2017年9月22日から10月20日の予測を検証します

毎月の月末は、過去1カ月の予測を検証する予定です[1]。今回は2017年9月27日号の、9月22日から予測した10月20日までの結果を検証します。

予測と実際

9月27日号では典型的な黒潮大蛇行になる可能性が高そうだと書きました。実際、気象庁・海上保安庁は、黒潮が

  • 潮岬で黒潮が安定して離岸していること
  • 東海沖(東経 136〜140 度)の流軸の最南下点が北緯 32 度より南に位置していること

の2つの基準を満たしたと判断し、黒潮が12年ぶりに大蛇行しているとみられると発表しました[2]

図1上段は、9月22日から予測した10月20日の黒潮の状態です。図1下段は、観測値を取り入れて実際に近いと考えられる10月20日の状態です。図2は、同じく予測値(上段)と実際(下段)の比較を、9月22日から10月20日までのアニメーションにしたものです。10月20日の予測(図1上段)は、実際(図1下段)の、潮岬が継続して離岸していること、黒潮の最南下点が北緯 32 度より南に位置すること、を良く予測できていました。

ただし、10月20日の時期は黒潮が八丈島()の南を通過していると予測していたのに対し、実際は八丈島の北を通過しています。そのため、予測では蛇行の位置が全体的に実際よりも東に寄る傾向がありました。黒潮が八丈島の北を通過し、蛇行が伊豆諸島(伊豆海嶺)の西に位置している方が大蛇行は継続しやすいと考えられており[3]、黒潮大蛇行は9月時点で予測していたよりも安定しているようです。

予測と実際で、違っていた所と、合っていたところは、図2のアニメーションでもご確認ください。黒潮の蛇行の行方については、毎週の黒潮予測記事でも、気象衛星「ひまわり8号」が観測する海面水温と比較しながら検証しています。

Fig1

図1: [上段]2017年9月22日から予測した10月20日の予測値。[下段]観測値を取り入れて推測した2017年10月20日の解析値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。赤は八丈島の位置。

 


図2:
2017年9月22日から10月20日までの予測(上段)と実際(下段)の比較のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

 

  1. [1]2017/7/12号「黒潮流路はどれくらい先まで予測できるのか」でも解説しているように、1ヶ月はある程度の精度をもって予測できる限界に近い長さです。毎月の検証では、限界に挑戦するため1ヶ月先の予測の検証をしています。仮に検証で1ヶ月先の予測が当たっていない部分があっても、たとえば1週間先の予測が外れ続けたという意味ではないことにご注意ください。
  2. [2]黒潮が12年ぶりに大蛇行」(2017/9/29)
  3. [3]APLコラム「黒潮大蛇行は発生するか?」(2017/5/25)の解説参照。「