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IODP教育プログラム「ちきゅう」乗船スクール2010

参加者デイリーレポート(教育関係者コース)

2010年1月11日

石浜 佐栄子さん(神奈川県立生命の星・地球博物館)の一日

ヘリデッキで散歩
あっという間に、もう最終日、朝から下船の準備です。船に乗ってからずっと食べ過ぎ&運動不足の生活が続いていたので、朝ご飯の後に、ヘリデッキに出て散歩をしてみました。ヘリデッキは、乗組員が自由に船室外に出ることができる、唯一の場所です(夜間は禁止なので、昼間だけですが)。航海中は、ヘリデッキの周りをぐるぐるとウォーキングやジョギングをしている人が結構いるそうです。狭い範囲なのですぐに一周してしまうのですが、船内に一日閉じこもっていると、やはり外の空気を吸いながら体を動かせるのがとても気持ちよく、長い航海期間を船内で過ごす乗組員の方々の大変さを改めて思いました。
ちなみに20分ほどヘリデッキを歩いて、ほんの少し運動した気になりましたが、今日のお昼には食堂にソフトクリームマシーンが復活していて思わず食べてしまったので、カロリー消費の効果は期待できなさそうです・・・。

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復活したソフトクリームマシーンの前に行列

コア記載体験
昨日、放散虫や有孔虫を観察した下北半島沖のコアを、実際に肉眼や顕微鏡を使って観察し、記載を行いました。グループで協議しながら、岩相の境界を決め、構成粒子や構造を観察し、マンセル式カラーチャートを使って色も記載していきます。光の当たり具合や、コアの乾き具合などによって色や構造が違って見えることもあり、手際よく記載を進めるのは一筋縄ではいかないことが分かりました。肉眼で良く分からないところは、ヘラや楊枝やサンプリングして、実体顕微鏡で観察したり、スミアスライドを作って観察して記載を進めます。火山灰が少し混じった泥かな?と思ったところをスミアスライドで見てみたら、ほとんどが火山ガラスだったり、周囲と粒径が違って見えたところが実はそれほど違いがなかったりして、スライドがすぐに作れて観察できる環境が整っている大切さが良く分かりました。船上では一人だけで全ての記載をするわけにはいかないので、他人とうまく協議しながら作業を進める協調性も、研究者には必要だそうです。とても大変ですが、古環境などを想像しながら取れたてのコアを記載する作業は楽しそうです。

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カラーチャートと見比べながら、コアを記載

青木 秀則さん(茨城県立水戸第一高等学校)の一日

第3日 1月11日(月)

■8:02 講義2 コアが語る地球変動の歴史
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七山講師による海底地形の講義

世界の大河川(アマゾン川,ガンジス川など)によって形成された海底扇状地など,海底地形の興味深い内容を紹介。

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川村講師によるコア観察の説明

コアから得られたミクロの情報を,何万年という長い時間,地球模河という広い空間に展開していく研究を紹介。

■8:54 実習3 コア記載実習

まず倉本講師からコア観察の基本として,南海トラフで掘削した大深度コアの深度・年代・岩相観察のポイントの説明があった。
その後,Visual Core Description編(七山講師)とスミアスライド編(川村講師)の2つの内容で実習を行った。

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「ここが枕状溶岩」と倉本講師

1本のコアに,枕状溶岩・タービダイト・伊豆小笠原火山噴出物といった,様々な時代の異なる物質が連続しているのに感動した。

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    「Aso-4テフラ」を説明する七山講師
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    「スミアスライド」を説明する川村講師

A.U.さん(T高等学校・教諭)の一日

◎ 講義2 コアが語る地球の変動の歴史◎
深海掘削による海底扇状地の研究について教えていただきました。一昨日のサイエンスカフェの時、七山先生からアマゾン沖にある海底扇状地について伺っていたのですが、それよりもはるかに大きな海底扇状地があることを今日の講義の中で知りました。1つの地形が、“そこにある”という事は、地形の形成史が当然あるのであって、それを解明するのは、1つ1つの調査やサンプリングなどを地道にコツコツと行わなければいけないのだと感じました。講義1、サイエンスカフェ、講義2等で先生方がさり気なく用意して下さったスライドや資料の一枚一枚はそういった大変な研究成果の結果なんですよね。本当に内容の濃いスクールだと思いました。川村先生からは、コア演習の説明として、堆積物コアの記載の一般論?実践について説明して頂きました。説明を聞いている時、さり気なく入ってくるコメント(「もう砂とは呼ばせない!」など)が面白くて何度も笑ってしまいました。

◎ 実習3 各種コアの肉眼観察 実習4 鉱物の光学顕微鏡観察◎
今回の実習には、下北半島東方沖のコアを用いる事ができました。実習前に参考展示として見せて頂いた南海トラフのコアを拝見したときには、それだけで感動してしまいました。“参考展示”としてわざわざ用意して頂いたコアは、これぞ“コア”というか、コアサンプルから様々な事が分かる事を教えてくれるものでした。恐らく、このサンプルだけでもお話を伺っていたら、1日はかかるのではないでしょうか。
実習では、コアのスケッチからはじまり、色、構造などをシートに記載していきました。色を確認する時、つまようじの先端に少しだけサンプルを取るのですが、貴重なサンプルだけに手が震えてしまいました。また鉱物を観察するためにスミアスライドを作成しました。これは思っていたよりも簡単に作成できるので、今度身近な場所からサンプルを取ってきて、自分でも作成してみようと思います。
昨日の実習もそうでしたが、今回も時間が全然足らなかったです、とても午前中だけで行えるものとは思えないほどの実習内容でした。

五島 正光さん(巣鴨中学高校・教諭)

2005年に下北半島沖で掘削された2本のコア、C9001A-3H6AとC9002B-4H2Aのコアをつかって、コア記載を実習しました。
「ちきゅう」に乗るまでコアを見たことがないのに、いきなり記載するなんてできるのだろうかと不安でしたが、講師の方々の説明やアドバイスのおかげでコアの細かい所も見えるようになってきました。初めは、スケッチをするのだろうと思っていたのですが、そのコアの特徴や要点を適確につかんで記録することが目的だとわかりました。
コアの長さ、コアに見られる特徴(粒の大きさ、粒の大きさの変化、層理・葉理のような線状のものや、その乱れ、生痕、火山灰、コアの色など)を、その位置とともに記録しました。詳しく調べる必要のあるところについては、実体顕微鏡で観察したり、スミアスライドを作成して偏光顕微鏡で観察しました。
4人1組で討論しながら観察した結果、C9002B-4H2Aには約9万年前に阿蘇山が噴火したときの火山灰が含まれていること、タービダイトと思われる部分が3カ所ありました。もう一方の、C9001A-3H6Aには、約3万年前の支笏降下軽石が含まれていること、さらにその上下から火山ガラス(発泡)をスミアスライドで確認しました。また泥層中には生痕が認められました。
最後に2つの班に分かれての討論で、お互いのグループの着眼点の相違を確認しました。初めは不安でしたが、記載の大切さを学ぶことができ大変有意義でした。
なお、ついでに見せて頂いた南海トラフのコアで、堆積物の下にある玄武岩の枕上溶岩を示されたときには、感激のあまり背中がゾクっとしました。

T.S.さん(F高校・教諭)の一日

実際のコアを扱いながら、研究者がどのような所に注目しているのかを知ることができた。素人には決して見えない世界を見られる研究者は本当に素晴らしいと思った。
又、一本の泥の柱でしかないものの中に、数百万年にも渡る地球の歴史を読み解くなどということは、僅か一年サイクルで生きている我々教員にとって非常に新鮮、且つ貴重な経験となった。
家の近くにある博物館に阿蘇の大火砕流のあとが保存展示されているが、それはそれは本当にすごいのである、恐ろしい規模の大噴火である。しかし下北半島沖という1500km以上も離れた所で掘ったコアの中に阿蘇の火山灰がこんなに厚く降り積もっている現実から当時の爆発のすごさを再認識させられた。
コアを読み解いている間に何気なく交わした研究者との会話の中にも為になることが数多くあった。せっかくこの研修に参加させてもらったので、いただいた数多くの資料を家で読み返し、又自分の体験したことを復習して、多くの生徒に伝えたいと思う。
理系離れが心配されているが、「ちきゅう」に集う研究者、エンジニア、支援者の熱意、理科教育を担っている先生方の真剣さを考えると日本の将来もまだ捨てたものではないと思った。

木 淳さん(千葉県立安房高等学校)の一日

今日のテーマは、「コアが語る地球の変動の歴史」。
まず七山太先生から、ご自身のジョイデス・レゾリューション号によるアマゾン海底扇状地研究についての、続いて川村喜一郎先生からコアの記載方法についての講義を受けた。
続いて実習。最初に、昨年10・11月の航海で熊野灘から採取したばかりのコアを拝見。倉本真一先生に解説をいただく。細長いコアから熊野の山の噴火や、伊豆・小笠原弧の北上が見えてくるのには感心した。
次に、実際に下北半島沖のアーカイブ・コアを用いて岩石記載の基礎を学んだ。殆ど泥からなる2本のコアが用意された。一方は支笏降下軽石Spfa−1を挟む寒冷期のもの、もう一方は阿蘇降下軽石Aso−4を挟む温暖期のものだった。肉眼観察だが、非常に微妙な色彩変化も読み取るのが大変だった。様々な角度からコアを読み取るには、熟練が必要だ。私には記載方法は慣れがなく難しかった。しかしタービダイトのあるなし、火山灰の挟在はわかりやすい。周辺の環境変化が分かるふたつの標本かと思ったが、温暖期のものは砂を挟み、寒冷期のものは砂を挟まず、頭がこんがらがってしまった。教科書通りにはいかないこともある、その都度実物を直視することが大事だということか。

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スミアスライドを用いた顕微鏡観察も行った。名前に反して作り方は非常に簡単だった。Spfa−1の下6cmのところにある白っぽい砂のようなものを調べたところ、火山ガラスがたくさん見え、火山灰であることが確認できた。それにしてももっと時間が欲しかった。顕微鏡が少なく十分観察できなかったし、電子顕微鏡を用いた観察は全くできなかった。化石に一日使ったように、これにも一日欲しかった。

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昼食の後、ヘリデッキで記念撮影。帰って個人レポートをまとめる。そしてグループレポートをまとめ、発表し、閉校式。頂いた熊野海盆の約600万年前の泥岩(水深約2000m、海底下約1000m〜1500mから回収。)は、館山の西岬層に相当すると考えられる。私達の大地が驚異的に隆起していることを実感できる素晴らしい教材をいただいた。

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3日間を通し、駆け足で貴重な体験をさせていただいた。大昔海の底にあった陸上の地層ではなく、採れたての海の底の堆積物を見ることができてうれしい。
レポートは、正直時間がかかって睡眠時間を削ることになり、きつかった。しかしやらせっぱなしは良くない。この形態は必要であると思う。久しぶりに生徒の気分を味わった。出来の悪い生徒で、かなり消化不良を起こしている。帰ったら復習し、知識の定着を図ろう。早速明日から受け持ちの4クラスの生徒に体験を簡単に披露したい。授業内容としてどこで今回の成果を活用できるかを検討し、今後生徒への還元をしていきたい。

森下 清敬さん(森村学園初等部)の一日

最終日である。午前は、ラボにて1.5mのコアを観察し、VCD(コアの記載)の基礎を学ぶ。
今日のコアは、下北半島沖のコアである。ここから2つの大きなイベントが発見できた。一つは、遠く1500km以上離れた阿蘇山からの火山灰、もう一つは、支笏湖の噴火による火山灰である。黄褐色の砂の層からは、火山灰のはっきりした薄いガラス質がたくさん見られ、阿蘇のカルデラをつくる力がすさまじい大きさであったことが想像できた。また、灰オリーブ色の軽石の粒が7〜8cmの厚さになった場所では、支笏湖での噴火活動が激しかったことを想像させる。
更にくわしく見ていくために、部分的にスミアスライド観察を行い、堆積物の名称を探った。作業は難しくないが、推量ということになると難解で見ているだけであった。ただ、偏光顕微鏡によって、石英がきれいに写し出されるようすがとても印象的で分かりやすかった。
最終日は、4人のグループで討論し観察結果をまとめた。メンバーの皆さんのおかげで今日の実習が無事終えられました。ありがとうございました。

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米田 大さん(多摩大学付属聖ヶ丘中学校・高等学校)の一日

楽しい時間は早く過ぎてしまうもので、本日で「ちきゅう」での研修も最終日となりました。研修の内容も最終日に相応しくコア記載実習です。大学時代農学を専攻しており、「ちきゅう」に乗船して初めてコアを観察した私には、何に注目して良いかも分からない状態で記載作業に望みました。しかし、班のメンバーと協力し意見を交換し、無事作業を終えることができました。その後、もう一つの班の前で自分たちの観察したコアについて発表となりました。いきなり班長に、代表として発表するように言われた時には動揺しましたが、他のメンバーにフォローされつつ何とかこなせたと思います。ほんの数時間前は何も分かりませんでしたが、今はポイントが少し分かったように思うので、改めて観察したらより理解が深まると手ごたえを感じました。今回の研修で講師を務めて下さった先生方は、大学院生の時により濃密な経験をされたと伺い、私の教えている生徒にも同様の経験をさせたいです。
他には、川村先生のお話の中で、想像力が大切であるとしきり話されていたのが強く印象に残りました。地球科学関連の本を読むと、良く地質分野では数万年程度では短いなどという記述に出会います。実際に、貴重なサンプルを扱わせて頂きましたが、数ミリの堆積物に地球の数万年以上の歴史が詰まっているとは正直想像できませんでした。科学者に必要な、柔軟な発想力を持てるような生徒を育てたいと思います。
今回の実習を通して考えたのが、最先端の研究と学校教育の関係についてです。最近、中高生の理科離れが新聞等を賑わいしていますが、それは現在の科学技術の進歩も原因の一因であると考えています。学校の授業と最先端の研究があまりにかけ離れすぎていて、生徒が自分の将来を想像し難しくなっているように感じています。ですが、今回「ちきゅう」で体験したような掘削コアを使用した微化石の分類などを行うのは困難ですが、同様の実感は学校の周辺で取れるサンプルを用いてもできることが分かったので、今後の授業に取り入れていきたいと思います。マスコミ等の報道の仕方の問題もあるとは思いますが、ノーベル賞のような派手な研究成果にばかりが注目されるが、その裏には地味な基礎研究の積み重ねが必要であると再確認しました。これからの教員人生を生徒と先端研究の橋渡しをする存在として、世界の第一線で活躍するような研究者を育成に捧げるつもりです。

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