第12回推進委員会

第12回アルゴ計画推進委員会議事概要

日時:平成23年7月29日(金) 14:00〜17:10
場所:気象庁大講義室

出席者:
花輪公雄委員長,道田豊委員 菅沼真樹委員(代理出席:鵜川裕美氏),井上諭一委員(代理出席:福山幸生氏), 中山一郎委員,米田浩委員(代理出席:大森正雄氏),安藤正委員, 長屋好治委員,大嶋真司委員,河野健委員,須賀利雄委員

*開会の挨拶(気象庁 安藤委員)
*各委員およびオブザーバーの自己紹介を行った.
*配布資料確認

【前回議事録の確認】

花輪委員長:前回の議事録はメールなどで委員の了承は得られているが,さらなる修正点があれば, 会議終了までに発言いただきたい.また,会議終了後も1週間を目途に意見を受け付け,その後(案)を取ってJapan Argoホームページに掲載する.

【議題1:国内アルゴ計画の進捗状況(観測関連)】

1.アルゴフロートの展開状況・計画

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

フロートの展開状況について
日本郵船(株)によるJAMSTECのフロート投入について
平成21年度購入分PROVORフロートの不具合について
APEXフロートのエアブラッダー不具合について
microleak問題に対するCTD補償方針について

質疑・応答:

花輪委員長:microleak問題に対する補償について,次回購入分に無償提供を受けることができるのはフロート本体ではなくCTDセンサーか.
細田氏:そうである.
花輪委員長:センサーが故障した場合に無償で交換する,という補償内容なのか.
細田氏:投入前のフロートについては,センサーメーカー(Sea Bird社)から提示された期間に購入したものについて無償で点検し, 問題のない状態を確認したうえで返却される.投入後のフロートについては,投入されたフロートから出力されたデータにより当該フロートのセンサーにmicroleakの症状が 現れているとセンサーメーカーが認めた場合に,センサーメーカーが当該センサー部分についてのみ補償を行うという内容.
須賀委員:補足する.次回フロートを購入する際,センサー部分が無償で提供されるということである.
花輪委員長:了解した.
花輪委員長:APEXフロートのエアブラッダーの不具合に関して,Riser氏は回路を組み込むことで問題を解消したとのことだが,これは構造上の問題ではなかったのか. 構造上の問題が回路を組み込むことによって解消されるのか.
細田氏:Riser氏はそのように言っている.詳細は知らないが,回路を組み込むことによってエアブラッダーを膨らませるバルブをうまく作動させることが できるようになり問題を解消できるとのこと.
安藤委員:酸素センサー付フロートはどのように運用しているのか.
細田氏:すべてのフロートについて2,000mまでの観測で,周期は2日.
安藤委員:酸素センサー付フロートの寿命はどれくらいか.
細田氏:仕様書によると150サイクル.これを考慮して,JAMSTECでは1年程度の観測期間を期待しているが,この観測条件での運用経験がないのでどうなるかはわからない.

2.気象庁によるフロートの展開状況・計画

(気象庁 谷氏が説明)

説明の要点:

平成23年度観測計画について
現在の運用状況について
イリジウム通信型フロートについて

質疑・応答:

花輪委員長:イリジウム通信型フロートによる短い周期での観測には台風の進路予報等に反映させたいという意図があるものと思うが,今回の台風第6号の場合, これらのフロートから得られたデータは台風の進路予報のモデル等に反映されたのか.
谷氏:これらのフロートにより取得されたデータはGTSに配信されている.気象庁の海洋データ同化システムでは利用しているが, 気象の予報モデルに反映させることは今のところできていない.
安藤委員:残念ながら,現在の気象庁の台風予想モデルは海洋混合層を考慮しておらず,今回の観測データは直接的には気象庁の台風予報には反映されていない. 台風予報への活用はこれからの課題と考えている.
須賀委員:海洋混合層をフロート等により調べ,台風予報に結び付けられる情報を取得しようとする取り組みは世界各国で行われており,例えば米国やフランスでは 通常のアルゴフロートとは異なる小型のフロートを飛行機から落とし台風予報のためのデータを収集する動きがある.フロート観測のこれからの応用として, 国際的にも非常に重視されてくると思う.
花輪委員長:海洋観測の分野では小回りが効かないことが多いが,こうした観測は海洋の機動的な観測方法のひとつになり得るのではないか.

3.水産庁及び水産総合研究センターによるフロートの展開状況・計画

((独)水産総合研究センター中央水産研究所海洋・生態系研究センター 渡邊氏が説明)

説明の要点:

2011年7月のフロート稼動状況
水産物の放射能調査へのフロートデータの活用について

質疑・応答:

花輪委員長:投入されたフロートの軌跡と今回のカツオの調査データがうまくマッチし合理的に解釈できることがよくわかった. サンプルのカツオは水産庁の船舶により漁獲されたものか.それとも提供されたものか.
渡邊氏:サンプルは提供していただいたもの.測定終了後,提供元に返す.
花輪委員長:そこの海水試料はないということか.
渡邊氏:残念ながら海水試料はない.
花輪委員長:先日の日本海洋学会のワーキンググループでは,海水に含まれる放射性物質についてミリベクレルオーダーまで測定することが重要ではないかという提言を文部科学省に提出したところである.
道田委員:これまでの発表全体に関して,国際的なアルゴ計画の中で世界における日本のアルゴフロートのシェアの推移はどうなっているのか, 台数ベースでもカバレッジベースでもよいので資料があれば教えてほしい.
細田氏:具体的な数値ではないが,数年前は台数ベースで10%を超えていたものが最近では10%を切るくらいになっている(2011年5月末のAICの情報では約8.6%).
道田委員:台数ベースなら簡単であるが,本当はカバレッジの観点からの評価をしたほうがよい.
細田氏:指摘のとおりである.実際アルゴ運営チーム(AST)でも議論となり,AICのWebやレポートではコアアルゴへの貢献という観点からの評価を公開し始めている. 投入計画や投入済みフロートについて,それがコアアルゴの観測網に対してどの程度貢献しているかをパーセンテージで示している. ただし,評価が低くてもフロート投入そのものを否定するわけではない.
須賀委員:オーストラリアがここ数年投入実績を伸ばしていることに関連して,オーストラリアでは2008年頃からIMOS(Integrated Marine Observing System)と呼ばれる国家プロジェクトが動き始めている. その中で物理環境だけではなく生物・化学を含めた統合的な観測システムをオーストラリア周辺の海域(インド洋,太平洋,南大洋)に構築する試みがあり,それによりオーストラリアのアルゴフロートが強化されてきた経緯がある.


【議題2:国内アルゴ計画の進捗状況(データ処理関連)】

1. リアルタイムデータベース

(気象庁 星本氏が説明)

説明の要点:

アルゴデータ管理システムにおけるデータの流れ
AICによるフロート稼動状況モニター
国内のフロート運用者からのアルゴデータの提供
沖縄科学技術研究基盤整備機構(OIST)
フランス海洋開発研究所による客観解析
まとめ

質疑・応答:

花輪委員長:OISTがアルゴフロートを投入した背景を知っていれば教えてほしい.
星本氏:今回の投入については,沖縄のサンゴ礁の環境調査のためだと聞いている.
中山委員:OISTの説明に使用した図の赤い点と青い点は何を示しているのか.
星本氏:気象庁が運営している「アルゴ計画・リアルタイムデータベース」から引用した図で,赤い点が日本のフロート,青い点が他国のフロートを示している.
須賀委員:ISDMによるGTS電文のチェックやIFREMERによる客観解析及びAltimeter QCは気象庁におけるリアルタイムデータ処理の手順として組み込まれているという理解でよいか.
星本氏:GTS電文チェックの結果についてはリアルタイムでの情報は入ってきていない. 客観解析やAltimeter QCの結果は少し遅れて入ってくるが気象庁が担当するリアルタイムのデータ処理として行う.
須賀委員:こういった処理を組み込むことは国際的に合意されていることか.
星本氏:合意されている.


2. 高品質データベース

(海洋研究開発機構 佐藤氏が説明)

説明の要点:

遅延データ処理実施状況の報告
microleak問題関連事項の進捗状況

質疑・応答:

花輪委員長:昨年microleak問題に伴うファイルの修正フォーマットが確定し,過去のファイルをそのフォーマットに修正していたために遅延QCの作業が遅れたとのことだったが, ファイル修正の作業はすでに終了していて今後は遅延QCの作業を進めていくという理解でよいか.
佐藤氏:ファイル修正はおおむね終了した状況であるが,microleak自体が検出されるまでに時間のかかる現象であるため, 現在稼動中でかつリコール前に投入したフロートの中には今後microleakが発生する可能性のあるものが含まれている.microleak問題に対してモニターを継続するとともに, 遅延QCの作業を進めていく.

2.アルゴに関する研究成果

(事務局 谷氏が説明)

説明の要点:
第11回アルゴ計画推進委員会以降,2011年7月28日までに登録された研究成果を報告した.英文で6件の登録があった.

質疑・応答:

花輪委員長:JAPAN Argoホームページに掲載済みということか.
谷氏:そのとおりである.
花輪委員長:この項目はアルゴ計画推進委員会の開催前に情報を収集する目的で毎回実施しているものである.


【議題3:国際アルゴ計画に関わる国内外の情勢】

1.第12回アルゴ運営会議報告

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

概要・目的
アルゴ計画実施に関わる問題
データ管理に関わる問題
技術に関する問題
アウトリーチ活動

2.AIC Trust fundの対処

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

経緯
AST-12で議論された内容

3. 北太平洋重点観測についての表明

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

経緯

北太平洋アルゴ観測網の高度化について(表明)

質疑・応答:

鵜川氏:Bio-Argoにおいて議論が必要とされたEEZ問題とは具体的にどういったことか.
細田氏:アルゴ計画は海洋の水温及び塩分を全世界的に観測し即時的にそのデータを公開するものであり, 気候変動の解明等に寄与する目的において各国の利害が一致するため,ほぼすべての国のコンセンサスが得られている. 一方,溶存酸素センサーやクロロフィルセンサー等のBioセンサーを搭載したフロートによるデータには水産業等に結び付く生態系に関する情報が含まれており, そのようなデータもアルゴ計画の枠組みで即時的に公開するとなると,国益に関わるという理由からアルゴ計画に賛同できないという国が出てくる可能性がある. このような背景から,Bioセンサー付フロートのデータに関する取り扱いについては今後も議論が必要とされた.
須賀委員:補足する.アルゴフロートによる観測については他国EEZ内における海洋観測に関する通常の手続きを簡略化できることがIOC第41回執行理事会で決議された. ただしこれはあくまでも水温及び塩分のみを観測するフロートに対し適用されるものであって,Bioセンサー付フロートには適用されない. そうしこともありBioセンサー付フロートをアルゴフロートの一部とするには国際法的な整理ができていない状況. アルゴフロートとそうでないフロートをしっかり区別すべきという議論もこれに関わってくる.なお,Bioセンサー付フロートを海洋観測の目的で投入する場合, 船舶による海洋観測と同様の手続きを踏まなければならないというのが国際法上の扱いになると考えられる.
中山委員:全てのフロートがアルゴではないことを周知すべきとのことだったが,これについて問題を生じた事例はあるのか.
細田氏: 問題を生じた具体例は知らないが,国内においても,アルゴ関係者を除きフロートはすべてアルゴであると誤解している人が多く, Bio-Argoに関するEEZ問題にいたっては知らない人がほとんど.それにもかかわらずBioセンサー付フロートをアルゴフロートとして投入しデータを公開しているケースがある. また,科研費の提案書等にBioセンサー付フロートを多機能型アルゴフロートと記述するといったケースもある.AST-12では,周知に関わる問題は非常に重要なもので, 予防的な意味でもこれからも注意が必要とされた.
中山委員:研究者に対して周知すべきということか.
細田氏:研究者のみならず,メーカーも含めフロートに携わるすべての人に対する周知が必要.
福山氏:アルゴフロートのトレンドとして,今後はイリジウム通信型フロートが増加していくのか.
細田氏:メーカー,ユーザーともにイリジウム通信型フロートが主流になりつつあるようだ. このタイプのフロートには長寿命のリチウムバッテリーが用いられているため投入機会を少なくすることができる.投入機会に恵まれていない現状において, 長寿命バッテリーを使用していることはひとつのアドバンテージになり台数の増加につながる可能性がある.
須賀委員:補足する.通信容量が大きいため海面を漂流する時間を短くできることもイリジウム通信型フロートの台数が増加した理由のひとつであると考えられる. アルゴス通信型フロートの場合はデータを送信するために半日程度海面を漂流する必要があるが, イリジウム通信型フロートの場合は原理的には電話をかける時間だけ海面を漂流すればよいため1時間以内でデータを送信することが可能. また,双方向通信によりミッションを切り替えることが可能なことも理由のひとつ.
福山氏:了解した.Google Oceanについて,どのようなデータ提供形式なのか教えてほしい.
細田氏:標準プラットフォームについては,フロートの位置情報のほか,PIや投入日時, 得られたデータ等の情報がポップアップするような形で誰にでも閲覧できるようにすることが考えられている. また,様々な情報をGoogle Oceanに掲載できるコンテンツを開発する動きもある. 例えば,ある月の1,000mにおける水温分布図をGoogle Oceanに貼り付けるフォーマットデータを作成すれば, それをユーザーが取得しGoogle Oceanに組み入れることによって1,000m深の水温分布図を月毎に見ることができるようになる.
福山氏: Argo JAMSTECホームページにフロートのメタ情報をGoogleマップ上に掲載し閲覧できるようにしたものがあると思うが,前者はそれに近いイメージか.
細田氏:そうである.
福山氏:後者はデータをグリッド化して面的に見られるようにしたようなものか.
細田氏:そうである.そこまで大々的ではないがJAMSTECにおいても同様のグリッドデータを作成しており, Google Oceanに掲載するようなコンテンツを一般公開等の際に紹介している.ASTにおいても一般向けコンテンツの作成を推進していくべきという議論がなされている.
道田委員:韓国の遅延QCが進まない理由は.
細田氏:聞いた話によるとマンパワーの問題.ただし,韓国ではデータ品質管理の事情が複雑であり,それも影響している可能性がある.
道田委員:解決策は見出されているのか.
細田氏:直接的な解決策は見出されていない.各国からの技術支援を得て遅延QCを進めていくことになるのではないかと考えられる.
花輪委員長:AIC Trust fundの対処についてはアルゴ計画推進委員会からJAMSTECに対する謝意を表明したところであるが, このたびTrust fundの支払いが完了しASTやAICから謝意が表明されたところであるので, このことについてアルゴ計画推進委員会として改めて謝意を表明することを議決したいがよろしいか.
全員一致で議決.

4. 日本海で拾得された韓国フロート

(海洋研究開発機構 細田氏が説明)

説明の要点:

概要及び経緯
国外に所有者が存在するフロート拾得が問題になる事例(JAMSTEC関連)
一般的な漂流物拾得に関する国内法の適用について(第10回アルゴ計画推進委員会における報告)
アルゴフロートのステッカーと拾得した場合の連絡経路

質疑・応答:

花輪委員長:拾得フロートに関わる問題については第10回アルゴ計画推進委員会において水産庁及び海上保安庁から関連法規に基づく報告がなされ議論を重ねたところであるが, 具体的な対応フローチャートの作成等には至らなかった.アルゴといえばJAMSTECという漠然としたイメージを抱いている人が多く, 日本近海におけるフロート拾得の連絡はほとんどJAMSTECに入ってくる現状となっている.なかなか難しい問題ではあるが,何か意見や提案はないか.
安藤委員:フロートは漂着物のごく一部を占めるのみであり,誰にどのような形で拾得されるか想定できない.そのため, あらかじめフローチャート等を作成するのは困難であると感じている.本来であればフロートに貼付されたステッカーのとおりPIと拾得者との間で直接連絡を取り合うべきであるが, ほとんどJAMSTECに対応していただいているのが現状.そこで,日本近海で拾得されたフロートに関してはJAMSTECだけではなく本委員会全体が窓口となることを提案したい. 対応そのものはフロート拾得の連絡を受けた本委員会の機関が行うが,本委員会の構成員全体でその情報を共有しつつ事例毎に具体的な対応方法を決定していくべきではないかと考える. そのためには,本委員会を構成する機関が各出先機関に対して改めて拾得フロートに関する周知を行い,出先機関においてフロート拾得の連絡を受けた際は, その出先機関がその機関の系列で本委員会構成機関に連絡し,さらにその情報を本委員会内で共有するようにしておく必要があると考える.AICに対してどのようなメールを出したか等, これまでに取った対応も併せて共有しておくことでスムーズな対応が可能となってくるのではないか.
細田氏:フロート拾得の事例はここ最近増えている.韓国が日本海にかなりの数のフロートを投入しており,これから確実に拾得の事例が増えてくると思われる. そのため,早目に対処を検討する必要がある.
花輪委員長:安藤委員からの提案について,海上保安庁からの意見はないか.
及川氏:海上保安庁は先ほど細田氏から紹介のあったリーフレットを各管区の海洋情報部を通じて保安部に周知したところであり, 提案の「周知」の部分についてはすでに対応している.
花輪委員長:水産庁はどうか.
水益氏:水産庁は出先機関が少ない.また,漂着物については都道府県が主に対応している.そのため,水産庁としてはこれまで特に対応していないのが現状.
花輪委員長:ここで議論を整理したい.安藤委員からの提案の主旨は,フロート拾得者がはじめに誰に連絡してくるかはケースバイケースだが, もし本委員会を構成する機関の出先機関に連絡があった場合,出先機関はその旨を所属機関に報告し,報告を受けた機関は本委員会に情報を共有しつつAICに通報し, その後はフロートに貼付されているステッカーの手順に則りPIとその機関において対応を実施するというもの.この提案について意見をお願いしたい.
水益氏:例えば漁師が漁業中にフロートを拾得した場合であっても,その連絡が水産庁あるいはその出先機関に寄せられる可能性は非常に低いと思われる. また,都道府県の水産試験場は国の機関ではないので水産庁から直接指示はできない.しかし提案の主旨は十分に理解できるので, もしそういったケースが出てくるのであれば対応方法を検討したいと考える.
北沢氏:フロートが拾得されてしまった場合の対応として,安藤委員からの提案は妥当だと思う.しかしその前段階として,例えばEEZ warning systemを利用して, フロートが日本のEEZの100km以内に流入してきたというAICからの通知を日本のFPで受け, その段階で漂着が想定される沿岸地域の各出先機関にあらかじめ連絡するなどすれば予防措置として効果的なのではないか.このような事前通知のシステムを活用していくべきだと考える.
花輪委員長:確かに事前通知のシステムは活用すべきであるし,一定の効果も得られると思う.しかし, 事前通知とは無関係にたまたまフロートを拾得してしまうというケースが相当数あると思われる. 韓国が積極的にフロートを投入しはじめたこともあり今後このような事例が増えてくる可能性があるが,きちんとした対応フローチャートは作りにくいというのが現状. 安藤委員からの提案が有力な方法のひとつだと思う.おそらく1〜2件の事例を経験すればあとはスムーズにいくのでは.
中山委員:確認したい.拾得されたフロートは稼動中のものなのか,停止したものなのか.停止したフロートの場合,EEZ流入等の情報は得られないものと思うが. それから,停止したフロートは浮いた状態なのか,沈んだ状態なのか.
細田氏:稼動中のものも停止済みのものもある.稼動中,海面に浮上してきた際にたまたま拾得されるケースもある. 停止済みのフロートには浮いた状態のものも沈んだ状態のものもある.
花輪委員長:フロートを拾得した場合は再投入するのが前提となっているが,英語で書かれたステッカーが読めないために拾得してしまうケースがある. そのときの対応をどうするかが焦点.
須賀委員:先程のAICによるEEZへのフロート接近情報を活用する話について,EEZにフロートが接近しているというAICからの通知を受け取ることを日本は表明していない. EEZへのフロート接近情報を受け取るかどうかは,フロート拾得の問題とは別の次元の問題として扱う必要があると思われる.
北沢氏:AICからの通知の希望を表明しないことについて,何か理由があるのか.外国船に拾得された日本のフロートは稼動中のものが多いと認識している. 停止済みのフロートへの対処は別として,AICからの通知を受け取るようにすれば稼動中のフロートが日本に接近してくるかどうかは事前にモニターできるのではないか. 細田氏:はっきりとしたことは言えないが,拾得されたフロートが稼動中か停止済みかは状況による.
花輪委員長:賛同の得られた機関もあるので,ここでもう一度提案についてまとめておきたい.提案の内容は,本委員会に所属する機関がフロート拾得の連絡を受けた場合, その機関は速やかに本委員会に情報を共有するとともに対応の仕方について情報交換を行ったうえでAICに通報し,PIとともに対応にあたるというもの. JAMSTECはこれまでの対応からAICに対する通報の仕方等のノウハウを持っている部分があると思うので提供していただきたいと思う.まとめると, 可能な限り連絡を受けた機関が対応するが情報は本委員会で共有していく,ということになると思うが,いかがか.
河野委員:これまでの事例では,フロートを拾得した漁業者が自分の知っている水産関係の公的機関に相談し,その公的機関がJAMSTECに対して連絡してくるのが通例. 提案のとおり本委員会に情報を共有しつつAICに通報し,PIを紹介してもらったうえで拾得者に対してPIと直接やり取りを行うよう伝えたとしても, 官庁からであれば指導や指示になるのかもしれないが,我々の場合はただのお願いになってしまう.これでは拾得者とPIの間で板挟みになって苦労するだけではないか.
花輪委員長:今のスキームだとそうなる.
河野委員:これでは現状と全く変わらない.我々がただ苦労するだけ.
花輪委員長:今回の提案は,フロート拾得の連絡を受けた機関が対応の努力をすることを前提にしているものと思う.つまり,ある機関がフロート拾得の連絡を受けた場合, その後の対応を別の機関に依頼することはしない,と宣言したものと理解しているが.
河野委員:フロート拾得の連絡はほぼすべてJAMSTECにくるのが現状.
花輪委員長:JAMSTECとしては提案には賛同しかねるということか.提案されたスキームで現状が変わらないということであれば,代わりの案を出していただきたい. 建設的な意見がほしい.
河野委員:JAMSTECとしては官庁に窓口を作ってほしい.官庁からの指導ということであれば我々としては動きやすい.
花輪委員長:立場により考えることは様々だと思うが,他に何か意見は.
中山委員:補償問題等に発展する可能性もあることで官庁として対応することは慎重にならざるを得ないと感じる.
河野委員:それは我々も全く同じ.むしろ官庁よりも立場的に弱いと考える.
中山委員:例えば日本のフロートを米国が拾得した例はないのか.
細田氏:フロートを拾得した漁業者がFishery Agencyに相談し,AIC経由でJAMSTECに連絡のあった事例がある.
安藤委員:フロートではないが,NOAAの漂流ブイが拾得され気象庁の出先機関である気象台に連絡が来たことがあった.この事例については気象庁からNOAAに連絡し対処した. 気象庁としては,フロートについて連絡があった場合も同様に対応したいと考える.
花輪委員長:様々な意見が出たが,今回の提案については合意が得られなかったということでよいか.難しい問題ではあるがどこかに妥協点を見出す必要があると感じる. 今回は,前回の委員会に引き続き意見交換を行ったということにしたい.


5. Argo-oxygen meeting報告

(海洋研究開発機構 須賀委員が説明)

説明の要点:

概要及び目的
Calibration(キャリブレーション)
Dynamic errors(動的誤差)
QC and data processing(品質管理)
Scientific analysis(科学的解析)
まとめ

質疑・応答:

花輪委員長:GLOBEは今後,既存のプログラムの枠内に収まっていくのか.
須賀委員:GLOBEはあくまで米国内のプログラムであり,既存のプログラムからの参加者も見られるが,今後既存のプログラムとどう結び付くのかは不明.


花輪委員長:残念ながら時間がなくなってしまった.今回の総合討論は割愛したい.


【閉会】

司会:次回はJAMSTECが事務局を担当し,12月頃に開催する.