地球発見 まだまだ知らない「ちきゅう」がある。

CDEX
Face:円滑な掘削に向け采配を振るう監督役 ツールプッシャー

限られた時間内で目的の成果を挙げるべく、掘削に関する周到な準備を積み重ねるのがツールプッシャーの役割だ。その「準備にベストを尽くし100 点満点をめざす」取り組みが、想定外の状況にも対応する力を生む。
(2011年2月 掲載)

取材協力
川崎 正行
ツールプッシャー

 地球深部探査船「ちきゅう」の掘削作業は、「ドリルフロア」と呼ばれる掘削エリアを中心に行われる。まさに「ちきゅう」の心臓部ともいえるエリアであり、掘削パイプをはじめとする掘削関連機器がずらりと並ぶ様子は壮観だ。上部には重い機材が吊り下がり、高所での作業も多い。危険を伴うため、一般公開の際にも掘削エリアへの立ち入りは禁止されており「ちきゅう」のなかでも人目に触れることが少ない場所でもある。
 そこできびきびと立ち働くのは、現場で鍛え上げられた屈強な肉体と判断力を併せ持つ、誇り高き掘削スタッフたちだ。掘削用のパイプを持ち上げたり下ろしたり、回転させたりと、ドリラーズハウス内で機械を操作し、実際の掘削を行うのがドリラー。それに対し、掘削スケジュールの管理や機材のメンテナンス、作業員の安全確保なども含め、掘削作業全般の監督を行うのがツールプッシャーである。
 通常は、ラフネックと呼ばれる作業員、掘削泥水を管理するデリックマン、ドリラーの補助をするアシスタントドリラー、ドリラー、ツールプッシャーの順でキャリアの階段を上っていくが、川崎正行さんはアシスタントドリラーを務めたあと陸上勤務となり、現在「ちきゅう」で使用されているコアリングツールの改良計画を担当。その後は日本マントル・クエスト社の設立当初からのツールプッシャーとして「ちきゅう」に乗船している。