
「地球が生命に満ちあふれた希有な惑星」に成り得た本当の理由は未だよくわかっていません。その疑問は、人類が自然科学というものを認識して以来、人類史上最大の知的好奇心の対象であったと言えます。またその本当の理由を知ることができれば、20世紀後半から、我々現在に生きる人間にとっての大きな知的好奇心対象となりつつある「太陽系を含めた宇宙における生命の可能性や存在条件」を明らかにする重要な手がかりにもなるでしょう。
その理由の大きな鍵として、地球と生命は、40億年間を通じて相互依存のシステム(相互作用システム体)として発生し、機能・進化し続けてきたと言う考えがあります。この考えは感覚としては、歴史上古くから存在し、多くの人が共感できるものですが、実際サイエンスとして、その「地球―生命」相互作用システムを明らかにすることは、過去の地球はもちろんのこと、現在の地球でおいてですら極めて難しい科学命題です。我々、深海・地殻内生物圏研究プログラム(Extremobiosphere Research Program)は、この命題に対して真正面から挑みたいと思います。
深海・地殻内生物圏研究プログラムでは、これまで見過ごされる傾向にあった太陽光に依存しない地球深部に潜む「地球―生命」相互作用システムに注目します。それは、光り輝く地球表層の豊かな生態系に対して、「暗黒の生態系」と呼ぶことができるでしょう。この「暗黒の生態系」に対して、生物学の枠組みを超えた多面的な学術アプローチによる研究を展開し、その相互作用のメカニズムについて解明しようとしています。また、この「暗黒の生態系」には、我々がこれまでに知らなかったような微生物や生物、常識を覆すような化学反応や微生物・生物機能が隠されています。これらの微生物や生物、その機能を探索・開発し、有効利用に結び付けられるような研究も推進します。
深海・地殻内生物圏研究プログラム
プログラムディレクター
高井 研
2009年4月から深海・地殻内生物圏研究プログラムディレクターに就任。