最近の水温の状況(2020/12)

最近の水温の状況

先月から今月にかけての日本周辺の海面の水温の状況を見てみます。

図1は、今年11月12日と12月10日の海面の水温の平年との差を見たものです[1]。平年より高い場所が赤っぽい色、低い場所では青っぽい色になっています。図2は、同じく11月12日と12月10日の、水深100mの図です。水深100mでも海面と同じ変化が見られれば、水温の平年との差が天気だけでなく海流の影響を受けている可能性が高くなります。

10月になって大蛇行から渦がちぎれて、大蛇行が終わったと言える状況になりました(コラム「黒潮大蛇行が終わる!?」を参照)。ちぎれた渦は南に遠ざかりつつあります。この渦による冷水は海面では既にはっきりせず(図1A)、海面下でも11月には冷水渦が見えていましたが、12月には見えなくなっています(図2A)。それに代わって九州東から四国南にあった冷水渦が紀伊半島まで移動してきて、冷たい新しい大蛇行になっています(図1,2C, 黒潮長期予測参照)。その影響で黒潮は東海沖では北寄りを流れ、沿岸で温度が高くなっています(図1,2、B)。

親潮周辺では「暖水渦の影響はまだ続く(親潮ウォッチ2020/11)」で解説したように、まだ暖水渦が存在するので平年より温度が高い所が見られます(図1,2、D)。その周辺で親潮が回り込んでいるので冷たくなっています(E)。黒潮続流が北寄りに流れている所では平年より温度が高くなっています(F)。

海面で11月には平年より冷たいところも見られた日本南方・東シナ海・日本海(G)では、12月にはほとんどの場所で平年より温度が高くなっています。特に日本海の高い水温は日本海側に多くの雪を降らせる可能性があり、これからの季節で気になるところです(「対馬暖流」が強く大雪?参照)。

今後の日本周辺の水温については、「季節ウォッチ」も参考にしてください。

Fig1

図1: 海面の温度の平年との差(℃)。[上段]2020年11月12日。[下段] 2020年12月10日。

 

Fig2

図2: 水深100mの水温の平年との差(℃)。[上段]2020年11月12日。[下段] 2020年12月10日。

 

  1. [1]この記事では、今年の値はJCOPE2Mを使っています。平年の値はJCOPE2M再解析の1993~2018年の平均を使っています。JCOPE2M再解析データは学術研究利用では無償で公開しています。