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海洋・極限環境生物圏領域

トピックス

深海底は穴だらけ:大型の深海生物の巣穴構造を世界ではじめて解明
海洋の大半を占める深海生態系の理解に貢献

独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏)海洋・極限環境生物圏領域の渡部裕美研究員と野牧秀隆研究員、独立行政法人港湾空港技術研究所(理事長 高橋重雄)沿岸環境研究領域の清家弘治客員研究員(日本学術振興会特別研究員)、国立大学法人横浜国立大学(学長 鈴木邦雄)のジェンキンズ ロバート日本学術振興会特別研究員、および国立大学法人東京大学(総長 濱田純一)の佐藤圭研究生の研究グループは、相模湾の水深1173m、1455mにおいて、無人探査機ハイパードルフィンを用いた深海底での巣穴の型どりに成功し、深海底に生息する大型生物の巣穴構造を世界で初めて観察することに成功しました。

ベントス(底生生物)が形成する巣穴は、地中に3次元的な空間を創出し、堆積物中の環境と海底生態系に多大な影響を及ぼしています。しかしながら、干潟などの浅い海域では巣穴についての研究がこれまで活発に行われてきた一方、海洋の大半を占める深海域の巣穴については、これまで注目されることはほとんどありませんでした。そこで、相模湾の2地点で樹脂を用いて巣穴の型どりをおこなった結果、深海底にも貝類やゴカイなどの大型無脊椎動物が形成した大きく複雑な巣穴が見られることを明らかにしました。シロウリガイコロニーの海底下にもキヌタレガイなどの巨大な巣穴が多数存在し、化学合成生物群集が、潜水船から見える海底面だけでなく海底下深くにも豊富に存在していることもわかりました。また、大型の巣穴から網の目のように小さな巣穴が伸びている様子も観察できました。これは深海においても、巣穴を取り巻く生物間の共生関係が存在することを示唆しています。今後、同様の調査を積み重ねることで、深海底下の生態系の理解と、巣穴や生物活動により引き起こされる海底の物質循環の研究が大幅に進むことが期待されます。

本研究は、2月1日付(GMT)のThe Royal Society(英国王立協会)の生物学専門誌Biology Letters電子版に掲載されました。

著者:
清家弘治(独立行政法人港湾空港技術研究所)、ジェンキンズ ロバート(国立大学法人横浜国立大学)、渡部裕美(独立行政法人海洋研究開発機構)、野牧秀隆(独立行政法人海洋研究開発機構)、佐藤圭(国立大学法人東京大学)
タイトル:
Novel use of burrow casting as a research tool in deep-sea ecology
(巣穴型どり:深海生態学の新たな研究手法)

プレス発表文は、独立行政法人港湾空港技術研究所のホームページにあります。