2月27日から5月5日の予測(3月4日発表)

現在、黒潮は八丈島の北を流れる接岸流路です。房総半島から黒潮が離れています。四国・足摺岬では離岸し、室戸岬には黒潮が近づいています。
伊豆諸島付近での接岸・離岸の変動は引き続き大きいでしょう。3月には八丈島の南を流れる離岸流路が発達すると予測しています。

現状

図1と図2はJCOPE2で計算した2月27日と3月4日の黒潮の状態です。接岸傾向eの伊豆諸島接近により、黒潮が八丈島の北を流れる接岸流路になっています(図1, 2)。2月末から3月初めに接岸傾向eで黒潮が本州に近づくことは、2016年1月8号頃から予測できていました(ただし、その時の予測よりも黒潮は本州近くを流れています)。

房総半島では、離岸傾向dにより黒潮が離岸していましたが(図1)、接岸傾向eの下流への移動により黒潮が近づきつつあります(図2)。

岸傾向hにより四国・足摺岬で黒潮が離岸し、接岸傾向gにより室戸岬へ黒潮が近づきつつあります(図1,2)。潮岬でも黒潮が岸に近づいているように見えますが(図2)、「ひまわり8号」が観測した海面水温と比較すると(下の図6)、潮岬での離岸をうまく表現できていないようです。

※1 接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットd,e,,で図示しています。赤字e,g,が接岸傾向で、青字d,f,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通)、同じアルファベット、例えば離岸傾向fが、上流から下流に移動していることをしめしています。

Fig1

図1: 2月27日の推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

Fig2

図2: 3月4日の予測値。


予測

図3と図4は3月18日と5月5日の予測です。

接岸・離岸の変動が大きく、その変動が黒潮の下流に移動すると予測しています(図2,3)。接岸傾向e(図2)、離岸傾向f(図3)と、黒潮の流路は大きく振れそうです。特に大きい離岸傾向f(小蛇行)をきっかけとして、3月中頃から黒潮が八丈島の南を流れる離岸流路が発達し(図3)、継続すると予測しています(図4)。

現在のところ、離岸傾向hは小さめだと予測しています。続く離岸傾向jは大きめで、3月後半から4月にかけて九州東岸から紀伊半島・潮岬を移動し(図3,4)、離岸を引き起こす可能性があり、次の注目点です。

図5は2月27日から5月5日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig3

図3: 3月18日の予測値。

 

Fig4

図4: 5月5日の予測値。

 


図5: 2月27日から5月5日までの予測のアニメーション。クリックして操作して下さい。途中で停止することもできます。


 

参考図

図6は3月2日に「ひまわり8号」が観測した海面水温です。潮岬沖で高い水温(矢印で指し示した地点)が岸から離れおり、黒潮が離岸していることがわかります。

Fig6

図6: 「ひまわり8号」が観測した2016年3月2日の海面水温(°C)。JAXA提供の1時間データを合成した。「ひまわり8号」の海面水温については、2015/10/9号・気象衛星「ひまわり8号」で見た黒潮を参照。

 

 



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