2017年5月25日から7月27日の予測(5月31日発表)

黒潮は八丈島に近づいています。小蛇行の一部が紀伊半島沖を通過し、潮岬で離岸しています。小蛇行通過後の四国・室戸岬と足摺岬では黒潮が近づいています。残りの小蛇行で九州東岸は離岸しています。紀伊半島を通過した小蛇行が発達し、黒潮の蛇行が非常に大きくなる可能性があります。

JCOPE2の改良版であるJCOPE2M週2回の予測を行っています。ここでは2017年5月25日から7月27日の予測を解説します。

現状

図1と図2はJCOPE2Mで計算した5月25日と5月31日の黒潮の状態です。

黒潮は、接岸傾向s[1]により、八丈島に近づいています。房総半島では、接岸傾向qによって黒潮が近づいています。

九州から四国沖では黒潮が大きく離岸(小蛇行)していた中から、小蛇行の一部(小蛇行1)が紀伊半島沖を通過しています(図1,2、離岸傾向v)。小蛇行通過のため、潮岬で離岸しています。小蛇行通過後の四国・室戸岬では黒潮が接岸し、足摺岬にも近づいています。九州東部では、小蛇行の一部が残り(小蛇行2)、離岸が続いています。

Fig1

図1: 観測値を取り入れて作成した5月25日の推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。赤丸()が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

Fig2

図2: 5月31日の予測値。

 

予測

図3・図4・図5は6月7日・6月14日・7月27日の予測です。

小蛇行1(離岸傾向v)は次第に離岸が発達すると予測しています(図3,4)。7月には離岸(蛇行)が非常に大きくなる可能性があります(図5)。蛇行が黒潮大蛇行につながる可能性について、APLコラム「黒潮大蛇行は発生するか?」で検討していますので、そちらもご覧ください。

接岸傾向sにより、黒潮は房総半島にこのまま近づき、八丈島の北を流れそうです(図3,4)

図6は、5月25日から7月27日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig3

図3: 6月7日の予測値。

 

Fig4

図4: 6月14日の予測値。

 

Fig5

図5: 7月27日の予測値。接岸・離岸の記号は略。

 


図6
: 2017年5月25日から7月27日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

 

  1. [1]接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットで図示しています。赤字q,s,,が接岸傾向で、青字r,t,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通ですが、あらためて記号を振り直したところもあります)、同じアルファベット、例えば接岸傾向sが、上流から下流に位置が動いていることをしめしています。


JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。