ちきゅうレポート
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「きいてみよう!」2010年12月31日

こんにちは。波に揺られながら顕微鏡をみていたら、ちょっと・・・となっている里口です。「ちきゅう」はほとんど揺れない船なのですが、ここ数日は波が高くて結構揺れまくっています。揺れる船でみる顕微鏡は、その揺れと連動してピントがずれていく。あぁぁ、こんな体験初めてだ。おぇっ。あぁ言っちゃったよ。

さて、ちきゅう乗船中の話題も、研究の事を中心にというと、私の話では話題が持たないので、今回は一緒に研究をしている人達にいろいろ聞いてきました。同じ地球科学分野だけれどわからない事だらけです。私がみなさんにどれだけ正確に伝えられるのか疑わしいですが、簡単にふれてみます。

それぞれの人に「あなたはどういう事をしているのですか?」と尋ねたところ、熱っぽく語ってくれました。

「私たち(古地磁気グループ)は昔の地磁気の方向をはかっています。」だそうです。あれ?熱っぽくじゃなかったっけ?まぁいいや。もう少しいろいろと聞いてみましょう。

夜シフトの古地磁気グループ。川村さん(左)とBethさん(右)。陽気な研究者グループの中でもとくに陽気なのがBethさん(という私の勝手な印象)。結構早口だ。川村さんはいつもマイペースですね。

地磁気というのは、磁石のN極が北へ向くあれです。現在はN極が北を向いていますが、その向きは長い時間でみると一定ではありません。全く逆の方向、つまりS極が北を向いている時代もあるわけです。それも繰り返し変わっていきます。その変化する年代はこれまでの研究で詳しく調べられています。さぁ、何をしようとしているか分かったかな?昔の地磁気の方向は堆積物に保存されているので、その方向とこれまでの研究とを比較することで地層のできた時代を知ることができる、という訳です。
な〜るほど。簡単に言えば、時代を知るために古地磁気をはかっているという事ですね。これで地層のできた時代が分かるって訳だ。

次は、と...あぁあそこで忙しそうにしている人がいますね。ちょっとじゃまして構造グループの人に聞いてみましょう。

「私は得られたボーリングコアの構造を見ています。」もうちょっと砕いて言うと?「地層の変形している状態などの事です。断層とかそのほかいろいろ」なるほどね。今までにおもしろかった事を聞いてみたところ、今回の成果にかかわるので、もう少し精査しなければならないそうですが、陸上でみられる地層と同じような変形などがみられたのは興味深いと言っていました。変形といってもいろんなものがあります。地層を切る断層もそうですが、水が抜けるときにできる変形や、地層がめちゃくちゃに壊れてへんな方向に向いてしまうとか、生物によって乱されたものなんかも見られるようです。それからCTスキャンで得られる画像も駆使して変形を確認するそうです。CTというと医療用のものを思い浮かべますが、それと同じものを使うことで試料を崩さないで変形の状態が見られる。これは海底を掘る船では「ちきゅう」にしかないらしい。すごいっ!やるやんっ「ちきゅう」!


夜シフトの構造グループの山口さん。といってもシフトでは一人になってしまう。いつもあっちこっち動き回って忙しい印象です。CT画像をみているときはなんだか楽しそう。そういえば、昼シフトの構造グループ員(って一人だけど)も夜シフトでよく見かけます。

物性(物理的性質)グループの人にも聞いてみましょう。「Hi, how are you?」と話しかけて、どんな事をしているのか聞いてみました。物性グループはいろんな事をやっていて、それぞれに担当があります。Hughさんは地層の物理的な強度を測っているようです。別の言い方をすると、地層がどれくらいの力に耐えられるかというような事をはかっているといえばいいのかな。

夜シフトの物性グループ。Hughさん(左)、Gwangsooさん(中央)、松林さん(右)。一口にグループといっても様々な事をやっているのです。Hughさんは笑顔がすてきです。Gwangsooさんはおしゃれな感じです。松林さんはマイペースですね。

Gwangsooさんは主に堆積物の水の量や堆積物の重量を量っています。そうすることで、堆積物の粒のつまり具合がわかります。このことは地下での地震波の伝わり方などを知ることにもつながっている、ようです。本当に熱っぽく語ってくれたのですが、私の理解がこのあたりまでです。申し訳ない。
ちょっと離れたところで熱を測っている人がいますよ。ちょっと尋ねてみましょう。松林さんが言うには、地球の内部は暖かく(高温)、その温度がどう伝わってくるか?という深さと温度の関係が場所によって違うのだそうです。その違いを調べることで地下で何が起こっているかを調べたり、そういう熱が地下にある地層や岩石にどんな影響を与えているのかを知るデータになるとのことです。う〜ん深い。熱をやっているだけあって熱っぽく語ってくれました。

とてもじゃないけれど、全部を紹介しきれない(私の頭がついていかない)ので、今回はこのあたりで、続きは次回(の予定)に。

里口 保文(琵琶湖博物館

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