第9回推進委員会

第9回アルゴ計画推進委員会議事概要

日時:平成21年12月2日(水) 14:00〜17:10
場所:海洋研究開発機構東京事務所セミナー室AB

出席者:
花輪公雄委員長,久保田雅久委員,道田豊委員,安田一郎委員, 柳淳委員(代理出席:松本勝弘氏),堀内義規委員(代理出席:岩村公太氏), 平井光行委員,天谷直昭委員(代理出席:服部宏之氏),北村佳照委員(代理出席:岩尾尊徳氏), 佐藤敏委員,大嶋真司委員,河野健委員,須賀利雄委員

*開会の挨拶(海洋研究開発機構 須賀委員)
*各委員およびオブザーバーの自己紹介を行った.
*配布資料確認

【前回議事録の確認】

花輪委員長:前回の議事録はメールなどで推進委員の了承は得られているが,更なる修正点があれば, 会議終了までに発言頂きたい.

【議題1:国内アルゴ計画の進捗状況(観測関連)】

1.アルゴフロートの展開状況

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

フロートの展開状況について
圧力センサーのmicroleak問題について
富山湾に流入したフロートの回収について

質疑・応答:

花輪委員長:最後の話題の富山湾に流入したフロートは,10月まで観測しているのか?
細田氏:10月まで観測できている.富山湾に近づいてからは水深が浅いため,2000mまでのプロファイルデータはほとんどない.また,8月に通信途絶がある. これは着底してブラッターに砂が入ったためと考えられる.欠点はあるものの,観測期間中はほぼデータが取れている.
花輪委員長:富山湾はかなり深いので,直前まで日本海固有水を観測していると考えていいか?
細田氏:詳しく解析しないと詳しいことはわからないが,比較的沿岸に近いところで日本海固有水のような非常に低温の水を捕えているという印象がある.
安田委員:10カ月くらい漂流していて回収され,貴重なフロートだと思う.酸素センサーに関して付着物等やそれによるセンサーの変化等があったら報告してほしい.
細田氏:了解した.
花輪委員長:microleak問題でのセンサーの取替について,センサーがメーカーから送られてきて,こちらでセンサーを交換するのか?
細田氏:すでに納品されていたフロートは,センサーメーカーと代理店でセンサーヘッドだけのやり取りである.海洋研究開発機構では自前で組み立てできるので, センサーメーカーからセンサーヘッドが納品されて,フロートを再度組み立てている.
花輪委員長:海洋研究開発機構は組み立てができるからいいが,大学等の個人ユーザはできない.この場合はフロートの取り扱いはどうなるのか?
細田氏:代理店が返送手続き等を行っているようである.気象庁の場合はフロート本体を代理店に送り,代理店でフロートを分解し,センサーだけをメーカーに返送した と聞いている.

2.気象庁によるアルゴ計画関連観測について

(気象庁 林氏が説明)

説明の要点:

フロート運用状況
フロート投入計画
AICからのフロート投入情報共有

質疑・応答

花輪委員長:来年度購入予定だが,例年要求している15台に加え,さらに12台を要求しているということか?
林氏:地方観測船3隻の廃船に伴い,この観測船が行っていた観測の一部をフロートで補充するという考えである.
岩尾氏:廃船は大変残念だが,このような状況になってしまった.
大嶋委員:海洋研究開発機構の発表にあった投入計画の世界地図には気象庁の投入計画が含まれているのか?
林氏:含まれていない.
大嶋委員:投入場所は気象庁と海洋研究開発機構で調整しているのか?
細田氏:毎月開催しているアルゴ合同会議等で情報交換し,投入場所を調整している.
大嶋委員:一枚の図になっていると一目瞭然だが,それはないのか?
細田氏:海洋研究開発機構で示した世界地図には別の印(星形)で気象庁の投入計画を載せている.
林氏:気象庁は日本近海の予報に役立てるという目的なので,日本近海に展開する.海洋研究開発機構はアルゴプロジェクトに貢献するために遠洋に展開する.
久保田委員:来年度の追加要求は来年度以降も継続する予定か?
林氏:毎年12台を追加要求する予定である.
久保田委員:来年度以降,気象庁は合計で27台要望するということでいいか?
林氏:その通りである.
花輪委員長:アルゴフロート27台購入は概算要求では1項目で出すのか?
林氏:予算項目は従来のものと新規のものと違うので,2項目で出す.
久保田委員:追加要望分のフロートの投入海域はどこか?
林氏:廃船となる函館・長崎の観測領域を考えている.

3.水産庁及び水産総合研究センターによるアルゴ計画関連観測について

(水産庁中央水産研究所海洋データ解析センター 渡邊氏が説明)

説明の要点:

平成21年のアルゴフロート稼働状況
農林水産技術会議プロ研でのアルゴフロートの利用

質疑・応答

花輪委員長:NINJAフロートの漂流深度はどのくらいか?
渡邊氏:40dbarである.
花輪委員長:NINJA3台ともに観測開始付近で500dbarまで観測していないようだが,その理由は何か?
渡邊氏:データがうまく入ってこなかったのではないか.
安田委員:フロートは投入前にあらかじめ浮力を調整する.投入域がフロント域だったため設定した浮力よりも軽かったり重かったりしてうまく観測できなかったようだ.なぜか時間が経つと500dbarまで観測できている.学習効果があるのかもしれない.密度が変わった可能性もある.
岩尾氏:観測の最後の部分も500dbarまで取れてないが,季節的なものがあるのか?
安田委員:そうかもしれない.原因は不明.
花輪委員長:2004年の観測ではクロロフィル極大層が100dbarだが,クロロフィル極大層が50dbarというのはどう理解すればいいのか?
渡邊氏:2004年の観測では100dbar強のところにクロロフィル極大層が見られている.ここは亜熱帯モード水の上部に当たる.栄養塩の分布が亜表層水塊構造を反映している.クロロフィル極大層はその栄養塩分布を反映したような構造になっている.今回は,栄養塩が多い層が浅くなっていると考えられる.
花輪委員長:今回の観測は亜熱帯モード水の分布域より北に位置し,亜熱帯モード水はないが,50dbarが栄養塩供給の一番上面に当たっていると考えればいいのか?
渡邊氏:植物プランクトンが増殖できる領域は栄養塩と光の関係で決まる.データがないのでわからないが,クロロフィル極大層に栄養塩が多く存在しているのではないか.
花輪委員長:暖候期に入るとき,海洋上層から暖められて浅くなったり風でかき混ぜられ深くなったりを繰り返しながら混合層が浅くなる.光が温めていると理解していいだろうか?混合層が浅くなる時にクロロフィル濃度が高いのは,本質的には光がいつネットとして入ってくるかによって(スベルドラップ関係というのか?)決まっているのか?
須賀委員:成層が形成され,植物プランクトンが有光層内に留まれるようになったことがおそらく効いていると考えられる.混合層が深いと,植物プランクトンが有光層よりも深いところまで強制的に運ばれてしまうので生産の効率が悪い.春先に成層が形成されてくると有光層内に植物プランクトンが留まれるようになり,増殖が進みクロロフィル濃度が高くなる.
花輪委員長:成層のほうから記述したほうが本質的ということか?
渡邊氏:その通りである.
花輪委員長:科研費は若手Sだと記憶しているが,3年前くらいに採択されたものか?いつまで観測ができるか?
渡邊氏:情報がないのでわからない.
花輪委員長:受信料の心配はしていないのか?
渡邊氏:そこまで聞いていないのでわからない.


【議題2:国内アルゴ計画の進捗状況(データ処理関連)】

1. 10th Argo Data Management Meetingの報告(気象庁・海洋研究開発機構)

リアルタイムQC

(気象庁 菅野氏が説明)

説明の要点:

10th Argo Data Management Team会議について
10th Argo Data Management Team会議の内容報告

遅延品質管理

(海洋研究開発機構 佐藤氏が説明)

説明の要点:

遅延データ処理実施状況の報告
microleak問題への国際的な対応について
microleak問題の日本のフロートの現状
その他の話題
Argo地域センターの活動について

質疑・応答:

花輪委員長:microleak問題についての対応で,フラグの付替えをいつまでに行う等時期の議論はあったか?
佐藤氏:無かった.
花輪委員長:microleak問題については,まず補正方法などを議論したということか?
佐藤氏:その通りである.
道田委員:NetCDFフォーマットについて,IOCやIODでArgoについてNetCDFフォーマットを合わせる話は出ていない.資料をチェックしたところ,ヨーロッパのSeaDataNetというメタデータセットシステムの議論のところで,NetCDF Climate and Forecastを使用するという議論がされている.その流れの議論であることが理解できる.影響が大きいので,私の出来る範囲で情報収集する.収集結果は後日報告する.
菅野氏:宜しくお願いしたい.


【議題3:国際アルゴ計画に関わる国内外の情勢】

1.拾得された韓国フロートについて

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

拾得された韓国フロートの経緯
過去の拾得フロートの対処事例
対処方法に関する検討課題について

質疑・応答:

花輪委員長:拾得された韓国フロートの写真を見ると,ラベルには日本語ないようだ.
細田氏:日本語はない.国際公用語6カ国語で記載されている.
花輪委員長:日本語はないが,拾得者がこれは科学的な観測で使用されていると判断して,警察に通報があったのか?なぜJAMSTECに問い合わせが来たのか?
佐藤氏:漁協から通報を受けた警察が,これが何であるかを調べて,Argoフロートであることがわかり,JAMSTECに連絡があったと聞いている.
花輪委員長:現実的にはここまでも来ない可能性がある.議論すべきことは二つ.一つは,「Argoフロートは科学観測で使用されているので,海洋上で見つけた場合に拾わないでほしい.網に引っ掛かってしまった場合には再投入してほしい」と漁業関係者に依頼をすること.これを広めるには,どこにどのようにお願いすればいいか.もう一つは,フロートが拾得され,すでに保管されている状態での対応ガイドラインをどうするか.今日は持ち帰ってもらい,一番良い現実的な方法を調べて頂きたい.
平井委員:漁協宛に連絡する場合,単に拾得しないでほしいというだけではなく,観測の目的も説明した上で,網に引っ掛かった場合フロートがどんな状況なら再投入するのか等一連の流れを構築して総括的に行われるべきだと考える.
花輪委員長:同意する.
佐藤委員:前回の奄美大島の場合は特別な例.海保庁の巡視船は基本的には沖合に出ないので,再投入は難しいと考える.最後のスライドに「投入時点では投入者の所有物という考え」とあるが,この考え方だと漁協に再投入をお願いする場合,再投入者に責任を負わせることになる.また,再投入したフロートが再度漂着する可能性もあり,事故につながる可能性もある.安易に,再投入をお願いするのは問題がある.
細田氏:必ずしも再投入を依頼されるわけではないし,フロートに関する責任はあくまでそのフロートの所有者にある.PIが再投入を希望していて再投入場所の議論になった場合,拾得者が投入できるのは日本のEEZ内か公海上しかないと考えた.誤認であれば訂正して頂きたい.
河野委員:海洋研究開発機構にはこの件について何の権限も責任もない.日本に他国のフロートが漂着あるいはそれに類することが起こった場合,どのように処理するのが今の法令の想定なのか?もはや所有権は放棄されたものと見なして漂着物と同じと考えて処理するのか?その場合,海上と海岸で拾得した場合には処理が異なるのか?また,漁網に絡んで破損した場合にどうなるのか?等,何か想定されていないのか?
佐藤委員:今回の場合は,意図的に流したフロートで所有者がはっきりしているので,所有者の対応が基本となる.
河野委員:海洋研究開発機構では他国に漂着してしまったフロートについては先方の善意で連絡して頂いていたので,できればPIにお返ししたいと思い,対応している.どうすれば適法なのかがわからずに,文科省と外務省と相談しながら進めてきた.ガイドラインを作成して頂きたい.
花輪委員長:海洋研究開発機構にとっては,なぜここに来たのかというところから始まる.
河野委員:我々の活動が広く受け入れられたと解釈し対応している.
花輪委員長:法的にどういうことをしなければならないのかがわからないと解決できないと考える.
平井委員:今のところ大きな漁業被害はないが,もし網の破損が発生した場合,所有者に賠償責任を問えるのかどうか等考えておく必要があるだろう.このような体制を整えておかないと漁協にお願いするにも難しい.
花輪委員長:どこが母体となってガイドラインを作るか?例えば,海上保安庁,水産庁,文部科学省,外務省およびJAMSTECで検討チームを作成してガイドラインを作成するということでいいのか?
久保田委員:拾得の定義は何か?観測中のものを取っても拾得というのか?定義をはっきりしておかないと,それに対して正しい対策を決めにくいと考える.以前にはドリフティング・ブイをたくさん展開した.そのときに同じような問題があったと思うが,このような議論にはならなかったのか?
道田委員:特に問題になった事例はおそらくないし,ガイドラインもない.提案のように漁業関係者に周知することはできるが,何人がフロートに遭遇するのかが疑問.対策を考えなくても対応できるのではないか.
岩尾氏:気象庁の漂流ブイは漂着が年に何回かある.ブイには日本語で拾得した場合には気象庁に連絡して欲しい旨が書かれている.要望があれば,気象庁が取りに行く.また,処分していただく場合もある.高層気象観測も同様に対応している.ただし,国外に流れることは考えていない.
岩村氏:このようなことはArgo運営チームやArgoコミュニティーでは議論がなかったのか?
須賀委員:漁業被害までは具体的に議論されていない.最後にゴミになることについては議論があったのかもしれない.日本国内ではArgoフロートは法律的にゴミではないことは認識されているが,漁業被害等にどう対処するかについて議論はなかったと思われる.
花輪委員長:今のところはリチウム電池が使われてないから安全なのか?爆発とかはないか?
細田氏:海洋研究開発機構で投入しているフロートのほとんどはアルカリ電池であるが,電池の種類によっての危険性の違いはそれほどない.フロートを解体しない限りそれ程問題はない.
岩村氏:拾わないで欲しいとコメントすることについて,漁業関係者がArgoフロートを見分けられるのか?
細田氏:ステッカーが貼られているのがアルゴフロートである.
花輪委員長:道田委員が言うように,ケース・バイ・ケースで対応できるのではないか?
細田氏:韓国が日本海にかなり集中的にフロートを展開している.
花輪委員長:今ここですぐにガイドライン作成期限を設ける等Action Planを決めるところまではいっていないのではないか?
細田氏:フロートはこれからも随時投入されていくので,検討する必要がある.
平井委員:水産庁にとっても大きな課題なので,Action Planを決める前に,どういう事例があるのか等水産庁内で調べ,次回ご報告させて頂きたい.日本海がいちばん問題だと考える.現在は日本語のステッカーが貼られていないので,韓国に日本語のラベルをつけてもらえないかと要求できないのか?
花輪委員長:追加のラベルになる.日本でラベルを作成して韓国に貼ってもらうことは可能か?
北沢氏:このラベルはIOCとWMOの合意の下で作成した国際的な標識である.国連公用語6カ国語で表記されている.日本のフロートを日本海で展開するのであれば,韓国語表記のラベルを追加で貼ることも意味がある.漂着した場合のガイドラインは,2000年以前から話題になっている.国際チームにはIOC部会を通じてガイドラインを作成したほうがいいと提案していたが,科学者中心のScience Steering Team(SST)ではそれほど重要視されなかった.しかし,現実はアメリカのフロートが32本漂着している.AICの機能の一つとして各国のアルゴフロートの情報を集約しておこうという動きもある.それもうまく使えばいいのではないか.
花輪委員長:水産庁からは調査してみるとの提案を頂いたが,可能であれば,海上保安庁・文科省・外務省・国土交通省でもこの問題について,各省庁の立場で問題となるところを次回くらいまでに報告して頂けないか?随時,海洋研究開発機構と相談しながら対応してもらえないか?
佐藤委員:今回のフロートはどうするか?韓国には再度連絡してもらえるか?
細田氏:PIを知っているので,イレギュラーだが直接連絡を取ることは可能.ただし,反応があるかどうかはわからない.
佐藤委員:いつまでも七尾保安部に放置することはできないので,PIに対し何らかの連絡をJAMSTECから行ってほしい.

2.アルゴ計画の枠組内における公海上でのフロート展開に関するIOC総会決議XX-6関係事項の最近の動向

(気象庁・海洋研究開発機構)

公海でのフロート投入に関するIOC決議について

(気象庁 林氏が説明)

説明の要点:

公海でのフロート投入に関する実施指針について

Argoフロートの沿岸国の同意とりつけについて

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

現状の同意とりつけ手続きについて
投入フロート数・航海数・申請国数と漂流実績について
今後の沿岸国への手続き方法について

質疑・応答:

花輪委員長:フロートが流入する可能性のある沿岸国で投入情報を提供するというのは,今までとどう違うのか?
細田氏:船舶の観測の場合はあらかじめ航海計画が決まっているので,7カ月前までにEEZ許可申請書を外務省に提出し,外交ルートで相手国に申請する.それに対して,各国にフォーカルポイントを設け,EEZ内に漂流する可能性のあるフロートがある場合には,EEZ内に漂流する前に実施者から相手国のフォーカルポイントに通告する.したがって,これまでと申請許可の経路が違う.外交ルートで行うと航海の7カ月前までに提出しなければならないので,航路変更等に対応することが難しく,また予測が外れることもある.新しい方法を利用すれば,ある程度目処が立った段階で必要に応じて申請できる.
花輪委員長:投入してからでもこれはできるのか?
細田氏:その通りである.
花輪委員長:実務としてはだいぶ簡潔になるだろう.
須賀委員:EEZ許可申請を事前にやっているのは日本だけである.また,フォーカルポイントへの通告も各PIが実施するのは非常に大変だというのが国際的な認識である.各PIが常に自分のフロートをモニターするのは困難である.漂流される側の国が同意すれば,AICがPIに代わってフロートをモニターし,フロートがどこかに漂流しそうであればAICから相手国へ通告するような自動化システムをAICで構築中.これができれば,このシステムを利用したい国は多いだろう.IOCの事務局長からこの自動化システムの稼働許可が出ていない.新事務局長のもとでのIOC事務局の体制が整うまでは,このシステムの稼働許可はおりないと見込まれる.
岩尾氏:ある国のEEZ内で投入し,それが別の国のEEZに漂流する場合もこれに含まれると考えていいのか?
細田氏:この実施指針を読むと,原則は公海上での投入について書かれているが,それははっきりしていないように思う.
花輪委員長:これはWMOでIDを出したフロートが対象と考えていいのか?
細田氏:その通りである.
花輪委員長:コアArgoと拡張Argoがあるが,WMOの考え方では拡張Argoを含めて基本性能があればIDを出すということか?この問題に対する対応はどうなるのか?
須賀委員:それは難しい問題だと考える.IOC決議のような手続きでやってもいいと考えられている前提は,海洋の水温・塩分の観測は気象観測と同じようなオペレーショナルなフロートであるということである.例えば,酸素やクロロフィル計測のような明らかな学術研究目的の観測であるとなると,その前提の範疇には入らないと思われる.現在のところ,クロロフィルセンサー等が付いているフロートでもWMO IDを申請すると断られることはない.IDが割り振られたものは,すべてArgo equivalentとして扱われている.Argo運営チームでは,多様なセンサーを付けたフロートがすべてArgoフロートと呼ばれることを非常に警戒している.上述の前提が崩れるとコアArgoの維持が危うくなると考えられるからである.Argo equivalentとしての生物化学センサー付きのフロートが今後増えて行った場合にArgo運営チームとしてどう対応するかについては明確な案は出ていない.
松本氏:アルゴはすでに締約国間で事前同意があるとの説明ができるのか,持ち帰って省内で検討したい.

3.OceanObs'09の報告

(海洋研究開発機構 須賀委員が説明)

説明の要点:

OceanObs'09のついて
conference statementの内容について
Ocean Obs'09のプログラム構成
Argoに関連する発表の報告
Argoに関連する論点


【総合討論(アルゴの将来像について)】

1. 2010年度日本海洋学会春季大会シンポジウムについて

花輪委員長:上記について細田氏から説明をお願いする.

2010年度日本海洋学会春季大会シンポジウム(案)

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

2010年度日本海洋学会春季大会でのArgoに関するシンポジウム開催の提案
シンポジウムプログラム内容について

質疑・応答:

花輪委員長:このシンポジウムを認めてほしい.
全員一致で認められた.
花輪委員長:シンポジウムの締切はいつか?
細田氏:12月14日である.
花輪委員長:いろいろな意味で(アルゴを理解してもらうため,アルゴデータを使ってもらうため,アルゴフロート展開に協力してもらうため)アルゴサポーターを増やすことが目的の一つ.1日のシンポジウムでは盛りだくさんではないか?やむなく削るところがあるかもしれない.
細田氏:ご意見がありましたら,後日でも頂きたい.
花輪委員長:アルゴ計画推進委員会が主催なので,シンポジウムのプログラムを決定する前に関係者に情報を流せば,意見が集まるのでないか?では,シンポジウム開催は推進委員会で承認された.

2. その他

道田委員:次のステップとして大深度フロートの開発が挙げられている.センサーの精度の問題もあるが,変動の時間スケールが表層とは違う.それにアルゴのようなタイプの観測が向いているのか?設計や思想等が議論されているのか?
須賀委員:具体的な設計の段階にはまだ入っていない.repeat hydrographyで観測されているだけではデータが不足している.repeat hydrography観測の間を時間的に埋める必要があるだろう.必ずしも10日に一度や3度格子に1つは必要ないと思う.時空間的には今までArgoに比べたらもっと疎でいいと考えている.海氷下の観測はぜひやったほうがいいという話になり,具体的な設計についてはArgo運営チームで作成中である.大深度フロートもコアArgoに取り込むことになったときに,海氷下のフロートの場合と同様に進むのではないかと考えている.
河野委員:JAMSTECでは大深度フロート開発すべく第一歩を踏み出したところ.時空間的な設計はだいたい想像できるが,もしフロートができたらどの辺りで投入すべきなど作って頂ければ,今後の展開の見通しがつく.
道田委員:ゆっくりしか動かないけれどラグランジュ観測なので,時間変動なのか空間変動なのかがわからなくなる.Argoの欠点が出やすくなる領域ではないだろうか.いわゆるArgoとは別のものが必要ではないか?
花輪委員長:Stommel先生のスローカムのアイデアの中に,数十分の一でキャリブレーションのためのスローカムを作成している.だいたい似たような発想だと思う.


【閉会】

細田氏:次回は5,6月に気象庁が事務局で開催する.