地球深部探査センター
ENGLISHサイトマップお問い合わせ先 IODP
ホーム ちきゅう 研究航海 About Us ご利用ガイド
ホームちきゅう > ちきゅうQ&A
ちきゅうQ&A
質問リスト
最新の回答
Q.17 「南海トラフ地震発生帯掘削計画」についてテレビで知りました。「ちきゅう」は科学史上初めて巨大地震の震源まで掘削し、そこを直接観測するということなのですが、逆にこの掘削による影響で、巨大地震を誘発してしまうようなことはないのでしょうか。
回答者photo
回答者:
倉本 真一
IODP推進室

掘削が巨大地震を引き起こすキッカケになるのではないかというご質問ですが、その背景には、地震のメカニズムの説明に2次元的な地下の断面でアスペリティーと呼ばれる地震の核になるような部分があり、そこで最初のスリップ(破壊)がおこる事によって巨大地震が引き起こされる、というモデルが最近良く説明されるようになった事にあると思います。

地震は断層運動として捉えられていますが、その断層運動のエネルギーは断層面で接した所での歪(ひずみ)の蓄積と考えられています。その歪(ひずみ)は断層面の摩擦強度に依存していて、特に地震の時にのみ動く場所を「アスペリティー」と呼んでいます。(アスペリティーを直訳すると「でっぱり」というような意味となります。)このアスペリティーでの摩擦強度が弱まる現象が起こったときに地震が発生します。

結論としては、掘削によって巨大地震が引きこされることはありません。掘削が仮にアスペリティーを掘削したとして、アスペリティー全体の破壊を進行させるような影響、特にアスペリティー内の圧力を上昇させ、破壊を引き起こす事(摩擦強度が小さくなる)とは、掘削は逆のセンス(圧力は下がる)ですし、何よりもスケールとしてはアスペリティーが数十キロオーダーあると考えられているのに対して、掘削孔は直径20センチメートル程度ですので、針でつつくよりも小さい穴をあける事と同じです。全く無視できると考えてよいかと思います。「ちきゅう」は、掘削前に様々な探査技術を使って、地下の状況を特定し、その上で掘削計画を立案し、様々な専門家の評価を受けて行っています


IODP南海掘削の計画概要

Q.16 海上でドリルを回せば抵抗で船がグルグルと回るのではないかと素朴な疑問を抱いておりますが、
どのようなテクニックが使われているのでしょうか?
回答者photo
回答者:
宮崎 英剛
技術開発室

御指摘の通り、ドリルパイプを回せば、ドリルパイプの先端に付けたビットが地球を掘るときの摩擦、あるいは、ドリルパイプが掘削井戸の壁をこする摩擦力などによる抵抗を受けます。この力が「ちきゅう」を反対に回そうとするトルク(回転する力)になります。これを消すためにどのようなテクニックが使われているのかとの御質問ですが、結論を申し上げますと、特別なテクニックは使われておりません。

「ちきゅう」に装備されているドリルパイプを回転させるための「トップドライブ」は、地球を掘る抵抗を上回るものとして、最大トルク約17.4 t-m の能力を有しています。これは世界最大級のものですが、ドリルパイプの回転により「ちきゅう」を回そうとする力はこのトルク以下になります。

一方、「ちきゅう」の掘削中は、風/波/潮流といった船を動かそう、回転させようという外力が働く中でも、ダイナミックポジショニングシステムという制御方式によって、「6基のスラスター」を動かしながら位置/方位を保持しています。これらの外力が船首から左右30度の範囲であれば、一斉に同じ方向から来ても位置保持ができる性能を持っています。このうちの風だけでも、船首から30度の方向から通常掘削時の条件である23m/秒の風がきた場合に作用する推進力は、約1,700 t-mです。これも「ちきゅう」を回転させるという力という点からは、先程のドリルパイプの回転によるものと同じ性格で、ドリルパイプによる回転力もこれに加わることになりますが、桁違いに小さいことが明らかです。

「ちきゅう」の一番前方にあるスラスターは、「ちきゅう」の中心から約80m 離れていますが、このパワー(推力)は約70トンあります。このスラスター1基だけでも真横にして全力を出せば、70x 80 = 5,600 t-m という回転力になります。これらの力が、外力の下でも、重量約6万トンの「ちきゅう」の位置を保持している訳です。

以上の通り、ドリルパイプを回すことによる回転力は、「ちきゅう」を動かそうとする自然の力、これに対抗して一定の位置を保とうとする「ちきゅう」の能力に比べれば遙かに小さく、これらの中で十分吸収されているということがお分かり頂けると思います。

このようにお話しすると、それではそのような小さい力で、本当に海底下 7,000m まで掘り進むことができるのか?という次の御質問が出そうですが、1秒間に2-3回転という回転機械としては比較的遅い速度ながら、何日もの間、1日24時間休むことなくコツコツと掘り続ける地道な働きと、ドリルパイプ先端のビットに隠された高度な技術力とにより、海底深くに達することができるのです。

Q.15 掘削にはかなりの時間がかかりそうですが、食料等はヘリ等で補給可能としても、燃料等は沖合までタンカー等に来てもらうのですか?
回答者photo
回答者:
田代 省三
運用管理室
「ちきゅう」の運航を陸上で支える運航管理グループの田代です。ご承知の通り、掘削、特にライザー掘削を行うときは最低3〜4ヶ月、長いと1年間以上、「ちきゅう」は同じ場所に留まる必要があります。そのため、人員の交替並びに燃料や食料の補給は、動けない「ちきゅう」に別途運び込む必要があります。

人員の交替:「ちきゅう」の船員と掘削オペレーターは4週間ごとに交代します。ただし、一度に全員が替わってしまうと引継ぎが出来ないことから、2週間ずつずらして交代する予定です。また、洋上で船から船に乗り移ることは危険なので、人員の交替にはヘリコプターを使う予定です。

物資の補給:燃料、食料等は、大型の作業船をサプライボートとして使う予定です。なお、帰りは掘削で得られたカッティングスと呼ばれる掘削屑を持ち帰ります。「ちきゅう」は常に自動船位保持装置(DPS)で定点保持をしていることから、このサプライボートが接舷すると計算が狂ってしまいます。そこで、サプライボートにもDPSが装備されていることが条件となります。「ちきゅう」とサプライボートが同時にDPSで位置保持を行い、その間に「ちきゅう」のクレーンで荷物の積み込み、カッティングスの荷揚げを行うのです。

Q.14 穴の底で、マントルが融解する可能性はないのでしょうか?ボーリングによって海底からマントルまで貫通穴を作れば、海底とマントルが均圧してしまうのではないでしょうか?マントルと海底では、かなりの圧力差があるはずで、かんらん岩が減圧によってマグマに変ったりしないのでしょうか?
回答者photo
回答者:
眞砂 英樹
科学計画室
ご質問の通り、「温度が一定」のまま「急激に圧力が下がる」と物質は断熱膨張して融解すると考えられます。これを減圧融解と言います。

しかしマントルを掘削する場合、掘削泥水で冷やしながら、徐々に掘っていくので、“温度一定”で“急に”圧力だけが下がるというわけではありません。つまり、減圧融解を引き起こす要因を満たしません。

よって、このような減圧による融解は起こらないと考えられます。

Q.13 船には「ちきゅう」のような名前以外に船番号みたいなものがついていると聞いたのですが、一般の人にも教えていただけるのであれば、「ちきゅう」の番号を教えていただけますか?
回答者photo
回答者:
磯崎 芳男
技術開発室
お問い合せの「ちきゅう」の「船舶番号」ですが、「136960」です。「船舶番号」は、各船舶を識別するための表示で、総トン数20トン以上の日本船舶に、その船舶の船籍港(一般の人の本籍地に相当します)を管轄する役所から出されることが法律で決められています。

「ちきゅう」は、日本籍の船なので、船籍港である神奈川県横須賀市を管轄する関東運輸局から出されています。

「船舶番号」は管轄する役所(「ちきゅう」の場合は関東運輸局)に登録されており、一般の方でも閲覧することができます。

 

Q.12 マントルってどろどろに溶けたマグマじゃないの?
回答者photo

回答者:
阿部 なつ江
地球内部変動研究センター/地球内部構造研究プログラム/ 研究員

※CDEXのスタッフではありませんが、マントル研究のスペシャリストとして特別出演してもらいました

写真(1)
写真(2)
IODPの航海に乗船してマントルを調査しています。
マントルは固体の岩石で,マグマ(液体)ではありません。地下600km位の深さまでのマントルは、写真(1)のような「かんらん石」を主な構成成分とする「かんらん岩」であると考えられています。

この「かんらん石」は、「ペリドット」と呼ばれる宝石として有名ですね。また地下600km程度よりも深い部分ではかんらん岩と同じ化学組成を持つ高圧で安定な岩石であると考えられます。

かんらん岩と玄武岩の化学組成や岩石学的性質を調べていくと、かんらん岩が一部分(5-25%くらいまで)とけて出来た液が,玄武岩マグマであることが,岩石学的研究から明らかになっています。

固体の状態でもマントルは地球内部を対流していると考えられていて、このことが、よく“マントル=マグマ”と誤解される所以かと思います。

では、なぜ固体であるマントルが流動するのでしょうか?

例えば氷河は固体の氷ですが,長い年月を掛けて変形しながらゆっくり流れていますよね?マントルもあのようにゆっくりと長い時間を掛けて地球内部を対流していると考えられています。中央海嶺の下では、このかんらん岩がより地下深くから対流によって上昇しています。

かんらん岩は、温度が上がるか,圧力が下がるか、またはこの両方の作用によって少しずつとけてマグマを作ります。液体であるマグマは、固体のかんらん岩よりも浮力が大きいので,かんらん岩の対流よりも早く地表(海底)に到達し、そこで冷やされて海洋地殻を作る岩石(玄武岩)になる、と考えられています。

地球内部の構造は大まかに分かっていますが、直接マントルまで行ってその物質を手にした人はいません。また同じマントルかんらん岩でも,温度や圧力の違いによって、また地球形成初期からの長い年月をかけて、化学組成が変化していると考えられます。更に詳しく地球内部を知るためには,実際に地球深部探査船「ちきゅう」を用いて海底を掘削し、今現在上部マントルを構成している岩石を採取して、研究する必要があるわけです。

 

> 過去の質問へ
現在のちきゅうちきゅうデータちきゅうの科学技術ちきゅう技術開発 | ちきゅうツアーちきゅうイメージ |
ちきゅうができるまでちきゅうQ&Aちきゅうニュース
このページの先頭へ
Copyright 2006 JAMSTEC. ALL RIGHTS RESEVED. JAMSTEC website CDEX