2017年5月19日から7月20日の予測(5月24日発表)

黒潮は八丈島に近づいています。黒潮から関東沖に暖水が入りやすい状況になっています。房総半島では黒潮が近づきつつあります。小蛇行の影響で九州東岸から紀伊半島沿岸まで離岸しています。小蛇行による影響で黒潮の蛇行が大きく発達する可能性があります。

JCOPE2の改良版であるJCOPE2M週2回の予測を行っています。ここでは2017年5月19日から7月20日の予測を解説します。

現状

図1と図2はJCOPE2Mで計算した5月19日と5月24日の黒潮の状態です。

黒潮は、接岸傾向s[1]により、八丈島に近づいています。関東沖に暖水が入りやすい状況になっています。房総半島では、離岸傾向pにより黒潮が離れる一方、接岸傾向sによって黒潮が近づきつつあります。

九州から四国沖では黒潮が大きく離岸(小蛇行)しています(図1,2)。小蛇行通過のため(離岸傾向v)、紀伊半島・潮岬にも離岸がおよんでいます(図2)。

Fig1

図1: 観測値を取り入れて作成した5月19日の推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。赤丸()が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

Fig2

図2: 5月24日の予測値。

 

予測

図3・図4・図5は5月31日・6月7日・7月20日の予測です。

大きめの離岸(小蛇行)がしだいに黒潮下流に移動してくると予測しています(図3,4,5)。小蛇行が下流に移動してくると、沿岸域では大きな離岸につながります。小蛇行の影響で、伊豆諸島西から房総半島沖の黒潮は蛇行が非常に大きくなる可能性があります(図5)。

接岸傾向sにより、黒潮は房総半島にこのまま近づき、八丈島の北を流れそうです(図3,4)

図6は、5月19日から7月20日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig3

図3: 5月31日の予測値。

 

Fig4

図4: 6月7日の予測値。

 

図5: 7月20日の予測値。接岸・離岸の記号は略。

 


図6
: 2017年5月19日から7月20日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

 

  1. [1]接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットで図示しています。赤字q,s,,が接岸傾向で、青字p,r,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通ですが、あらためて記号を振り直したところもあります)、同じアルファベット、例えば接岸傾向sが、上流から下流に位置が動いていることをしめしています。


JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。