
●第3回海洋・極限環境生物圏領域セミナー
開催日時:2013年5月30日(木) 13:30〜14:30
開催場所:横須賀本部別館3階 XBRセミナー室
Abstract:
近年、イギリスはいくつかの熱水活動域を世界初発見またはサンプリングし世界の注目を浴びました。その中でも私が関わっている南西インド洋海嶺および東スコチア海嶺の熱水生態系についてお話したいと思います。イギリス主導のChEsSO Consortiumは2009年南極海・東スコチア海嶺にて二つの熱水活動域を発見し、その後三年にわたり毎年ROV Isisによる観測やサンプル採取を行いました。そして2011年、中国が発見した南西インド洋海嶺初の熱水域であるドラゴンフィールドでイギリスは先んじてROV Kiel 6000 でサンプル採取を行いました。インド洋で中央インド海嶺以外の熱水域が調査されたのはこれが初めてでした。ドラゴンフィールドの生物で最も興味深いのが中央インド海嶺を象徴するスケーリーフットと東スコチア海嶺を象徴するKiwa の共存です。
ドラゴンフィールドで発見された"ドラスケ"に加えて、今まで知られていたかいれいフィールドの"黒スケ"とソリティアフィールドの"白スケ"、計三つのスケーリーフット集団が現在知られていますが、今回はそれらの形態および遺伝的な関係について研究成果を発表させていただきます。また、南極、ドラゴンフィールド両方においてスケーリーフットによく似た大型peltospirid巻貝が発見されました。これらには鱗が存在せず、代わりに大きな口蓋を持ちスケーリーフット同様食道に共生細菌を持ちます。
イギリスの熱水活動域調査には主に英国立海洋学センター(サウサンプトン)の大深度ROV Isis を使用しています。ROV Isis は6500mレートのROV (JASON IIのコピー機)で、Aフレームを含めた全システムを多数の船に移送、設置可能のため固定した母船は存在しま
せん。イギリスのROV運用は運用時間の長さとコミュニケーションを最も重視しており、その特徴についてもお話したいと思います。
※なお、講演言語は「日本語」です。
●第2回海洋・極限環境生物圏領域セミナー
開催日時:2013年5月9日(木) 15:00〜17:00
開催場所:横須賀本部別館3階 XBRセミナー室
概要:
環境クローン解析とは環境中の水や泥より直接DNAを抽出し系統推定のマーカーとなる遺伝子配列を増幅・解析することでその現場環境中に生息している微生物などの多様性を把握する手法である。現場環境より抽出したDNAを対象にするため、顕微鏡観察が困難な微生物の多様性を網羅的に推定出来る手法として期待されている。
真核微生物(原生生物)を対象とした研究では主に18S rRNA遺伝子が利用され、これまでに深海の化学合成生態系を含め様々な環境においてクローン解析は行われてきた。これらの研究によって原生生物の多様性の理解は未だ十分ではなく、特に深海の還元的水塊や底泥には未だ多くの未記載原生生物が存在していることが示唆されている。しかし、環境クローン解析もまた完璧な手法ではなく、その実験的手法や得られたデータを巡る解釈について様々な課題・問題点を孕んでいる。
本発表では、演者が最近新たに確立した原生生物培養株を用いた実験によってあらためて示された環境クローン解析に関する課題・問題点、特に"配列のみで生物の存在・性質を判断することの是非"について議論する。
概要:
海底下は地球最大のメタン貯蔵庫で、その埋蔵量は数万Gtにも上るとされている。海底下のメタンは、生成・消費いずれの観点からしても、微生物活動と切り離すことのできない密接な関係にある。
メタン生成/酸化という相反する代謝反応が起こる深度は、間隙水中の硫酸塩の有無で規定されており、硫酸塩メタン境界(SMIもしくはSMT)で嫌気的メタン酸化(AOM)が起こり、SMIより下層において古細菌によるメタン生成反応が卓越する。AOMは、単一の微生物に行われる反応ではなく二種類の微生物による複合的な反応であり、嫌気的メタン酸化古細菌(ANME)がメタン酸化を担い、それに共役する形で硫酸還元菌が硫酸還元を行っていると考えられている。AOMは海底下から供給されるメタンの8割以上を消費すると見積もられており、全球上のメタン循環でのキープロセスである。これまでに世界各地の様々な環境で生物地球化学的調査が実施され、温度、pH、塩分などの異なる幅広い環境条件下での生息分布が確認されてきた。
本セミナーでは、嫌気的メタン酸化を対象とした研究の現状と課題に加え、演者らが取り組んできた日本周辺の海底熱水、冷湧水系での成果と展望について紹介したい。
●第1回海洋・極限環境生物圏領域セミナー
開催日時:2013年4月18日(木) 14:00〜17:00
開催場所:横須賀本部別館3階 XBRセミナー室
詳しくは、こちら。
●第14回海洋・極限環境生物圏領域セミナー(研究生博士号取得記念)
開催日時:2013年3月21日(木) 15:00〜17:00
開催場所:横須賀本部別館3階 XBRセミナー室
詳しくは、こちら。
●第13回海洋・極限環境生物圏領域セミナー
開催日時:2013年1月15日(火) 15:00〜16:00
開催場所:横須賀本部 別館1階 セミナー室
ホスト:高野 淑識(海洋環境・生物圏変遷過程研究プログラム)
講演者:永井健治1、2)
大阪大学 産業科学研究所1)、JST さきがけ2)
タイトル:遺伝子にコードされた分子スパイによる生命現象の解明に向けて
Abstract:
我々は、生体分子、細胞レベルの生命現象を研究対象として、遺伝子工学技術に基づく生体分子可視化技術を駆使して、個体の発生や刺激受容と応答に関わる分子間・細胞間相互作用を明らかにすることを大きな研究テーマに掲げている。個々の分子、個々の細胞のふるまいを生きた状態で可視化するのみならず、FRET(フェルスター共鳴エネルギー移動)などを利用した斥候分子を細胞内や組織内のあらゆる部位に放つことによって、細胞内シグナル伝達を可視化し、さらには操作する。このようなアプローチは、今後の生命科学研究の大きな流れとなるはずである。本セミナーでは細胞内の生体分子動態を定性的・定量的に可視化解析するための蛍光プローブと多色の励起・蛍光波長の観察を可能にする大口径白色光源リアルタイム共焦点顕微鏡、光遺伝学的ツールとの併用を可能にする超高性能化学発光プローブなどの紹介を通じて、現在の技術に潜む問題点と今後の展望について議論したい。
(参考文献)
1. Saito K, et al. A luminescent protein for high-speed single-cell and whole-body imaging. Nature Communications, in press
2. Zhao Y, et al. An expanded palette of genetically encoded Ca2+ indicators. Science, 333, 1888-1891, 2011.
3. Horikawa K, et al. Spontaneous network activity visualized by ultra-sensitive Ca2+ indicators, yellow cameloen-Nano. Nature Methods 7, 729-732, 2010
4. Tomosugi W, et al. An ultramarine fluorescent protein with increased photostability and pH insensitivity. Nature Methods 6, 351-353, 2009
5. Matsuda T, et al. Direct measurement of protein dynamics inside cells using a rationally designed photoconvertible protein. Nature Methods 5,339-345, 2008
6. Nagai T, et al. Expanded dynamic range of fluorescent indicators for Ca2+ by circularly permuted yellow fluorescent proteins. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101,10554-10559, 2004
7. Nagai T, et al. A variant of yellow fluorescent protein with fast and efficient maturation for cell-biological applications. Nature Biotechnol. 20,87-90, 2002
8. Nagai T, et al. Circularly permuted green fluorescent protein engineered to sense Ca2+. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98,3197-3202, 2001.
代表:新学術領域「バイオナノフォトニクスコンソーシアム」
少数性生物学ー個と多数の狭間が織りなす生命現象の探求
代表:JST さきがけ 「光の利用と物質材料・生命機能」
ナノサイズ高輝度バイオ光源の開発と生命機能計測への応用
詳しくは、こちら。
●第12回海洋・極限環境生物圏領域セミナー
開催日時:2013年1月11日(金) 16:00〜18:00
開催場所:横須賀本部別館3階 XBRセミナー室
ホスト:豊福高志(海洋環境・生物圏変遷過程研究プログラム)
講演者:Dewi Langlet、 E. Geslin、 E. Metzger and F. Jorissen(University of Angers、France)
タイトル:「無酸素環境に生きる底生有孔虫 ―沿岸における野外調査と、室内実験によるアプローチ―」/The effect of the anoxia on the benthic foraminifera in coastal seas
Abstract:
The present project is composed by two foraminiferal ecology studies to assess the effect of the anoxia on the benthic foraminiferal communities in the Adriatic sea (Piran, Slovenia) and in the Grevelingemeer (The Netherlands).
In the Adriatic sea 4 benthic chambers have been installed on the sea floor for different time period from 7 days to 10 months. Once that the chamber is closed the anoxia develops in the chamber resulting in a decrease in foraminiferal densities and diversity.
An other part of the present project is a laboratory study of the effect of hypoxia and anoxia on the survival rate of 3 benthic species. The results show that there is no major effect of up to 69 days of anoxia on the survival of the 3 studied species.
Finally the anaerobical metabolism of some foraminiferal species has been tested. Intracellular nitrates concentration have been estimated and denitrification mesurments made showing that some species which where aparently resistant to anoxia are not able to denitrify.