第3回推進委員会

第3回アルゴ計画推進委員会議事概要

日時:平成18年11月16日(木) 14:00〜17:00
場所:海洋研究開発機構東京事務所10階セミナー室A

出席者:
花輪公雄委員長、久保田雅久委員、道田豊委員、 本清耕造委員(代理出席:川本奈奈氏)、近藤秀樹委員(代理出席:大野浩史氏)、 和田時夫委員、馬場崎靖委員(代理出席:上野大輔氏)、木村吉宏委員、奥野勝委員、 菊池聡委員、水野恵介委員、四竈信行委員、 (欠席:松山委員)

*開会の挨拶(海洋研究開発機構四竃委員)
*各委員及びオブザーバーの自己紹介を行った。
*配付資料の確認:

【前回議事録の確認】

事務局:会議前に事務局から意見照会を行った前回議事概要について、修正意見等があったら、会議終了時までにお願いしたい。

*委員長により、議事に入る。


【議題1:国内・国際アルゴ計画の進捗状況(観測関連)】

1.アルゴフロートの展開状況

(海洋研究開発機構四竃委員が説明)

説明の要点:

質疑・応答:

花輪委員長:今年投入済みの38台のフロート投入時にCTD観測を行ったのは何台か?
四竃委員:凌風丸、啓風丸、照洋丸、海鷹丸、おしょろ丸等多くの船で、投入時にCTD計測を行っている。具体的な数はわからないが、半数以上で行っている。

2.アルゴフロートの展開による日本近海海況へのインパクト

(気象庁林氏が説明)

説明の要点:

質疑・応答:

四竃委員:解析誤差の%とは、水温でいうとどのくらいの数値とみたらよいか?
林氏:場所によって異なるが、例えば三陸沖では100%は約2℃に相当する。80%に減少したということは、解析誤差が2℃あったものが1.6℃に減少したということ。
花輪委員長:常時何台稼働することになるのか?
林氏:観測間隔が短い(5日周期)ので、運用期間が2年であり、投入開始後2年以降は常時30台稼働することとなる。
花輪委員長:投資対効果が常に問われるので、このような解析を今後も進めてほしい。

3.水産庁及び水産総合研究センターによるアルゴ計画関連観測について

(水産庁横内氏が説明)

説明の要点:

質疑・応答:

道田委員:(クロロフィルフロートは)表層40dbを漂流しているときに何かを追いかけているのか?
和田委員:表層混合層内になるべくフロートを留め、表層混合層の季節変化に伴い生物生産がどのように変化しているか、とらえることを目的としている。漂流中は水温、クロロフィルの観測のみで塩分のデータは取得していない。
花輪委員長:多機能センサーについては具体的に検討しているものがあるのか?
横内氏:酸素センサーを搭載することを検討している。
花輪委員長:よいプラットホームなので、いろんなセンサーが搭載されることを期待している。
水野委員:この計画がうまくいけば、クロロフィルセンサー付きのフロートを集中的に投入する予定なのか?
横内氏:具体的な話はないが、来年夏に浅海域でグライダーをテストする予定である。


【議題2:国内・国際アルゴ計画の進捗状況(データ処理関係)】

1.7th Argo Data Management Meetingの報告

(気象庁星本氏が説明)

説明の要点:

四竃委員:補足として、次回のIODEの会合に、アルゴデータ管理チームの共同議長であるSylvie Pouliquenが出席し、「塩分補正のための参照用船舶CTDデータの確保」をお願いすることになった。日本の代表として出席する海上保安庁からのバックアップをお願いしたい。

質疑・応答:

花輪委員長:遅延品質管理の担当機関が決まっていないフロートの数は世界的にどのぐらいか?
四竃委員:これから調査を行う。中南米諸国たとえばコスタリカも投入を始めているが遅延品質管理は行われていないと思う。韓国も同様である。
海洋研究開発機構は太平洋リージョナルセンターとして、太平洋に投入されたフロートデータの品質管理レベルを揃えるために、PIに対して注意を喚起する義務があると考えている。今後このようなリージョナルセンターの役割が増していくと思う。

2.2nd Argo Delayed-Mode QC Workshop および4th Pacific Argo Regional Center Meetingの報告

(海洋研究開発機構中村氏が説明)

説明の要点:

質疑・応答:

花輪委員長:統一ソフトウエアができたら各国へ配布されるのか?いつ頃になるか?
中村氏:各国の検証が済んでからの配布となるので、あと1年くらいはかかるかと思われる。
高槻氏:新しいソフトウエアができたら、昔のデータまで遡るのか?
中村氏:それはない。基本的に大きな差はないと聞いている。
花輪委員長:人の目による観察・対応が減ることになるのか?
中村氏:担当者の負担が減ると思われる。
高槻氏:参照データセットが統一された場合、その後のアップデートは誰が行うのか?
四竃委員:太平洋のSeHyDについては、海洋研究開発機構の小林研究員が来夏英国から帰国後アップデートを行う。インド洋については、現在小林研究員が作成したものを公開しているが、インドからの要望により新しいデータを加える予定である。来年の秋以降インドと協力してアップデート作業を行う予定である。インド側はINCOISの研究者が対応することになっている。その後のアップデートは今後の課題である。


【議題3:前回推進委員会のフォローアップ】

1.アルゴフロート投入時の船舶CTDデータの早期公開

(海洋研究開発機構中村氏が説明)

説明の要点:

質疑・応答:

道田委員:気象庁の塩分補正の説明時に「遅延モードQCにおいて使うデータの確保にIODEチャンネルを活用する。」とのことであったが、船舶CTDデータのネットワークを活用するというのは、時間スケールが違う話ではないか?
四竃委員:遅延品質管理データは6カ月以内にデータを公開することになっており、理想的にはIODEのデータが6カ月以内に入手できるならば有難い。
水野委員:海洋研究開発機構が入手した船舶データの公開義務はないが、遅延品質管理を行うときに参照したデータについては、品質管理の結果を誰でも再現可能にするため公開せざるを得ない。
道田委員:IODEに申し入れを行えば、検討することにはなるであろうが、6カ月以内の公開は難しいのではないか。

2. アルゴ計画のウエッブサイト

(海洋研究開発機構中村氏が説明)

説明の要点:

四竃委員(追加説明):「アルゴ」の表記に関し、従来「ARGO」と表記しているものがあったが、国際アルゴ運営委員会で「Argo」と表記するように取り決められたので、今後「Argo」と表記していただきたい。


【議題4:その他】

1. アルゴフロート新技術情報

(海洋研究開発機構四竃委員が説明)
[イリジウムフロートの導入について]

説明の要点:

質疑・応答:

道田委員:次世代アルゴス衛星を使用するための技術開発は行っているか?
四竃委員:すでに衛星は打ち上がっている。データ通信量は20倍となり、双方向通信も可能であると聞いているが、フロートに搭載する送信機の開発が必要等の課題があり、Webb社との話し合いが必要である。
水野委員:新型トライトンブイでは次世代アルゴス衛星を想定したハードになっており、型式承認はまだであるが、今年度末か来年度始めに使えるよう準備を進めている。
高槻氏:MISMOの観測では、海面付近は何mまでデータをとっているのか?
四竃委員:シーバードのCTDセンサーを使用しているので、海面下4〜5mまでである。

[クロロフィルセンサー付きフロートによる観測]

説明の要点:

質疑・応答:

道田委員:漂流深度とプロファイル深度は何mか? 4カ月以降も水温・塩分は観測されているのか? 台数は何台か?
四竃委員:どちらも1000dbである。水温・塩分の観測は続けている。1台である。

[グライダーの状況(Webb社訪問報告)]

説明の要点:

質疑・応答:

花輪委員長:深度1000mのものは無いとの説明であったがその理由は? 四竃委員:理由は聞いていない。1000mでもまだ浅海用であり、電池を使用している。地球を一周する深海用グライダーでは、サーマルエンジンという温度差を元に浮力を生み出すシステムを利用しており、フィールドでのテストを行っている。

2. 全球の表層塩分分布 - 特に北太平洋亜寒帯の低塩化

(海洋研究開発機構細田氏が説明)

説明の要点:

質疑・応答:

花輪委員長:来年2月に公表予定のIPCCの報告によると、水循環の強化という言い方で細田氏と同様な報告を行っている。亜熱帯からは蒸発が多くなり、亜寒帯に運んで雨を降らせて低塩分化しているというストーリーで、ここ何十年間の海洋状況の変化が現れていると言っている。今日の報告は非常におもしろい結果である。同様にどの程度蒸発するかも見積もれるはずである。
全世界の蒸発と降水の差引が0ではなく、その余っている分が陸上にたまっている淡水であるという発表がある。それとの比較も行うとよい。
水野委員:年間の過剰降水量が20mmというのはいくぶん大きな値という印象だが、他の研究結果と比較して妥当な範囲か、コメントほしい。
花輪委員長:全球平均すると1000mm蒸発し、1000mm雨が降っている。そのうちの20mmは2%となり、非常に大きな値であると直感的には思う。
細田氏:他の論文でも、表層の値ではないが、オーダー的には同様な数値が発表されている。

3. 2007年3月海洋学会「第3回Argoシンポジウム」の概要

(海洋研究開発機構四竃委員が説明)

説明の要点:


【総合討論】

1.第3回Argoシンポジウムについて

花輪委員長:プログラムの骨格に関してはよろしいと思う。解析についてはグローバルなものがおもしろい。また思ってもみなかったアルゴデータの使い方の研究を行っている方の講演があれば、これもおもしろい。
データ同化についても発表してほしい。意見があれば四竃委員にお願いしたい。
久保田委員:プログラムの骨格の予測のところに、気象庁とあるのは天気予報のことか?アルゴデータは天気予報に役立っているのか?現状どうなっているのか話をしてもらいたい。

2. 気象庁からの遅延品質管理に関する提案について

花輪委員長:「遅延品質管理担当機関の特定されていないフロートの扱い方」について、該当する日本のフロート(気象庁アルゴ、水研等のアルゴ以外のフロート)の遅延品質管理を海洋研究開発機構に担当してもらうことが提案された。40,000プロファイルの内2,000プロファイルが該当するがいかがだろうか?
四竃委員:国際的な取り決めでは、遅延品質管理の第一責任はPIにある、となっている。事情によりPIが行うことが難しいということで、海洋研究開発機構に依頼があれば、太平洋リージョナルセンターを引き受けている海洋研究開発機構の立場からも引き受けざるを得ない。
花輪委員長:日本以外のものについても海洋研究開発機構が引き受けるか?
四竃委員:依頼があれば引き受けざるを得ないと考えている。
中村氏:リージョナルセンターの機能としてオプショナルではあるが、遅延品質管理の機能がない国の代わりを、リージョナルセンターが行うことになっている。海洋研究開発機構は、その用意があることを4th Pacific Argo Regional Center Meetingで意思表示している。
四竃委員:なお、これらの遅延品質管理については塩分データについての話であり、クロロフィルや酸素のデータは現在のところ対象外である。
花輪委員長:依頼のもとに海洋研究開発機構で遅延品質管理を行うこととする。

3. その他

四竃委員: 米国NOAAの予算担当者からの情報として、今年6月からの5年間は今までと同程度の予算が付いている。しかしシップタイムの予算を確保するためにフロートの数を減らす。数を減らす代わりにリチウム電池を使用してフロートの寿命を延ばすことを考えているとのことである。南太平洋で船をチャーターしての投入を続けるとのこと。
ドイツのアルフレッド・ウェーゲナー研究所からの情報として、南極の氷の下を観測するために、海底に音源を十数個配置し、フロートには音を聞くハイドロフォンを装備して、音源からの音を受け取った時刻を記録し、氷の無いときに浮上して衛星にデータを送信することにより、南極低層水を追う壮大なプロジェクトをすでに開始し、音源をすでに3個ウエッデル海に設置したとのことである。
道田委員:韓国は今後もフロート投入を続けるのか?
四竃委員:止めるとは聞いていない。ただ今までと異なり、毎年評価を受けることとなり、厳しくなっているとKORDIから聞いた。
奥野委員:海洋研究開発機構のスーパーコンピューターで行っている地球気候変動シミュレーションに、アルゴフロートのデータはどう関係しているのか?シミュレーションに使うデータの何割ほどをアルゴデータが占めているのか?
四竃委員:日本近海の海況を予測するプログラムであるJCOPEのモデルに取り込んでいる。シミュレーションで日本近海の200海里は十分カバーしている。
水野委員:シミュレーションを行うときには、その時点で利用可能なデータは全て使用するというのが一般的なやり方である。
高槻氏:現場データにおけるアルゴの比率は、半分は超えていると思う。
花輪委員長:全世界で表層水温データは月間3,000程度である。アルゴデータはその3倍になる。今後はアルゴがほとんどを占めることになる。
道田委員:アルゴデータがほとんどを占めるようになって、過去のデータとギャップ(統計的にずれてしまう)があるというような、評価・議論がされているか?
水野委員:遅延品質管理の基準となる参照データにアルゴデータを入れたらどうかということになると、多分従来の気候値との間にギャップがあるであろうから慎重な検討が必要であるという話になっている。
中村氏:遅延品質管理の新ツールでは、参照データセットを歴史的データのみのものとアルゴデータを含んだものと、両方と比較できるようになっている。基本的には歴史的データを使うことになっている。
水野委員:CTDデータの公表に関し、現状を追認することでよいか?
花輪委員長:3官庁で温度差はあるが、出席の関係官庁の委員から特に異存がないようなので、各官庁のポリシーを追認することが了承されたと考える。
花輪委員長:次回はいつ頃になるか?
木村委員:次回は気象庁の担当で、来年5月ころの開催を考えている。
花輪委員長:これにて第3回アルゴ計画推進委員会を終了する。