る。


【議題1:国内アルゴ計画の進捗状況(観測関連)】

1. アルゴフロートの展開状況

(海洋研究開発機構四竃委員が説明。)

説明の要点:

質疑・応答:

道田委員:KESSのフロートはアルゴと同一仕様か?
四竃委員:深度は浅いが、データ処理はアルゴフロートと同じ対応をしている。
松山委員:プロファイルは1500mか?
四竃委員:漂流深度は1000m、プロファイル深度は2000mである。
久保田委員:漂流深度を2000mとするよりも1000mにした方が、寿命が長くなるという統計の数字はあるか。
四竃委員:統計数字としてはないが、経験的に寿命は長くなっているようである。
水野委員:寿命が延びれば早く3000個に到達するということだが、現在の寿命はどのくらいか?
四竃委員:約1000日(約3年)である。年間の投入数については、特に米国の動向が大きく関係してくるが、先月のチリでの国際会議でNOAAでは今後5年間は、今までと同様な予算が見込めると聞いた。
水野委員:技術的な改善の見通しはあるのか?
四竃委員:バッテリーに問題のあるエナジーフルーや圧力センサーのトラブルは解決されているので、生存率は良くなってきている。1000日の寿命はこれらのトラブルが解決されていないフロートを含めてのことなので、現在投入しているフロートは、もっと寿命が延びると考えている。
花輪委員長:定常状態になれば3000台割る平均寿命が、1年に入れるフロートの数になるということですね。空白域をどう埋めていくのか、国際的に合意した考え方はあるのか?
四竃委員:できる国ができる海域で空白域を埋める、ということで対応している。
菊池委員:北極と南極については今のタイプのフロートでは対応できないということか?
四竃委員:後ほど紹介するが、北極については現在JAMSTECで開発中の新型フロートが有望であると考えている。南極については、頭上に氷があることを感知して浮上を止めて海中に止まることにより、生き延びるタイプのものが試験されている。但しデータを確実に採取するには、そのデータがどの場所のものか識別する必要があり、そのためには海底にたくさんの音源を設置する必要があり簡単ではない。いい方法はまだ見つかっていない。

2.「海洋の健康診断表」のための中層フロートによる観測

(気象庁高槻氏が説明。)

説明の要点:

質疑・応答:

松山委員:塩分がずれているのか?
高槻氏:そう思っている。電気伝導度センサーか水温センサーがずれているか評価できない。
花輪委員長:全ての投入地点でCTD観測を行っているか? 測線を外れた場所に投入したほうが良い場合もあるが、その時にCTD観測はどうするのか?
高槻氏:基本的に投入地点でCTD観測を行うようにしている。
花輪委員長: 日本海についてはどう考えているのか?
高槻氏:EEZの問題があるので投入はむずかしいと考えている。
久保田委員:浮上サイクル5日の根拠は何か?オーバーサンプリングと言われないようにしておく必要がある。
高槻氏:気象庁の持っている同化モデルが5日なのでそれに合わせている。
花輪委員長:投入台数の15台/年を、どの程度継続できるのか?
高槻氏:定常業務で行うことになっているので、止めろと言われない限り続けることになる。ただし海域は日本近海に限られる。
道田委員:観測密度の1度格子につき1台はどういう計算になっているのか?
花輪委員長:今からでも良いから説明できるようにしておく必要がある
久保田委員:基本的には、なかなか流れていかないところに投入すると言うことか?
高槻氏:その通りであるが、想定外に早く移動するものもある

3.海洋短波レーダーによる海況変動監視及び西太平洋海域共同海洋調査計画

(海上保安庁小田巻委員が説明。)

説明の要点:

質疑・応答:

花輪委員長:以前問題になっていたアンテナの特性の問題は改善されたのか?
小田巻委員:漏水部分の修理やアンテナパターンを調整することによりだいぶ良くなったが、もう少し良くならないかと思っている。また現在野島埼と八丈島の2カ所にしかレーダーを置いていないので、レーダーの視線方向しかとれないと言う特性が出てしまっているのかとも思っている。
久保田委員:短波レーダーとアルゴフロートのデータが合わないのは主に時間差の問題か?
小田巻委員:同時に観測すればもっとよく合うはずと思う。係留系が故障していて計測できなかった。今後は係留系などのデータと比較して検討を続けたい。

4.水産庁及び水産総合研究センターによるアルゴ計画関連観測について

(水産庁和田委員が説明。)

説明の要点:

質疑・応答:

花輪委員長:水産庁のアルゴ型フロートの投入は、プロジェクトの中で入れているのか?
和田委員:農林水産庁のプロジェクト研究の一環として行っている。このプロジェクトは今後も続くが、2006年度はフロートの投入計画は無い。
道田委員:等密度追従型のフロートはどの程度の深度になるのか?
和田委員:26.7σである。(300〜400mの深度に相当する。)


【議題2:国内アルゴ計画の進捗状況(データ処理関係)】

1.第6回アルゴデータ管理チーム会合について

(気象庁吉田氏が説明。)

説明の要点:

質疑・応答:

花輪委員長:メンバーはフィックスか?どこから誰が来ても良いのか?
吉田氏:メンバー名がどこかに書いてあるというわけではないが、メンバーは殆ど固定している。メンバーに招待状を出すという形ではなく、メーリングリストで流すというワークショップのようなやり方を行っている。

2.リアルタイムモードデータ処理システムの状況

(気象庁吉田氏が説明。)

説明の要点:

質疑・応答:

花輪委員長:完全に運用段階に入り、今後はディレードモードQCで確立されたノウハウをリアルタイムモードQCにも活かしていこうと言うことですね。
吉田氏:日本ではまだ導入していないが、先日のデータ管理チーム会合で決まった。
花輪委員長:リアルタイムデータは今後も気象庁が担当すると言うことであるがフロート数が増えても対応できるか?
吉田氏:20〜30%程度の増加であれば対応可能である。

3.遅延モードデータ処理と太平洋リージョナルセンター

(海洋研究開発機構の湊氏が説明。)

説明の要点:

質疑・応答:

山田委員代理:PARCに台湾が参加する話はないのか?IODPでは科学者レベルでは台湾の参加がOKとなったが、政府レベルの話になると、中国から待ったがかかったと言うこともあるので注意して頂きたい。
花輪委員長:PARCの役割がバーチャルにしか見えない。太平洋については実質はJAMSTECがやるしかないようになってしまわないか。
湊氏:走り始めはそうなるであろうが、遅延QCは各PIが責任を持って行うことになっているし、中国あたりも急速に力を付けてきていることもあり、そう心配していない。
花輪委員長:ウエッブサイトについてはJAMSTECが責任を持つということか?
湊氏:PARC JAMSTECのウエッブサイトについてはその通りである。PARC全てではない。
水野委員:具体的な遅延QCはJAMSTECがやらざるを得ないと考えている。
花輪委員長:推進委員会でバックアップできることがあれば対応する。


【議題3:国際アルゴ計画の状況】

四竃委員:今年の2月に国際アルゴの幹事会がパースで開催された。その時の話を主に紹介する。

質疑・応答:

水野委員:国際的には環境問題への取り組みが始まったということであり、日本ではアルゴ計画の最初の頃から検討を進めてきたことをご理解いただきたい。
花輪委員長:アルゴ計画が環境に負の影響を与えないことは大事であるが、リスクとベネフィットのバランスが重要である。一例として、レントゲンによるX線検査も、X線が体に与えるリスクと、X線検査により身体内部の情報が得られるベネフィットのバランスを考えて、X線検査は有用であると判断されている。
松山委員:TBTOに関し、フロートを投入する船舶から海洋汚染の懸念が提起されたと聞いているが?
四竃委員:TBTOの問題を検討するきっかけは、白鳳丸の船長からの懸念提起であった。2ヶ月ほどかけて情報収集や調査を行い、弁護士にも相談して法的には問題がないということが分かった。それとは別に、現場でTBTOの付いているフロートを扱うときの注意事項として、伝導度センサーには素手ではさわらないようにする、取り外したTBTOに接触した部品はビニール袋に入れる等徹底するようにしている。
和田委員:日本海に投入するとEEZの問題があるとの話があったが、何らかの規制があるのか?
四竃委員:投入前に海洋大循環モデルを使い、シミュレーションし、3〜4年後にある国のEEZに流入する可能性がある時は、外務省を通して相手国に事前に許可を得ることにしている。日本海の場合は、日本の沿岸近くに投入しても、すぐ隣国のEEZに入ってしまうので投入をあきらめたことがある。
山田委員代理:日本海は中国、韓国、ロシアと国境の確定のむずかしい問題があるから避けていると言うことでしょう。
水野委員:現在日本海では韓国のフロートがたくさん稼働しているようであるが、外務省に申請はあるのか。
山田委員代理:韓国からの申請は無いと思う。海洋法の解釈が国によって異なることはある。日本海には公海は無いので、船から投入することに関する申請は出ているのではないかと思う。


【議題4:アルゴフロートの新技術情報】

四竃委員:

質疑・応答:

松山委員:大量のデータが送信できると言うことは海面にとどまる時間が短くでき、センサーの汚れが減ると言うことか。
四竃委員:その通り。更に海面にとどまっている時間が短くなれば漁船等に持って行かれる可能性も少なくなる。


【議題5:アルゴデータ解析の紹介】

細田氏(JAMSTEC):

質疑・応答:

花輪委員長:これは傾圧第1モードのロスビー波か?理論よりも伝播速度が速いが?
細田氏:衛星観測による伝播速度とはほぼ合っている。理論値よりも早いと言うことが論文でも紹介されている。
花輪委員長:中層の流速シアーがあるために、シアーの無い海に比べて速くなるという論文もある。
松山委員:水温変動の相関による鉛直構造から言うと第1モードではないのではないか?
細田氏:波動による変動のほかに表面からの熱による変動も含まれたりするため、必ずしもきれいな形では表れない。
花輪委員長:おもしろい結果が得られたと思う。今後も解析を進めてほしい。


【総合討論】

花輪委員長:質問が3つある。