混相乱流データ公開ページ


平成24年度~26年度の間、科研費若手B-No.24760152 課題名「乱流混合が微小慣性液滴の蒸発過程に与える影響の解明」(研究代表者:大西 領)の支援を受けて、乱流中での慣性粒子の混合や衝突成長,凝縮成長の解明に取り組んでいます。
 その中で得られたデータの一部を、広く一般に公開します。 ここで公開するデータは大きく分けて2種類です:①流体データと②粒子データ。
 データを利用されたい方は”onishi.ryoアットマークjamstec.go.jp”までお問い合わせください。50MBまでのデータは「宅ファイル便サービス」にてお送りします。それよりも大きなデータに関しては、受け渡し方法等を含め、メールにて相談してください。


①流体データ

3次元領域分割対応MPIプログラムをスーパコンピュータ上で実行することによって3次元定常等方性乱流場の流速データを得ました。データサイズが大きいため、提供できるのはある時刻におけるスナップショットデータのみです。提供可能データの計算条件を表1に示します。表中の記号は次の通りです:Re=レイノルズ数、Reλ=テイラーマイクロスケール基準乱流レイノルズ数、S=スキューネスファクター(=<(du/dx)3>/<(du/dx)2>3/2)、F=フラットネスファクター(=<(du/dx)4>/<(du/dx)2>2)。

表1.流体の計算条件および主な統計量。(注意:統計量はスナップショットごとに多少異なります。)
流体RUN
格子点数 Re Reλ -S F データサイズ
FLOW-1 643 67 50 - 4.3 8.0 MB
FLOW-2 1283 143 82 0.50 4.8 64 MB
FLOW-3 2563 360 130 0.52 5.7 510 MB
FLOW-4 5123 908 210 0.54 6.3 4.0 GB
FLOW-5 10003 2220 330 0.57 7.6 31 GB
FLOW-6 20003 5590 530 0.59 9.0 240 GB

②粒子データ

3次元定常等方性乱流場中に粒子を投入し、粒子をラグラジアン的に追跡することによって粒子の速度および位置を計算しました。流体の積分時間の数倍程度経過すると、粒子の分布状態は統計的に定常な状態になります。その状態の粒子の速度および位置データのスナップショットデータを提供します。
なお、粒子が流体から受ける抗力はストークス抗力とし、粒子に働く重力は無視しました。

表2.粒子の計算条件
粒子RUN
粒子数 流体RUN(表1参照) データサイズ
PCL-1 323 FLOW-1 7.3 MB
PCL-2 643 FLOW-2 58 MB
PCL-3 1283 FLOW-3 440 MB
PCL-4 2563 FLOW-4 3.7 GB
PCL-5 5003 FLOW-5 28 GB
PCL-6 10003 FLOW-6 220 GB

提供可能なストークス数Stの一覧を表3に示します。なお、Stは流体のコルモゴロフ時間τηと粒子の緩和時間τpを使って、St=τpηと定義されます。

表3.提供可能なSt一覧。v=提供可能(2014/4時点)。
粒子RUN
St=0.1 0.2 0.4 0.6 1 1.4 2 4 8
PCL-1 v v v v v v v v v
PCL-2 v v v v v v v v v
PCL-3 v v v v v v v v v
PCL-4 v v v v v v v v v
PCL-5 v - v v v - v - v
PCL-6 v - v v v - v - -

データの可視化例:


図1:St=1粒子のクラスタリング


参考文献:

R. Onishi and J.C. Vassilicos, Collision Statistics of Inertial Particles in Two-Dimensional Homogeneous Isotropic Turbulence with an Inverse Cascade, J. Fluid Mech., Vol. 745, pp.279-299 (2014).

大西,高橋, 等方性乱流中における粒子間衝突に対する直接数値計算, 微粒化, (2014)印刷中.

R. Onishi, K. Takahashi and J.C. Vassilicos, An Efficient Parallel Simulation of Interacting Inertial Particles in Homogeneous Isotropic Turbulence, J. Comput. Phys., Vol. 242, pp.809-827 (2013).

R. Onishi, Y. Baba and K. Takahashi, Reduced-Communication Forcing of Stationary Homogeneous Turbulence, J. Comput. Phys., Vol. 230, pp.4088-4099 (2011).


データ利用例:

S. Laizet, J.C. Vassilicos and C. Cambon, Interscale energy transfer in decaying turbulence and vorticity-strain-rate dynamics in grid-generated turbulence, Fluid Dyn. Res., Vol. 45, 061408 (2013).

K. Matsuda, R. Onishi, R. Kurose and S. Komori, Turbulence Effect on Cloud Radiation, Phys. Rev. Lett., Vol. 108, 224502 (2012).

松田,大西,黒瀬,小森,”雲の放射特性に及ぼす乱流の影響”,第24回数値流体力学シンポジウム,慶応義塾大学日吉キャンパス,2010年12月22日.


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