海洋・極限環境生物圏領域

研究計画

中期目標

海洋・極限環境生物圏研究

深海底等に生息する生物群の生態系はまだ未解明であり、それらを明らかにすることは、過去の地球システムの変遷を明らかにする上で重要である。また、深海底等に生息する微生物の遺伝子資源は、今後、医薬品、新素材開発等、様々な産業への応用が期待されている。
これらの海洋生物資源の活用により、社会経済の発展に貢献するとともに、過去の地球システムの変遷を明らかにするため、特殊・固有な機能を有する生物を、海洋中・深層、深海底、海底地殻内等の様々な環境下で探索し、その生態、機能、地球環境との相互作用の解明等に関する研究を実施するとともに、生物の機能の応用についての研究開発を行う。

 

 

中期計画

海洋・極限環境生物圏研究

海洋を中心とする生物圏について、生物の調査および生態・機能等の研究を行うとともに、資源としての多様な生物における潜在的有用性を掘り起こし、社会と経済の発展に資する知見、情報を提供する。また、これらの生物圏の大気・海洋や固体地球との相互関係を理解することで、将来発生し得る地球環境変動の影響評価に貢献する。
このため、本中期目標期間中に以下の研究を実施する。

(イ)海洋生物多様性研究
海洋を中心とする生物圏を構成する生物の多様性について、海溝、海山、閉鎖水域、中・深層域、海洋表層部等において、生物の多様性を生み出すメカニズム、現在の生物分布や量を規定する要因を明らかにするため、海洋生物に特異な進化過程や生態系の多様な機能に関する研究を行う。具体的には、

  • 共生など生物間相互作用を解析する。また、共生現象の成り立ちや、生物進化における共生機構の役割・関連性についての検証を行う。
  • 生物と地球環境変動との相互関係や、生物の分布を規定するメカニズムを明らかにするために、系統、分布環境や生物量、食物連鎖、生理機能等に関する調査・解析を行う。また、生物が海洋物質循環に果たす役割を評価する。
  • 上記研究の実施に必要な観測・実験・分析・解析等の手法を検討、構築し、検証する。

(ロ)深海・地殻内生物圏研究
地球−生命システムの存続に重要な役割を果たしている深海底・地殻内等の極限環境生物圏について、極限環境生物が地球や生物の進化に果たしてきた影響、生息環境変動と生物活動の相互関係についての解明を行う。また極限環境生物および生物圏の研究を通じてその潜在的有用性を掘り起こし、積極的に産業への応用を行う。具体的には、

  • 極限環境生物圏における生物の探索・調査を行う。また、微生物生態系の構造や機能の特異性を調べ、環境と生態系を構成する微生物の相互関係の解明を行うため、環境再現実験や現場での生理・機能解析等を行う。
  • 集団遺伝学解析、網羅的分子解析、適応・機能のシミュレーション解析を行う。これにより、環境−微生物−生物間共生システムの相互作用メカニズムの基盤を解明する。
  • 深海調査システムや地球深部探査船「ちきゅう」等により、新たな極限環境生物圏の探索を行う。また、極限環境生物と生息環境との相互作用をより現場環境に近い条件で高精度に再現できる手法の検討・試験を行い、潜在的有用生物・遺伝子資源の確保や開発等、先端的な成果の活用に貢献する。
  • 潜在的有用生物・遺伝子資源の確保や開発の基盤となる難培養微生物の培養法を検討するとともに、極限環境再現条件での物理・化学素過程および生物生理機能に関する研究を実施し、これら生物・遺伝子資源の利用を促進させる。

(ハ)海洋環境・生物圏変遷過程研究
地球内部・大気・海洋の変動と生息環境の変遷等との関連について、地球−生物−環境の相互作用に着目し、古環境の検討・復元を行う。これにより、海洋環境と生物圏の形成・変遷過程を解明するとともに、現在および将来発生し得る地球環境変動の影響評価に資する。具体的には、

  • 堆積岩などに残された地質学的な記録から、生物およびそれらが生息した環境に関する変遷過程等を明らかにする。
  • 海洋環境・生物圏の変遷過程を明らかにするため、地球上の生命活動の基礎となる光合成と化学合成に基づいた物質循環と生態系の相互関係を明らかにする。
  • 上記研究の実施に必要な観測・実験・分析・解析等の手法を検討、構築し、検証する。