2月20日から4月28日の予測(2月26日発表)

現在、黒潮は八丈島付近から北へ流路を変えつつあります。房総半島から黒潮が離れています。四国・足摺岬から室戸岬にかけて黒潮が近づいています。
伊豆諸島付近での接岸・離岸の変動は引き続き大きいでしょう。3月には八丈島の南を流れる離岸流路が発達すると予測しています。

現状

図1と図2はJCOPE2で計算した2月20日(※1)と2月26日の黒潮の状態です。離岸傾向d(※2)の伊豆諸島通過にともない黒潮が八丈島に近づいていましたが(図1)。接岸傾向eのために、八丈島の北に流路を変えつつあります(接岸流路, 図2)。

房総半島では、接岸傾向cにより黒潮が接岸していましたが(図1)、離岸傾向dにより黒潮が離れています(図2)。

大きな離岸傾向f(小蛇行)のため、紀伊半島・潮岬で黒潮が離岸しています(図1,2)。接岸傾向gにより、離岸していた四国・足摺岬(図1)で接岸し、室戸岬へ黒潮が近づきつつあります(図2)。

※1   予測開始時点(今回は2月20日)までの解析データを作成のために、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が提供している地球観測衛星「ひまわり8号」の海面水温データを、JAXAとの共同研究の成果として、今回の予測から取り入れています。「ひまわり8号」の海面水温データに関しては、2015/10/9号・気象衛星「ひまわり8号」で見た黒潮を参照してください。

※2 接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットc,d,,,で図示しています。赤字c,e,,が接岸傾向で、青字d,f,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通)、同じアルファベット、例えば離岸傾向fが、上流から下流に移動していることをしめしています。

 

Fig1

図1: 2月20日の推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

図2: 2月26日の予測値。


予測

図3と図4は3月18日と4月28日の予測です。

接岸・離岸の変動が大きく、その変動が黒潮の下流に移動すると予測しています(図1,2,3)。離岸傾向d(図1)、接岸傾向e(図2)、離岸傾向f(図3)と、黒潮の流路は大きく振れそうです。特に大きい離岸傾向f(小蛇行)をきっかけとして、3月から黒潮が八丈島の南を流れる離岸流路が発達し(図3)、継続すると予測しています(図4)。四国・足摺岬から紀伊半島・潮岬にかけての黒潮は、離岸傾向fの通過後は比較的岸近くを流れる見込みです(図3)。現在のところ、離岸傾向hは小さめだと予測しています。続く離岸傾向jは大きめで、3月後半から4月にかけて九州東岸から紀伊半島・潮岬を移動し(図3,4)、離岸を引き起こす可能性があり、次の注目点です。

図5は2月20日から4月28日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig3

図3: 3月18日の予測値。

 

Fig4

図4: 4月28日の予測値。

 


図5: 2月20日から4月28日までの予測のアニメーション。クリックして操作して下さい。途中で停止することもできます。



JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。