地球発見 まだまだ知らない「ちきゅう」がある。

CDEX
Face:国際人としての責務と“やりがい”が「ちきゅう」にある

海底下7,000mの深部へと、人類未到のミッションに挑む「ちきゅう」。
ここでは、さまざまな国/地域から集う人々がともに熱い想いを抱いて仕事に取り組んでいる。
米国出身のシニア・テクニカル・サイエンティストであり、「ちきゅう」のEPM(Expedition Project Manager )として活躍するショーン・トシコもそのひとりだ。
(2014年3月掲載)

取材協力
ショーン・トシコ
「ちきゅう」研究支援統括(EPM)
地球深部探査センター(CDEX)運用室
研究技術副主幹

すでに長い間、日本で暮らし仕事をしていますね?

 私は、国際交換留学生として米国から日本に来ました。その後、一度米国に戻り、再来日して日本の大学で修士号・博士号を取得したのです。JAMSTECで仕事をするようになって約7年になります。

JAMSTECの仕事にどのような魅力を感じていますか?

 「ちきゅう」での研究航海は、NASAと肩を並べるくらい魅力的なプロジェクトであると、私は思っています。国際的なプロジェクトという点でも傑出しています。私たちが進めているのは、まったく新しいテーマにフォーカスした壮大な科学プロジェクトなのです。「ちきゅう」は研究の場としても世界有数の存在であり、仕事はとてもエキサイティングです。

EPMとしての仕事について教えてください。

 私が務める「ちきゅう」のEPMは、研究航海の提案段階から始まり、計画のすべてのステージで中心的なメンバーとしての役割を担います。計画会議はもちろん、探査船の設計や機能の検討、機材調達を含めた後方支援など、すべての関係者と確実に情報共有します。また、共同主任研究員や国際組織などと連携して、プロジェクトに参画する科学者を選定し、必要な機器を調達します。
 そのほか、科学研究計画や論文の作成にも関わります。作業環境の確認に求められる全体像を提供することで、作業のスムーズな進行をサポートしています。
 EMPという任務で中心となるのは、すべての作業をとりまとめるためのコーディネーションです。私が携わる仕事の概ね80%は、研究航海に至るまでの準備作業に費やされます。

具体的にはどのようなサイクルで仕事を進めているのでしょうか?

 一昨年は2つのプロジェクトに関わりました。ライザーレス掘削の場合、掘削のために「ちきゅう」の船上で1年のうちのおよそ2ヵ月を過ごします。この掘削方式では、機器の装備など掘削の準備を整えるまでに海上で約30日の作業が必要となります。けれども、私にとって一番比重が大きいのは船が出航するまでの準備期間で、通常、約1年をかけて取り組みます。