第10回推進委員会

第10回アルゴ計画推進委員会議事概要

日時:平成22年6月2日(水) 14:00〜17:10
場所:気象庁大会議室(5F)

出席者:
花輪公雄委員長,久保田雅久委員,道田豊委員,安田一郎委員, 柳淳委員(代理出席:吉田洋氏),堀内義規委員(代理出席:岩村公太氏), 平井光行委員,天谷直昭委員(代理出席:大森正雄氏),安藤正委員, 仙石新委員,大嶋真司委員,河野健委員,須賀利雄委員

*開会の挨拶(気象庁 安藤委員)
*各委員およびオブザーバーの自己紹介を行った.
*配布資料確認

【前回議事録の確認】

花輪委員長:前回の議事録はメールなどで委員の了承は得られているが,更なる修正点があれば, 会議終了までに発言頂きたい.

【議題1:国内アルゴ計画の進捗状況(観測関連)】

1.アルゴフロートの展開状況・計画

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

フロートの展開状況について

質疑・応答:

久保田委員:NEMO,POPSフロートのデータは,他のフロートと同じように利用できるのか?
細田氏:利用できる.気象庁にもリアルタイムでデータを送っている.
久保田委員:リアルタイムのデータ同化にも利用されているのか?
細田氏:利用されている.
花輪委員長:「NEMO」は会社の名前か?
細田氏:ドイツのOPTIMARE社製で,ScrippsのSOLOフロートを基に設計されたもの.氷海下での運用が中心であったが,ニーズに合わせ, 通常の海洋用としても販売を開始している.
久保田委員:NEMOを選んだ理由はなぜか?
細田氏:最終的には競争入札によって落札されたが,実海域での観測実績が十分であったため.
久保田委員:今までと異なる種類のフロートを選んだ理由は,熱帯域に強いなどの特徴があるからなのか?
細田氏:イリジウムによる通信(速度、容量、双方向通信)が可能であることが理由.APEXにもイリジウム通信を使用したタイプがあるが, 今回は入札の結果NEMOになった.
安藤委員:PROVORフロートの不具合の内容について詳しく説明してほしい.
細田氏:フロートの出荷前の浮沈テストは,通常なら専用のタンクで行うが,PROVORのメーカーであるNKE社ではmicroleak問題で納期に 間に合わなくなり,今回,納入前に湾内のマリーナでセンサーのポンプを作動させながらテストを行ってしまった.その結果,ポンプがゴミを 吸って電気伝導度センサーのダクトにゴミが溜まった.JAMSTECでダクトの洗浄作業を行ったところ,ゴミがたくさん出てきたため, 納入された73台のうち4台を抽出して検査を行った.その結果,4台とも電気伝導度センサーの精度が仕様を満たしていなかったため,納入業者に 対し全フロート返品の指示をし,調整中である.
久保田委員:この問題は、JAMSTECに納入されたフロートのみの問題か,それとも,全世界的な問題なのか?
細田氏:少なくともJAMSTECに納入された全PROVORフロートについては問題であることがわかっている.PROVORを多く納入している IFREMER(フランスの海洋研究機関)では,自前の加圧タンクを持っており,自社チェックを行っているため,この問題は生じていないとのこと.

2.気象庁によるフロートの展開状況・計画

(気象庁 谷氏が説明)

説明の要点:

フロート運用状況
不審な移動をしたフロート
フロート投入計画

質疑・応答

花輪委員長:平成21年度に,四国沖にまとめて投入している理由は何か?
谷氏:購入したAPEXフロートに,microleakの問題があったため,投入可能となる時期が遅くなり,投入を行う観測船の観測ラインが限定されてしまった.
河野委員:ARVORは,PROVORと同社の製品であるが,センサー汚濁の問題は生じていないのか?
谷氏:現在製作中で,まだ納入されていないのでわからない.今後,製造業者に対してこのような問題が起きないように管理体制を徹底させる. また,平成21年度に,気象庁へ納入されたPROVOR1台についても,納入業者へJAMSTECに納入したPROVORフロートと同様の対応をとるよう指示した.
久保田委員:(展開状況の図)投入した18台のフロート(▽)は,稼働中の29台(○)に含まれるのか?
谷氏:含まれる.

3.水産庁及び水産総合研究センターによるフロートの展開状況・計画

(水産庁中央水産研究所海洋データ解析センター 渡邊氏が説明)

説明の要点:

平成22年5月のアルゴフロート稼働状況
平成22年度の予定
その他
運用実績

質疑・応答

花輪委員長:揚収した2本のAPEXフロートは,意図的に回収を行ったのか?
渡邊氏:陸に近づいたときに自主的に行った.
花輪委員長:その後再投入の予定はあるのか?
渡邊氏:再投入の準備が整いつつある.中央水産研究所にも回収したフロートがあり,再投入のめどが立ってきた.
安藤委員:グライダーは使い捨てではないのか?
渡邊氏:使い捨てではない.あらかじめコースを決めて投入し,終点で回収する.
安藤委員:データ送信はどうするのか?
渡邊氏:イリジウム通信を使用し,フロートが海面に浮上時に送信する.


【議題2:国内アルゴ計画の進捗状況(データ処理関連)】

1. リアルタイムデータベース

(気象庁 星本氏が説明)

説明の要点:

データの流れ
システムのポイント
国内のフロート運用者からのアルゴデータの提供
データ時刻の統一
トラジェクトリファイルのチェック

質疑・応答

花輪委員長:浮上完了時刻と送信開始時刻の時間差が10分であることはあらかじめ設定されているのか? 「浮上時刻 = 送信時刻−10分」というのは,プログラムか何かでわかっているからなのか?
星本氏:APEXでは業者による初期設定で10分にしている.
花輪委員長:送信開始時刻は、もとからデータに書いてあるのか?
星本氏:データから読み取ることができる.

2.高品質データベース

(海洋研究開発機構 佐藤氏が説明)

説明の要点:

遅延データ処理実施状況の報告
microleak問題関連事項の進捗報告

質疑・応答:

岩村氏:2000〜2001年にかけて遅延QCが行われていないプロファイルが存在するようだが,それはどういったデータか?
佐藤氏:水温のみのデータも含まれている.QC困難なものも含まれているが,現在QC中.
花輪委員長:リコールされたフロートは,全て戻ってきたのか?
佐藤氏:JAMSTEC分については,全て戻ってきた.
花輪委員長:この問題は,完全に解決したと考えてよいか?
佐藤氏:考えてよい.
花輪委員長:全世界的にはどうか?
佐藤氏:ほぼ解決済み.購入した機関が各自対応している.
花輪委員長:過去データでQCが困難なものは,その情報をメタデータに付加するのか?
佐藤氏:2009年9月のDMQCワークショップで,microleakの発生が疑わしいフロートデータの水温・塩分にフラグを 付けることに決定した.もちろん,プロファイルのコメント部分にも,負の海面圧力値を0dbarとしてデータを送信する タイプのフロートである旨が記載される.
道田委員:圧力センサーのS/N≦2324175での発生頻度はある程度分かっているのか?
佐藤氏:現在までに投入された大部分のフロートは,海面圧力が0 dbar,もしくは負の値を報告するため,正確には 分からないが,非常に少ないだろうと報告されている.

3.アルゴに関する研究成果

(事務局 谷氏が説明)

説明の要点:
第9回アルゴ計画推進委員会以降,2010年5月31日までに登録された研究成果を報告した.

質疑・応答:

花輪委員長:この内容は,Japan Argoのホームページにも掲載されるのか?
谷氏:掲載される.
花輪委員長:アルゴ運営チーム(AST)のNational Reportの末尾にも記載されるのか?
須賀委員 :掲載される.和文も,英語に訳されて記載される.


【議題3:国際アルゴ計画に関わる国内外の情勢】

1.第11回アルゴ運営チーム会合報告

(海洋研究開発機構 須賀委員が説明)

説明の要点:

会議の目的:いかにしてArgoを維持しつつ,OceanObs'09を踏まえた拡張を実現するのか.
アルゴ計画実施に関わる問題
データ管理に関わる問題
技術的な問題
Argoの価値の実証と「次世代Argo」への展開

質疑・応答:

道田委員:Euroで投入されたフロートのデータは,他のデータと同様の使い方ができるのか?
須賀委員:できる.Core Argo維持のための枠組みである.
花輪委員長:GEOとは何か?
河野委員:Group on Earth Observationsの略.
花輪委員長:GEOに持続的財源の必要性を納得してもらえた場合,何かメリットがあるか?
須賀委員:わからない.GEOが質問してきた理由も不明だが,答えないよりは答えた方がよいとの判断.
花輪委員長:こういった文書は大切なので,良い文書を期待する.
須賀委員:日本語版を作成する.
河野委員:GEOの会合でも,東南アジア諸国からのアピールによりEarly AchievementにArgoが含まれている. このことから,GEOでは一つの良いシステムとしてArgoが認知されていると考えられる.

2.AICへの資金協力

(海洋研究開発機構 須賀委員が説明)

説明の要点:

質疑・応答:

花輪委員長:拠出金等の支払いは,財政的,理由付け等が難しいが,当然何らかのことをすべきと考える.
久保田委員:本委員会で話し合う事項かどうかはともかく,必要性については賛同する.米国の13万ドルの支出元はどこか?
須賀委員:アルゴ計画の予算(NOAA)から,正式に支出している.
花輪委員長:気象庁,JAMSTECでは,拠出金等を支払っている事例はあるか?
河野委員:事例は全くないわけではない.AICについては研究費から払ってはどうか等の検討は行っている. 国際的なフォーカルポイントは気象庁であり,JAMSTECが支払うべきものなのか疑問の声もある.
安藤委員:気象庁は現業的な機関であるため,現業的ではない事業への拠出金等の支払いは難しい.気象庁はWMOに 分担金を支払っており,JCOMMを通じてAICに貢献しているとの認識である.
花輪委員長:本委員会で決定できるわけではないが,要望としての意見を出すための議論を進める.
平井委員:水産庁では,PICESには支払っている.拠出金等を支払うためには,AICの国際機関としての位置づけが 明確なものである必要性があるだろう.
道田委員:拠出金等を直接支払う以外の方法での,たとえば金銭以外での貢献は可能か?
須賀委員:AICで働く人材を派遣するといった人的サポートでも歓迎であると聞いている.
道田委員:会合の旅費をこちらで負担する等,AICが自由に使えないような金銭での貢献も検討してはいかがか?
須賀委員:そうした考え方も検討すべきである.
河野委員:JAMSTECでは人的な貢献や旅費の負担は困難.これまでは,1本でも多くフロートを購入することで貢献 していると言ってきたが,最近購入数が減っているのでこの説明も苦しい.
花輪委員長:気象庁かJAMSTECが支払うのが妥当と考える.気象庁は,WMOを通じて貢献している.JAMSTECとしても 統合国際深海掘削計画(IODP)への拠出に比べれば額は小さいのではないか.本委員会の合意事項として,JAMSTECで検討して いただくということにしたいが,いかがか?
大嶋委員:IODPとは予算の枠組みが異なるので,額の大小で比較はできない.JAMSTECも,財政事情が厳しくなっており, 本費用を研究費から支出するためには,投入フロートを1本減らす計算になる.開始後10年が経過し,当初目標を達成したこと からも日本国におけるアルゴ計画の位置づけについても再確認の必要があると考える.
花輪委員長:EuroArgoは,Euroの予算で動いているのか?欧州には,各国の予算とEuro全体の予算2通りの予算があって, 先ほどの提案はEuro内の賛同する12カ国によるものなのか?
須賀委員:Euroの予算というより,EuroArgo賛同国・機関によるものと理解している.
花輪委員長:他の機関はどうか?
平井委員:研究予算以外では難しいと考えられるため,水産庁では支出困難.JAMSTECにお願いしたい.
安藤委員:気象庁も同意見である.
花輪委員長:JAMSTECは,持ち帰って検討していただきたい.もちろん,検討の結果拠出できないとなっても構わない.
久保田委員:本委員会として,フロートの数を減らしてもAICに拠出する方がメリットが大きいという判断をするので あれば,拠出金等を出すべきだと決定できる.
須賀委員:AICの活動について意見を出すときも,拠出金等を払っている方が出しやすいと考える.
花輪委員長:JAMSTECで拠出金等支払いの可能性を検討することを支持することを,本委員会の合意事項とする.

3. アルゴシンポジウム報告

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:
3月に行われた日本海洋学会の大会期間中に,Argo計画推進委員会が主催,日本海洋学会が共催となりアルゴシンポジウムを 開催した.大会最終日で,他のシンポジウムとも多数重なっていたにもかかわらず,アルゴ関係者以外の人も含め100名もの 参加者があり,OceanObs'09を踏まえつつ,今後の日本のArgoのあり方等について活発な意見交換が行われた.

4. アルゴの将来構想検討会(仮)の設置

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

質疑・応答:

花輪委員長:検討会設置については,アルゴシンポジウムの総合討議でも話題に上り,JAMSTECにたたき台を作成して いただいた.アルゴを取り巻く国内外の事情は時々刻々変化している.アルゴの将来について日本全体で自由に議論する場を 設けたい.また,議論の場であるとともに,参加者の納得するための場となることも考えている.この提案について,意見, 質問はあるか?
道田委員:提案に関しては賛成.当面の重要な問題である観測網の維持に関して,日本としての数的なターゲットはあるか?
細田氏:研究者個人の考えとしては,最低でも現在の300は継続したい.
河野委員:JAMSTECは毎年の研究費からフロートの費用を出しているので,今後も永続的に維持していくことは困難. 将来構想を検討する場合は,予算的な裏付けも含め,現実的な実行可能性についても検討すべきである.また,検討会の開催に 係る経費負担についてもどうするか考える必要がある.
花輪委員長:検討会の開催場所については大学を利用する等,多様な考えで実行していきたい.
細田氏:現時点では,日本のアルゴは,気象庁,JAMSTEC,水産庁,海上保安庁等の関係機関で実施するという認識があるが, 検討会を通して,研究者の方々にもアルゴの実情を伝え,こうした認識にとらわれず,日本のアルゴの発展性・方向性を議論 したいと考えている.
花輪委員長:将来構想検討会は,この提案に沿って進めることで了承願いたい.
(異議なし)

5. フロートの漂流に関するEEZ申請の手続き

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

アルゴフロート投入に関する沿岸国への同意取り付けについて(続報)
これまでは,漂流予測に基づき,流入が予想される6か月以内に,当該沿岸国へのEEZ申請を行ってきたが, EEZ流入時期が不明確なこと,船舶観測と手続きが混同されること,事前漂流予測の精度に限界があること等の問題があり, フロートの漂流に関する第25回IOC総会での決議を踏まえ,以下に示す新たな手続き方法が外務省により了承された.
新たな手続き方法
手続き変更の準備とスケジュール

質疑・応答:

河野委員:本件に関する外務省,文部科学省の関係の方々のご尽力に感謝する.

6. 拾得された韓国フロート

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

前回のおさらい
2009年10月7日に,輪島付近で海面漂流しているフロートを漁船船員が発見・拾得,地元警察からJAMSTECに連絡,フロートの シリアル番号から韓国のフロートと判明.フロートは七尾海上保安部で保管.文部科学省,外務省の指示により,JAMSTECから AIC経由でPIに連絡.
前回〜現在までの状況
2009年12月に韓国のPI(韓国気象局:KMA)から,フロートを引き取りたい旨の連絡.JAMSTECから海上保安庁に連絡.韓国のPIは, 韓国国内の宅配業者を手配.
2010年4月23日に宅配業者が七尾海上保安部から税関に輸送し,5月10日に関空経由で韓国へ返送された.
懸案事項
JAMSTECが、PIに連絡することが国内法的に適当なのか.別の方法をとるべきではないか.

花輪委員長:前回委員会で,どうすべきかを議論し,関連法規を調べることとしたが,そのことについて水産庁及び 海上保安庁の意見を伺いたい.

アルゴフロートの拾得に関する調査結果

(水産庁 平井委員が説明)

説明の要点:

過去の漂流物の事例及び関連法との関係について

(海上保安庁 仙石委員が説明)

説明の要点:
事例1:海上保安庁の漂流ブイがホタテ養殖施設に漂着.回収して廃棄.
事例2:係船ブイが漂流.津軽海峡に流入した時点で巡視船により函館港外まで曳航し,函館市が手配した作業船に引き渡した.
事例3:小型船が漂流.新居浜海上保安署が発見し新居浜市に引き渡した.新居浜市は,小型船拾得を公式ホームページで 小型船拾得を周知.原因者は不明.
アルゴ関連では,先ほどのJAMSTECから説明のあったものと,2007年11月に奄美大島で米国海軍のフロートを拾得した事例がある.

関連法規:水難救護法
水難救護法で扱う漂流物,沈没物 は,占有者の意思に基づかず,その所有を離れ且つ何人の占有にも属さない遺失物の一種. 所有者が不明で,経済的価値のないものは,放棄物であり,漂流物は放棄物にあたる.
保安庁のポリシー
これらを,先の事例に適用すると:
事例1:海上保安庁内部の対応のため,関連法規・規則は存在しない.担当者間のみのやり取り.
事例2:係船ブイは,所有者不明.水難救護法が適用され,函館市の対応で処理.
事例3:新居浜市の漂流物取得広報は,水難救護法における市町村の自治事務にあたる.
アルゴフロート:所有者が明確で,水難救護法にはなじまない.対応する法的根拠の判断が困難.

質疑・応答:

花輪委員長:可能性が最も高いのは,網にかかるようなことだが,その時に法に則った処理手順をできるようにするのが 課題である.前回委員会で,漁業者一人一人に対して周知するのは不可能とのことだったが,ポスターの実効性はあるのか?
平井委員:現場からは,効果は期待できないとの回答を得た.漁網に引っ掛かる可能性が低く,見てもわからないことの 方が多いであろう.おそらく拾ってしまってもその場に捨てるだけではないかと考えられる.故障したフロートを回収した場合と, 漁具に被害があった時のために,フロート所有者は明確にしておく必要がある.
花輪委員長:気象庁,JAMSTECでは,漁業被害を出したことはあるか.
河野委員:ない.
安藤委員:ない.
花輪委員長:あまり起こる事例ではないので拾得されたときに個別に対応するか,今のうちにケーススタディで考えて おくのがよいのか?
平井委員:ポスター等を作成してアナウンスするのであれば考えておく必要があるが,何もせずに放っておいても問題は ないと考える.
須賀委員:PIへの連絡ルートにもよる.拾得者からAICに連絡が行って,保管しておいてもらえれば問題はないが, 連絡経路に第3者が介在した場合の対応が問題である.
花輪委員長:拾ったものがアルゴフロートだとわかる情報は,フロートに貼ってある英語の文章だけか.
須賀委員:AICへの連絡を要請する英語の文章のシールだけである.
安藤委員:参考として,気象庁の漂流ブイでは,陸に接近し漂着しそうになった場合,漂着が予想される地域の自治体や 気象官署等に事前に通知している.ただし,ブイはいつでも浮かんでいるが,基本的に沈んでいることの多いアルゴフロートに そのまま適用できるかどうかは疑問.
花輪委員長:漂流ブイの場合は事後連絡になることはない,と考えてよいのか?
安藤委員:考えてよい.
河野委員:今般のIOC決議が理想的に機能したとすると,漂着しそうなブイの情報は,各国のFPに連絡がいくことになる. 日本のFPである気象庁に連絡が入った場合,その後どういった流れになるのか?
安藤委員:PIが分かっているわけだから,AICからPIに連絡が行くのか?
河野委員:連絡の流れは,PIから直接FPで,漂着しそうな国のFPがPIに返事を返すことになる.
花輪委員長:漁業者であれば,何だかよく分からないものを拾ったと,とりあえず海上保安庁か水産試験場に連絡するの ではないか.今回はJAMSTECに連絡が行ったが,最終的には日本のFPである気象庁が国際的な処理をするという流れが望ましいと いうことか,疑問である.
河野委員:そうあるべきと前回は考えたが,適用される法がないのであれば,対処できないかもしれない.事例として そう頻繁に起こらないので,今,対処方針を真剣に議論する価値があるのかどうか疑問.
安藤委員:気象庁から関係各所に連絡する流れで本当によいのか?沈んでいるものと浮かんでいるものでは扱いが異なる ので,漂流ブイと同じやり方ではうまくいかないだろう.
花輪委員長:EEZ内で網にかかったりした時が問題である.本委員会では,この件は保留とする.今後何らかの事例が起こる 等状況が変わった時点で再度議論することとする.


【総合討論】

河野委員:当機構の申し出に応じて関連法規等を調べていただいた水産庁,海上保安庁に感謝する.

花輪委員長:JAMSTECで平成21年度に納入されたPROVORすべて返品という事態は由々しき問題である.メーカーと JAMSTECとの間で何かやり取りはあるか?
細田氏:microleak問題のために納期が遅くなったため,フロート展開計画への影響を最小限に抑えるために, 本来メーカーで行うべきセンサーの洗浄あるいはフロート筐体の傷に対する応急処置を一部当機構で引き受けていた.しかし, センサーの精度が仕様に満たないというと話となると,事態は非常に重大である.通常,納品時に電気伝導度センサーが 精度を満たしていないものについては,較正係数を変更して展開することもごくたまに行っており,不可能ではないが, 今回の問題はゴミの付着であり,運用中にゴミが取れる可能性がある.そうした場合は係数を書き換えても元の係数の状態に 戻る可能性も考えられ,そう簡単に係数を変更するわけにはいかない.抽出検査を行った全てのフロートがこういった状態で あったため,当機構としても手に負えなくなった次第である.代理店とメーカーには迅速な対応を求めている.
花輪委員長:世界的にはどういった認識なのか?
須賀委員:世界的にはまだ問題として認知されていない.IFREMERの研究者に問い合わせたところ,IFREMERでは, メーカーからフロートが納品された後独自に試験を行っており,この問題とは無関係.メーカーからの回答書には, 「実海域で試験を行い,ポンプが作動し,ゴミを吸い込んだ可能性がある」と平然と書いてあることから,CTDセンサー精度や ポンプに関する認識不足が伺える.アルゴ計画が進展し,開発に全く携わってきていない販売者が増えてきているので, 購入者も注意を払う必要が出てきたと言える.今後のこともあるので,今回は全部返品してきちんとした対応を求めることとした.
花輪委員長:訴訟とまではいかないが,教訓として残すために,メーカーの営業を妨害しない程度の情報共有は必要で はないか?
河野委員:賠償請求となると,研究目的のものの賠償額の査定が困難.競争入札等,ルールに則って行われている以上, 淡々と処理する以外の方法がない.メーカーは,情報開示も含めて何らかの形で対応するはずである.JAMSTECとしても, 営業妨害にならない程度のことは行うつもりである.

平井委員:将来構想検討会(仮)と,本委員会の関係を確認したい.検討会での検討結果を本委員会に報告し,それを 本委員会で検討するという方向か?
花輪委員長:そのように考えている.検討会ではアルゴに関心のある人が自由に議論を行い,我々(日本)の希望を 形にして,国際的に提案できるような形にしたい.
花輪委員長:規約上は本委員会の下に作業部会を設置することが可能であるが,今回の検討会は本委員会とは離れた 位置づけにして自由で活発な議論を行う場であると認識している.


【閉会】

司会:次回はJAMSTECが事務局を担当し、11月頃に開催する.