第8回推進委員会

第8回アルゴ計画推進委員会議事概要

日時:平成21年5月21日(木) 14:00〜17:00
場所:東京管区気象台第一会議室(気象庁8階)

出席者:
花輪公雄委員長,久保田雅久委員,道田豊委員,安田一郎委員, 柳淳委員(代理出席:吉田洋氏),生川浩史委員(代理出席:岩村公太氏), 平井光行委員(代理出席:板倉茂氏),鈴木昭久委員(代理出席:服部宏之氏),北村佳照委員, 佐藤敏委員,大嶋真司委員,河野健委員,須賀利雄委員

*開会(気象庁 岩尾氏・気象庁 北村委員)
*事務局からの新委員(安田委員,生川委員,平井委員,河野委員)の紹介後,各委員およびオブザーバーの自己紹介
*配布資料確認

【前回議事録の確認】

花輪委員長:前回議事録の確認で,議事録(案)について前回の委員会終了後に各委員へ照会し, 今回の委員会の開催通知とともに送付しているが,何か修正等の意見等あるか?
委員各位:(特に意見なし)
花輪委員長:修正等無いようであれば,議事録の(案)を取らせて頂く.なお,会議終了時までに 気づいた点が有ればお知らせ頂きたい.最終的には,一週間を目処にご意見を頂き,その後は, ウェブサイトに掲載する手続きを取らせて頂く.

【議題1:国内アルゴ計画の進捗状況(観測関連)】

1.アルゴフロートの展開状況

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

フロートの展開状況について
アルゴフロート投入計画について
圧力センサー不具合

質疑・応答:

花輪委員長:全世界のフロート運用台数がweb上で3月末から5月初めまで3325台と続いていたが,理由があるのか?
細田氏:データの更新がされていなかった(AICの問題)ものと思われる.
花輪委員長:圧力センサー不具合の抜本的な解決方法はあるのか?
細田氏:SBE社では補償を検討しているが,新しく開発されたKistler社製の圧力センサーの搭載にむけて頑張っている.今年度後半ぐらいから軌道に乗ると思われるが,はっきりしたことは分からない.
久保田委員:フロートの投入は、しばらく行わないのか?
細田氏:SBE社とWEBB社から提示される不具合センサーの特定方法を入手次第チェックを行い,圧力センサーが正常と確認されたフロートについては,積み込み・投入を再開する.今回,積み込み,および投入を中止したフロートについては,その航海での投入は行わないが,別の航海に振り分ける可能性があり,今後検討する.
道田委員:不具合センサーの特定方法は本当にあるのか?
細田氏:代理店からの情報ではっきりはしていないが,圧力センサーに加圧して(加速試験)1週間ぐらい続けると不具合の圧力センサーを分別出来るかもしれない.しかし,それで良いという確信は得られていない.
道田委員:圧力センサーを加圧しなければ不具合が特定できないというのは,根本的な不具合の特定にはならないので,本質的な解決にはならないと思われる.
安田委員:不具合の圧力センサーによる観測データは,どのぐらい異常なデータとなるのか?また,フロートが海面に浮上した際の負のoffset値を正しく補正する方法は無いのか?
細田氏:新しい基盤(APF-9)を搭載したフロートについては,負のoffset値が出力可能であり,data management meeting でmicroleakが起こったフロートを特定する方法が示されている.後程,佐藤氏から説明がある.
北村委員:リアルタイムデータベースではAPF-9を搭載したフロートの圧力データは,負のoffset値が正しく補正されているのか?
菅野氏(気象庁):APF-9を搭載したフロートについては,補正されたデータとなっている.リアルタイムデータベースで見てみると,不具合の圧力センサーによると思われる負のoffset値が見られるフロートの数はかなり少ない.また,APF-9を搭載したフロートについては,圧力データを負のoffset値で補正し,この不具合に対応する.

2.気象庁によるアルゴ計画関連観測について

(気象庁 林氏が説明)

説明の要点:

投入計画
観測状況
現業モデルでのアルゴフロートのインパクト実験

質疑・応答

花輪委員長:同化結果の比較で20℃深のデータを使用しているが,赤道域では20℃が水温躍層の代表値なので良いが,赤道域から外れると水温躍層の水温がすぐに変わるのであまり良い指標ではない.
林氏:赤道域における解析のスキルを調べることに重点をおいているので,この値を使用した.
久保田委員:同化結果の比較で,太平洋の赤道付近より中緯度のほうがインパクトは大きい結果となっているが,緯度毎のフロートの分布状況や変動性の大きさの違いなども考慮しないといけない.


【議題2:国内アルゴ計画の進捗状況(データ処理関連)】

1.リアルタイムデータベース

(気象庁 菅野氏が説明)

説明の要点:

システムのポイント
APEX圧力センサーのバイアス・ドリフト補正
圧力センサーのmicroleak

質疑・応答:

花輪委員長:グレイリストへ登録とはどういうことか?
星本氏(気象庁):グレイリストへ登録されると,GTSではデータが流れなくなる.GDACのデータでは不良を示すQCフラッグが付く.

2.高品質データベース

(海洋研究開発機構 佐藤氏が説明)

説明の要点:

遅延QCデータ処理の流れ
遅延QCの実施状況
Druck microleak問題

質疑・応答:

花輪委員長:microleakが疑われる日本の投入フロートは,表を見ると2003年以降7%で,SBE社の報告と異なるのはなぜ?
佐藤氏:高塩分側へのドリフトがmicroleakだけが原因とは限らないので,今回の判別方法では,圧力センサーが正常で高塩分側へドリフトするフロートもカウントされている可能性がある.これがSBE社の報告と合わない原因の一つと考えられる.SBE社の見積もりがどのくらい正確かも分からない.
花輪委員長:国際アルゴのデータフラッグ等の対応は,今回のmicroleak発生後のものか?
佐藤氏:今年2月に決まった遅延QCの方針とフォーマット変更に対応したものである.
安田委員:負の海面圧力のものは,全てmicroleakのフロートか?
佐藤氏:時間と共に負の圧力値が大きくなるものがmicroleakのフロートと考えられるが,APF-8のフロートでは負の海面圧力を0dbarとして送信してくるので海面圧力値では分からない.
安田委員:APF-9のフロートでは,microleakが判明するのか?
佐藤氏:APF-9はAFP-8と異なり,負の海面圧力値もそのまま送信するので,海面圧力値の時系列をチェックすれば判別できる.現在稼働中のAPF-9のフロートでmicroleakが判明したものは,東北水研の1台とJAMSTECの2台で,この2台については海面圧力が負の方向にずれている状況である.

3.アルゴに関する研究成果の収集について

(気象庁 林氏が説明)

説明の要点:

質疑・応答:

花輪委員長:今回ホームページ上で登録された6件と,報告のあった2件はダブっているのか?
林氏:おそらくダブっていないと思われる.
花輪委員長:委員会開催の1ヶ月前ぐらいを目処にアクションを取ることをお願いする.


【議題3:国際アルゴ計画の現状】

1.第10回アルゴ運営チーム会合及び第3回アルゴ科学ワークショップ報告

(気象庁 林氏が説明)

説明の要点:

第10回アルゴ運営チーム会合
第3回アルゴ科学ワークショップ

2.OceanObs'09に提出されたArgoに関するCommunity White Paperについて

(海洋研究開発機構 須賀委員が説明)

説明の要点:

質疑・応答:

花輪委員長:Argo がJCOMMの傘下に入るかは,極めて重要な問題で,入るかどうかは,1〜2年は議論してから決めるべきと考える.
須賀委員:JCOMM側は,JCOMM傘下に入っても,現在のASTの指導の下での国際Argo推進体制は実質的に維持されると言っている.JCOMM側が示した,JCOMM傘下に入ることのメリットは,「そういう可能性もある」という程度のもので,実際にはJCOMMの傘下に入っても,メリットはほとんど無いかもしれない.国によっても,JCOMM傘下に入ることの影響は異なると考えられるので,十分な検討が必要である.
道田委員:JCOMMの傘下に入った場合のメリットは無いと思われる.オペレーショナルなことがやりやすくなる可能性はあるが,慎重に対応したほうが良い.
北村委員:気象庁としては現業の立場から,JCOMMへ移行していくのが望ましいと考えているが,ASTや皆さんの議論を踏まえると,まだ時期尚早と考える.
河野委員:JCOMMに入ってオペレーショナルにやるのであれば,JAMSTECは研究機関なので,今の状態を維持するには方針の変更が必要である.
北村委員:アルゴの環境に対する問題について,このホワイトペーパーへは書かないのか?
須賀委員:アルゴが環境に及ぼす悪影響に対しては,全く話が出なかった.

3.アルゴ計画の枠組内における公海上でのフロートの展開に関するIOC総会決議XX-6実施のための手続きについて

(気象庁 岩尾氏が説明)

説明の要点:

IOC第20回総会 決議6(1999)
IOC第41回執行委員会 決議4(2008)
ガイドラインに沿った公海へのアルゴフロート展開に関わる情報提供
IOC第25回総会(2009/06予定)

質疑・応答:

花輪委員長:2008年のIOC第41回執行委員会で議論されたバックグランドは何?1999年のIOC第20回総会でArgo計画が承認されて,約10年経ったがどうしてこの時期なのか?
北沢氏(海洋研究開発機構):IOC第20回総会でArgo計画は承認されたが,実際には国連海洋法に則り実施するという各国間の議論に時間がかかり,IOC第41回執行委員会での決議となった.実際にJAMSTECでは,フロートを投入する前に,投入〜3,4年以内の漂流シミュレーションを行い,投入海域および漂流する可能性のある海域の沿岸国へ外交ルートで通報している.フロート投入後,合意を得ていない沿岸国の海域への流入の可能性が生じた場合,PIから直接,当事国のFPに対して通報するのが良いと考える.

4.アルゴフロートのアルゼンチン国排他的経済海域流入について

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

アルゴフロート展開に関する事前同意取り付け申請書の提出時より現在までの経緯
本件アルゴフロートの状況

質疑・応答:

花輪委員長:このような事例に対する他国の対応は?
細田氏:世界で最初の事例と思われる.
吉田氏(外務省):本事例は,事実関係を把握された時点で情報提供していただければ,他の対応も可能であったと考えられる.今後は,早い段階での情報提供を要望する.
北村委員:ナショナルFPとして気象庁は,今回の事例に直接関わらないと思ってよいか?
北沢氏:PIからナショナルFPに通報する流れから,その考えで問題ないと考えている.今回の事例では,外交ルートで公電により注意喚起を求められたので,外務省を通じて外交ルートで公電により通報をお願いしたい.
花輪委員長:フロート投入後のEEZへの流入の可能性が生じた場合の通報は,どのようなルートで行うのか?
須賀委員:現段階ではPIからナショナルFPに通報する流れしかない.なお,流入する可能性がある場合に情報提供を希望した国のみに対してである.現在,情報提供を希望している国はアルゼンチンのみである.
岩尾氏・北村委員:今年の3月から日本のFPとしての気象庁に,アルゴフロート投入情報が入ってくるようになったが,全委員へ全て連絡する必要があるのか?
花輪委員長:アルゴ計画推進委員会限定の掲示板を用意してもらい,随時掲載し,そこを見に行くようにしてはどうか.
北村委員:Japan ArgoのHPに掲載するのはどうか?
細田氏:量が多く,作業量としてかなりのものになると予想される.
北村委員:年間800台ぐらいの投入情報となり,情報の全てを掲載するのか,必要な情報だけを取り出して掲載するか検討が必要である.
花輪委員長:推進委員会に参加している機関でどのような情報が必要か検討してもらい,継続審議としたい.


【総合討論】

1. OceanObs'09について

花輪委員長:ホワイトペーパーに対する公開レビューは,誰でも書き込み可能な場所があるのか?
須賀委員:OceanObs'09のホワイトペーパーをダウンロードするサイトに,コメント書き込み可能なページが用意されており,名前を登録すれば,誰でも書き込める.
花輪委員長:OceanObs'09は,今後十年の海洋観測網構築のために非常に重要な会議である.

2. アルゴフロート漂流に関するEEZクリアランス申請について

細田氏:EEZについての確認として,今後もフロートを投入する場合は,事前に投入海域および漂流する可能性のある海域の沿岸国へ外交ルートを通じて通報し,フロート投入後のEEZへの流入の可能性が生じた場合は,PIからナショナルFPに通報する流れで良いのか?
北村委員:第1回アルゴ計画推進委員会議事録に,外務省の委員から国連海洋法に準じた対応をすべきとの議事があった.今後については,各国の状況等,議論をふまえながら対応を考える必要がある.
花輪委員長:情報をいち早く各省庁が共有し,対応を考える必要がある.


【閉会】

岩尾氏:次回は海洋研究開発機構の事務担当で開催する.