┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ CHIKYU MAIL NEWS 23号 2006/5/8   CHIKYU MAIL NEWSは、地球の謎に挑戦する   「ちきゅう」の最新情報、イベント告知、科学と   技術に関する記事を皆様にお届けしています。 CHIKYU HAKKEN WEB SITE http://www.jamstec.go.jp/chikyu/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ■ IODP最新ニュース ■ ◆海洋地殻から斑糲岩採取 日本などの科学者チーム コスタリカ西方約800キロの海で、国際科学者チームが 初めて無傷の海洋地殻から斑糲(はんれい)岩として知られる 黒い岩石を採取した。8人の日本の研究科学者を含む この科学チームは、統合国際深海掘削計画(IODP)の支援を受けて、 地殻を形成する火山岩を掘削して海底下1・4キロにある 層状深成岩体(マグマ溜まりの化石)に達した。 調査隊の共同首席科学者である新潟大学の宮下純夫教授は 「発見された斑糲岩は、陸上のこうした古い岩石に基づいて 発展してきた理論が、現代の海洋地殻の形成について 本当にあてはまるのかどうかをテストするための重要な標本を提供する」 と説明している。同教授は、この調査隊の業績が「新しい海洋地殻は どのように形成されたか」という長年の疑問に対する答えを 助けることになるだろうと述べている。 海洋地殻の形成はプレートテクトニクス(プレート構造論)の周期の カギとなるプロセスで、これが地球の表面をつねに「舗装し直し」、 山をつくり、地震と火山活動を起こす。1950年代に始まった かつての科学的掘削計画「プロジェクト・モホール」は 地球のマントルまで海洋地殻を掘削することを目的としていた。 このプロジェクトは日本の新しい地球「ちきゅう」に インスピレーションを与え、「ちきゅう」は2007年後半に IODPの探査作業を開始する。 「超高速拡大地殻」調査隊の先遣隊の共同首席科学者である 静岡大学の海野進教授は、マグマ溜まりに達することが研究のために なぜ重要なのかを説明して「このボーリング孔で、表面下の 海洋地殻構築のプロセスを調べることができる。 深部から始まって噴出する海底までマグマを供給する配管システムを 見ることができる」と語っている。 海野教授とともに共同首席科学者であるミシガン大学の ジェフリー・アルト教授は「深部層状深成岩体の標本を得たことで、 その構成をその上にある溶岩と比較できる。厚さ6、7キロの 海洋地殻が1つの高水準のマグマ溜まりから形成されるのか、 一連の積み重なったマグマレンズから形成されるのかを 説明するうえでこれが助けになる」と説明している。 同教授は「溶岩レンズの大きさと形状は海洋地殻の構成と 熱構造だけでなく、地殻中の海水の熱水循環の激しさにも影響する」 と強調する。同教授は、このようなシステムが目を見張るような 黒煙を噴き出す孔‐古代のエキゾチックな生活によくある銅鉱山や 深海のオアシスの現代版‐をつくり出すのだと語っている。 地球物理学の理論は長い間、海洋マグマ溜まりが固まって、 ビルの表面石や台所の調理台によく使われる斑糲岩と呼ばれる 粒子の粗い黒い岩石になると想定してきた。斑糲岩の標本は、 断層や地殻変動の動きで海底近くまで移動した海洋の ほかの部分でも採取されているが、斑糲岩が手の付けられていない 海底地殻から採取されたのは今回が初めてである。 カリフォルニア大学サンタバーバラ校の地球物理学者、 ダグ・ウィルソン氏は「東部太平洋でこのような深い穴を掘削するのは、 実際の岩石の直接の観察で、地震の伝わる速さや磁場など 遠隔地球物理学的測定法を調整できる貴重な機会だ」と語った。 同氏は掘削地点選定に不可欠な人物だった。 海洋地殻の磁性特性の研究で選定に貢献したのだ。 研究チームは、東部太平洋隆起が現在の地球では どの大洋中央海嶺より早い「超高速」(年間200ミリメーター以上)で 広がった際に形成された太平洋の1500万年前の地域を特定した。 ウィルソン氏によると、マグマ溜まりは最速の率で広がった際に 形成された地殻内で最も地表に近くにあるはずだという 一部テスト済みの地球物理学の観察を利用することを 調査チームは計画した。同氏はその理由を「その理論が正しければ、 斑糲岩に達するためにほかのところに比べ浅い孔を掘るだけで すむからだ」と述べた。ウィルソン氏と同僚はこの理論が 正しかったことを証明した。 3年間の研究と何回もの現地訪問のあと、マグマ溜まりに達した 掘削孔はいまでは深さ1500メートル以上である。海での掘削に 5カ月近くかかった。作業の完了までに強化鉄鋼と炭化タングステン 超硬合金のドリルの刃25個が使われた。固まったマグマ溜まりの すぐ上の岩石は下のマグマで熱せられていたために極めて硬く、 焼き戻された鉄鋼のようだった。 IODPの科学者たちは、海洋地殻内深くに隠された秘密を もっと発見できることを期待して、より深部を探るため掘り出された マグマ溜まりの場所に戻りたいと望んでいる。 IODPは国際海洋調査計画で、海底下環境の標本調査、監視によって 地球、深部生物圏、気候変動、地球プロセスに関する科学的理解を 深めることを目指している。IODPは、日本の文部科学省と 全米科学財団という2つの有力機関の支援に加え、欧州17カ国の コンソーシアムと中国の支援を受けている。 日米両国は調査チームのためにIODPに科学的掘削船を提供している。 日本が資金を提供している掘削作業は日本の海洋研究開発機構 (JAMSTEC)の地球深部探査センター(CDEX)が行っている。 IODP調査隊312に参加している研究者とその出身国のリスト、 調査の写真は http://iodp.tamu.edu/scienceops/expeditions/exp312.html 問い合わせ先 Yoshi Kawamura of CDEX, (+81) 45-778-5641, kawamuray@jmastec.go.jp; Nancy Light of IODP Management International, nlight@iodp.org; or Cheryl Dybas of U.S. National Science Foundation, cdybas@nsf.gov Web site: http://www.iodp.org http://iodp.tamu.edu/scienceops/expeditions/exp312.html ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ CHIKYU MAIL NEWS 登録中の方にお送りしています。 購読の登録・中止はこちらから http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/mailnews/ CHIKYU HAKKENウェブサイトは、独立行政法人 海洋研究開発機構 (JAMSTEC)が運用する 地球深部探査船「ちきゅう」とその科学と技術に 関する情報の発信基地です。 http://www.jamstec.go.jp/chikyu/ 発行元: 独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC) 地球深部探査センター(CDEX) COPYRIGHT 2006 JAMSTEC All Rights Reserved. ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛