11月19日までの黒潮「短期」予測 (2020年11月11日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは11月19日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した11月11日・11月15日・11月18日の黒潮の状態です(1日平均)。

黒潮大蛇行[1]と呼ばれる状態になっていましたが、大蛇行から渦が大きくちぎれ離れつつあります(A, 図1~3)。渦が遠ざかるにつれて、潮岬(B)で潮岬で接岸していましたが、小蛇行(G)が東に移動するにつれて、再び離岸しつつあります(図1, 長期予測も参照)。

潮岬の東では、黒潮が熊野灘(E)では北寄り、八丈島()付近では南寄り(F)を流れています(図1)。黒潮は次第に伊豆半島に近づくと予測しています(図2~3、F)。

四国の室戸岬(C)と足摺岬(D)では小蛇行(G)の影響を受けて、離岸していますが、室戸岬には東から、足摺岬には九州東岸沿いに南から伸びた暖水が近づきそうです(図1~3)。九州東岸から足摺岬に北上する細い流れは宮崎県による海洋短波レーダーによる観測でも見られています。

図4は11月9日午前9時から11月19日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

JCOPE-T DAの予測は毎日更新されており、最新の予測はJAXAのサイトをご覧ください。図の見方は「JAXAと共同で新しい海洋予測を開始」で解説しています。

  1. 人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAを比較するサイト
  2. JCOPE-T DAの水平分布と深さ(鉛直)方向の分布を可視化するサイト
Fig1

図1: 2020年11月11日の予測値(日平均)。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし11月15日の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし11月18日の予測値。

 


図4: 11月9日午前9時から11月19日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


  1. [1]黒潮大蛇行の記事のまとめはちら


JCOPE-T DAは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測研究センター(EORC)と共同で、土曜日を除く毎日更新を行っています(解説参照)。