地球深部掘削船「ちきゅう」のライザー掘削機能をフル活用し、初めて和歌山沖の南海トラフの付加体において科学掘削として前人未踏の掘削深度に挑む歴史的な時期に、二代目の地球深部探査センター長として就任することになりました。その名前にもありますが、地球という言葉は、すこし昔であれば研究者をはじめとする特別な人が使う言葉でしたが、今や家庭や学校、さらにインターネットで日常的に目にするようになっています。地球に関する関心が広がっていることを感じます。
なかでも、産業革命以降の化石燃料を起源とする二酸化炭素による温暖化やそれに伴う地球規模での環境変動、海の生物にとって将来深刻な危機を招きかねない海水の酸性化問題、さらに海底下深部を震源とする巨大海溝型地震や大津波といった自然災害のリスクは、人類の生存を脅かす大きな問題ともなっています。また、熾烈な資源獲得競争のなかにあって、無尽蔵とも言える海底鉱物資源やメタンハイドレートに関する研究は未来への大きな夢ともなろうとしています。その一方で、地殻を貫き海底下地球深部のマントルを手にするといった、未知のものへのあくなき探究心は人としての存在の証(あかし)そのものでもあります。
このようななかで、私たちは、日本ばかりでなく世界中から英知を結集し、深海掘削科学に関する新たな10年間の科学ビジョンを打ち出そうとしております。このビジョンを受け、地球深部探査船「ちきゅう」は地球を取り巻く研究の最前線で活躍できる喜びと責任を担うことにあいなります。私としましても、今後は、「ちきゅう」を運用する地球深部探査センターという船を導く船長として、皆さんのご期待に応えていく覚悟です。今後とも皆様のご協力とご理解の程よろしくお願い致します。
地球深部探査センター
センター長 東 垣
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地球深部探査船「ちきゅう」が目指すマントルへの到達をイメージし、空の濃い青から「ちきゅう」、海、堆積層、地殻、マントルの赤まで、色相を変化させて配置しました。また、地殻を少し傾斜させてプレートの沈み込み帯を表しています。 |