親潮と黒潮がすれちがう (親潮ウォッチ2019/3)

親潮の現在

毎日更新されるJCOPE-T DAによる予測はJAXAが提供を開始した可視化サイトで見ることができます。可視化サイトには2種類あります。図の見方は「JAXAと共同で新しい海洋予測を開始」で解説しています。

  1. 人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAを比較するサイト
  2. JCOPE-T DAの水平分布と深さ(鉛直)方向の分布を可視化するサイト

図1は「1. 人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAの比較するサイト」で親潮付近を見たものです。時間は3月20日9時台(日本時間)の1時間平均で、左が気象衛星「ひまわり8号」による海面水温の観測、右がJCOPE-T-DAによる推定値です。

図1を見ると、北海道・東北沿岸では冷たい親潮の水が南まで入り込んでいる一方で(A)、その東の沖合では黒潮続流がかなり北まで蛇行し(B)、さらに黒潮続流からわかれた流れや渦が黒潮の温度の高い水を北まで運んでいます(C)。このように東西で極端に状況が違うという状況になっています(「最近の水温の状況 (2019/3)」も参照)。

Fig1

図1: 「人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAの比較するサイト」で親潮付近を拡大した図。時刻は3月20日9時台(日本時間)の1時間平均。左が気象衛星「ひまわり8号」による海面水温の観測。灰色でデータが無い場所は雲などで観測できなかった所。右がJCOPE-T-DAによる推定値。

4月5日までの予測

図2は3月24日午前9時から4月5日午前9時までの予測のアニメーションです。左が海面、右が水深100mです。右の水深100mの図には、親潮の勢力の範囲の指標として、水温5℃線を水色の線にしています。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

沿岸では親潮が南下し、沖合では黒潮からの水が北上する図1のような状況はしばらく続きそうです。


図2: 2019年3月24日午前9時から4月5日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。左が海面、右が水深100m。矢印(ベクトル)が海面の流れの向きと強さ(メートル毎秒)。色が海面水温(℃)。温度の等温線も2℃毎に白色で加えてある。水深100mの右の図には親潮の勢力の指標として水温5℃の等温線も水色で加えている。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


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黒潮親潮ウォッチでは、親潮の現状について月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。 JCOPE-T-DAによる短期予測はJAXAのサイトで見ることができます。 4日毎に更新されるJCOPE2Mによる親潮の長期解析・予測図はJCOPE のweb pageで見られます。親潮関係の図の見方は2017年1月18日号2017年2月1日号で解説しています。