大気の研究室と観測研究設備
ドップラ−レーダシステムラジオゾンデSOAR衛星受信室大気ガス観測室気象観測室

大気の研究室及び主要観測研究設備として、ドップラーレーダーシステム、ドップラーレーダー室、ラジオゾンデ(放球コンテナ)、気象観測室、衛星受信室、大気ガス観測室を有しています。大気の研究室では、大気-海洋相互作用の研究のため、海上から高層にいたる風、気温、湿度など大気の状態を決定する要素や、海面のアルベド(海面の反射率)、波など基礎的なデータを得ると共に、相互作用の媒体として重要な「雨」や「雲」について調べます。また、地球規模の気象・環境変化に影響を及ぼす大気中の微量ガスや微粒子を調べます。


ドップラーレーダシステムとドップラーレーダ室
海上に発達する雲の降水機構の解明及び雨が海洋に与える影響評価のため、電波(Cバンドマイクロ波)を発射し、雲の中の風や雨滴・雪片の降水速度・量を測定します。動揺している船の上でも直径3mのアンテナを所定の方向に向けるため、高精度慣性航法装置により制御します。

ドップラーレーダ(アンテナ部)
ドップラーレーダ室

ラジオゾンデ(放球コンテナ)
ラジオゾンデは小型軽量の測定器(気圧、温度、湿度)と小型無線送信機とを一体化した機器であり、ヘリウムガスを充填したゴム気球に取り付けられ、海面から20kmまでのデータを取得します。ゾンデの位置はGPSを用いて測り、これにより風向、風速を測定します。データは研究目的に利用されるだけでなく、全球通信放送システムを通じて全世界に配信され日々の天気予報に利用されます。
ドップラ−レーダー(上)と
放球コンテナ(下)

SOAR
SOAR (Shipboard Oceanic and Atmospheric Radiation) システムは船舶搭載型の放射エネルギー収支の観測システムであり、太陽放射、熱赤外放射、多波長の散乱光を測定する放射計群に各種気象観測機器パッケージを併設し、データ処理を一元化することで連続的かつ正確な放射収支観測を行うことができます。
SOAR


衛星受信室
静止気象衛星(GMS,GOES, METEOSAT)データ受信装置を備え、雲画像データを受信・表示します。本船の運航管理や観測計画に利用します。
極軌道衛星(NOAA, SEASTAR, ADEOS)データ受信装置を備え、衛星で観測した放射、大気鉛直断面の風向・風速・温度・水蒸気、海表面温度分布、植物プランクトン量などのデータを受信し、本船での海洋観測データの解析に利用します。
衛星受信室


大気ガス観測室
温室効果を持つ微量ガス(二酸化炭素、メタンなど)、降水効率や地球の熱の反射率に影響を与える微量ガス(硫化ジメチルなど)、酸性雨の元凶となる大気中微粒子など、大気中の様々な物質の検出や濃度測定を行います。船首部の大気ガス採取装置より大気を採取し、航行中に連続計測を行います。以下を装備しています。
・イオンクロマトグラフ(エアロゾル中の陽イオン及び陰イオンの測定)、ガスクロマトグラフ(フロンガスやメタンガスなどの濃度測定)、ガスクロマトグラフ質量分析計(硫化ジメチル、ハロカーボン等の濃度測定)
大気ガス観測室

気象観測室
海上気象・海象の基礎資料として、船上の各所に配置したセンサーにより気温、湿度、気圧、風向・風速、雨量、日射量、放射量、アルベド、表層海水温度を連続観測します。また、船首及び船尾に装備したマイクロ波式波高計により合成波高及び周期を連続計測します。
気象観測室