2017年8月25日から10月26日の予測(8月30日発表)

黒潮は、東海沖と伊豆諸島周辺で大きく蛇行していましたが、伊豆諸島周辺の蛇行は縮小しつつあります。東海沖の蛇行のために、四国・室戸岬、紀伊半島・潮岬でも離岸しています。蛇行の東側では沿岸に黒潮から暖水が入りやすくなっています。九州東岸、四国・足摺岬ではほぼ接岸しています。東海沖の蛇行は継続するでしょう。典型的な黒潮大蛇行の流路になる可能性があります。

JCOPE2の改良版であるJCOPE2M週2回の予測を行っています。ここでは2017年8月25日から10月26日までの予測を解説します。

現状

図1と図2はJCOPE2Mで計算した8月25日と8月30日の黒潮の状態です。

先週までに伊豆諸島付近と東海沖に黒潮の大きな蛇行が存在していました(蛇行12, 図1,2)。伊豆諸島周辺の蛇行1は、東に移動しつつ、縮小しつつあります(図2)。東海沖の蛇行2は、大きな規模を維持しつつ、継続しています。この蛇行にともない、四国・室戸岬、紀伊半島・潮岬でも離岸しています蛇行2の東側で、紀伊半島東から東海沿岸にかけて暖水が入りやすい状況でした(図1,2。図8も参照)。

房総半島沖では黒潮が離れていましたが(図1、離岸傾向t[1])、やや近づいています(図2,接岸傾向u)。

九州東岸、四国・足摺岬ではほぼ接岸しています(接岸傾向c, 図2)。

Fig1

図1: 観測値を取り入れて作成した8月25日の推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。赤丸()が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

Fig2

図2: 8月30日の予測値。

 

予測

図3・図4・図5・図6は9月6日・9月13日・9月27日・10月26日の予測です。

伊豆諸島周辺の蛇行(蛇行1)は縮小し、黒潮は八丈島付近を流れると予測しています(図3~5)。一方で、東海沖の蛇行(蛇行2)は継続しそうです(図3~5)。長期的にはさらに蛇行が発達する可能性があります(図6)。蛇行が大きく、紀伊半島・潮岬での離岸が継続し、黒潮が八丈島の北を流れるようになると、2004-2005年以来となる典型的な黒潮大蛇行の流路となります。気象庁も黒潮大蛇行になる可能性を指摘しています[2]

足摺岬では、小刻みな離岸・接岸がありながらも、接岸が基調になると予測しています(図3~6)。現在、離岸している室戸岬でも次第に接岸するでしょう(図3~6)。潮岬では離岸が続くと予測しています(図3~6)。房総半島沖では離岸・接岸が大きく変化するでしょう(図3~6)。

図7は、8月25日から10月26日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig3

図3: 9月6日の予測値。

 

Fig4

図4: 9月13日の予測値。

 

Fig5

図5: 9月27日の予測値。接岸・離岸の記号は略。

 

Fig6

図6: 10月26日の予測値。接岸・離岸の記号は略。


図7: 2017年8月25日から10月26日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

黒潮の蛇行はどうなるか?

この欄では黒潮蛇行の様子を検証していきます。

図8は8月20日と8月28日に「ひまわり8号」が観測した海面水温です[3]。黒潮は温度の高い帯として見えています。

伊豆諸島に周辺の黒潮の蛇行(蛇行1)のため、8月20日頃には黒潮は八丈島(図の)の南を流れ、八丈島周辺の水温は冷たくなっていました(図8上段)。8月28日は、蛇行は東に移動し、黒潮は八丈島付近を流れ、八丈島周辺の水温が上昇しています。蛇行1が縮小するというのは先週の予測どおりです。

東海沖の黒潮は大きな蛇行になっています(蛇行2)。黒潮が北緯32度(赤点線)以南まで蛇行しているのが大きいという目安です。[4]

蛇行2が大きく、紀伊半島・潮岬での離岸が継続し、黒潮が八丈島の北を流れるようになると長期的に持続しやすい[5]典型的な黒潮大蛇行の流路になります。蛇行1が縮小しつつあるため、典型的な黒潮大蛇行の流路に近づきつつあります。黒潮が八丈島の北を流れるようになるかが今後の注目点です。現在の予測では、すぐには黒潮が八丈島の北を流れるようにはならず、しばらくは八丈島周辺を流れるのが続きそうです(図3~5)。

Fig8

図8:8月20日と8月28日に「ひまわり8号」で観測された海面水温。は八丈島の位置。白くなっているところは雲がかかって観測できなかった所。

 

  1. [1]接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットで図示しています。赤字u,w,,が接岸傾向で、青字t,v,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通ですが、あらためて記号を振り直したところもあります)、同じアルファベット、例えば離岸傾向xが、上流から下流に位置が動いていることをしめしています。
  2. [2]黒潮が東海沖で大きく離岸~今後、大蛇行となる可能性があります~」(気象庁、2017/8/30)
  3. [3]ひまわり8号」の海面水温については、2015/10/9号・気象衛星「ひまわり8号」で見た黒潮を参照。JAXA提供の「ひまわり8号」海面水温データは、2016年8月31日からバージョン1.2にバージョンアップしています。鹿児島県水産技術開発センター和歌山水産試験場からも「ひまわり」の画像が公開されています。過去の「ひまわり8号」の水温データを使った解説一覧はこちら
  4. [4]海上保安庁の用語の説明参照。http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/KAIYO/qboc/exp/yougo.html
  5. [5]APLコラム「黒潮大蛇行は発生するか?」の解説参照。


JCOPE2Mは週2回の更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。
 


美山 透

海の変化は、漁業海運エネルギー天候など様々なことに影響します。海洋予測がもっと身近なものになるように、頭をしぼって書いています。