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トピックス

ハワイ諸島東方沖における地殻構造調査の実施
~ 掘削可能な地殻-マントル境界の掘削候補点選定に向けて ~

2017年9月19日
国立研究開発法人海洋研究開発機構

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦、以下「JAMSTEC」という。)は、海底下の掘削によりマントルへの到達を目指す候補地点の選定に向けて、深海調査研究船「かいれい」によるハワイ諸島東方沖での地殻構造調査航海を9月16日(現地時間)にホノルル港を出港して、9月17日(現地時間)より実施しています。本調査は、国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program)(※1)における掘削提案に基づくものです。

1.航海日程(現地時間)

平成29年9月16日 アメリカ合衆国ハワイ州オアフ島ホノルル港出港
平成29年10月2日 アメリカ合衆国ハワイ州オアフ島ホノルル港入港
なお、気象条件や調査の進捗状況によって変更する場合があります。

2.背景・概要

1950年代に、地殻とマントルの境界であるモホロビチッチ不連続面(以下「モホ面」という。)を掘削し、最上部マントルまでの岩石を採取することを目的とした「モホールプロジェクト」と呼ばれる研究計画が提唱されました。しかし、当時は技術上の問題も多く、長い間モホ面を対象とした具体的な掘削計画の提案はなされていませんでした。その後、地球深部探査船「ちきゅう」の建造によりマントル掘削を目的とすることが示され、2012年に国際的な研究者グループからIODPへモホ面の掘削計画が提案されました。本提案は非常に高い評価を受け、早急に掘削候補地点の高精度地殻構造調査が必要であるとの意見が出されています。掘削候補点は地殻の年代、水深やモホ面温度等の諸条件から、コスタリカ沖、ハワイ沖、メキシコ沖の3ヶ所とされていますが、その中でもハワイ沖はモホ面の推定温度が最も低いため掘削への負担が小さく、港からの距離も近いために、現在までのところマントル掘削実施場所として最も有望視されています。

そこで本調査では、ハワイ諸島東方沖において、深海調査研究船「かいれい」に搭載するマルチチャンネル反射法地震探査システム(※2)を用いた地震学的な地殻構造調査を実施します(図1)。また、ハワイ大学と共同で米国調査船を用いて海底地震計を調査測線上に設置(図中の黄色丸印)し、大局的な地震波速度構造の把握を行います。それらの結果を用いて、ハワイ諸島から十分に離れた太平洋中央部における典型的な海洋性地殻(※3)からハワイ沖の掘削候補点までの構造イメージングを行い、地殻の厚さと構造、モホ面の地震波反射特性等の連続性を確認し、マントル掘削に適した地点を選定する予定です。

※1:国際深海科学掘削計画(IODP:International Ocean Discovery Program)
平成25年(2013年)10月から始動した多国間国際協力プロジェクト。日本が運航する地球深部探査船「ちきゅう」と、米国が運航する掘削船ジョイデス・レゾリューション号を主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船を加えた複数の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を推進する。平成15年(2003年)10月から平成25年まで実施された統合国際深海掘削計画(IODP:Integrated Ocean Drilling Program)の後継にあたるプロジェクト。

※2:マルチチャンネル反射法地震探査システム
エアガンから音波を発振し、地中を伝わった地震波が地下構造から反射してきた波を複数の受振器で捉えることにより地下構造を把握する探査システムのこと。

※3:典型的な海洋性地殻
海洋プレート生成時からほとんど変質していない海洋性地殻のこと。ハワイ諸島東方沖の西部と東部では、海底地形に顕著な違いが見られ、東部は典型的な海洋性地殻と考えられているが、掘削候補点の西部はハワイ諸島の発達に伴い海底地形の高まりが形成されたと考えられている。この高まりはモホ面への到達に必要な掘削距離を縮める可能性を秘める。一方、もし地殻が厚い場合には、掘削距離が長くなり候補点として適さない。

図1:調査予定測線(白線)