┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ CHIKYU MAIL NEWS 58号 2007/08/27   CHIKYU MAIL NEWSは、地球の謎に挑戦する   「ちきゅう」やIODPの最新情報、イベント告知   科学と技術に関する記事を皆様にお届けします。 CHIKYU HAKKEN WEB SITE http://www.jamstec.go.jp/chikyu/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 【JAMSTECプレスリリース】 地球深部探査船「ちきゅう」による「南海トラフ地震発生帯 掘削計画」の開始について(2007年8月23日発表) http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20070823/index.html 1.概要 海洋研究開発機構(理事長:加藤康宏)所属の地球深部探査船 「ちきゅう」は、平成19年9月から統合国際深海掘削計画(IODP)*1 による最初の研究航海となる「南海トラフ地震発生帯掘削計画」を 紀伊半島沖熊野灘において開始します。 本年度の実施計画が決まりましたのでご報告します。 2.背景 南海トラフは、日本列島の東海沖から四国沖にかけて位置する プレート沈込み帯で、地球上で最も活発な巨大地震発生帯の一つです。 南海トラフの一部にあたる紀伊半島沖熊野灘は、東南海地震等の 巨大地震震源と想定される領域(プレート境界断層が地震性すべり面の 性質を持つ領域)の深さが世界のプレート境界のなかでも非常に浅く、 「ちきゅう」による掘削が可能な海底下6,000m程度であるという 特徴を有しています。 「南海トラフ地震発生帯掘削計画」では、プレート境界断層および 津波発生要因と考えられている巨大分岐断層を掘削し、地質試料 (コア・サンプル)の採取や掘削孔内計測を実施することにより、 プレート境界断層内における非地震性すべり面から地震性すべり面 への推移及び南海トラフにおける地震・津波発生過程を明らかに することを目的としています。 3.全体計画 本計画は、全体として以下の4段階(ステージ)に分けて掘削する計画で、 紀伊半島沖熊野灘において南海トラフに直交する6地点(その他に 予備地点を設定)を掘削する予定です。 ステージ1では、掘削孔内における各種物理データの取得、海底下 最大1,000m程度までの試料採取等を実施します。 その後、ステージ2(巨大分岐活断層へのライザー掘削:海底下約3,500m)、 ステージ3(プレート境界断層へのライザー掘削:海底下約6,000m)、 ステージ4(長期孔内計測装置の設置)の実施を予定しています。 本年度は、以下の3つの研究航海を実施します。 4.本年度実施計画 (1) 第1次研究航海(IODP Expedition 314) 事前調査として2地点でパイロットホールの掘削及び6地点で 掘削同時検層(LWD)*2を行い、掘削箇所の地層データ取得を実施 共同首席研究者: 木下正高(海洋研究開発機構 地球内部変動研究センター) H.Tobin(Wisconsin-Madison大学 米国) (2) 第2次研究航海(IODP Expedition 315) ステージ2で実施予定の巨大分岐断層へのライザー掘削に一部着手し、 その上部孔井設置作業及び海底下約1,000m程度までの試料採取を 行い、付加堆積物の調査を実施 共同首席研究者: 芦寿一郎(東京大学 海洋研究所) S.Lallemant(Cergy-Pontoise大学 フランス) (3) 第3次研究航海(IODP Expedition 316) 付加体前縁の海底下約1,000m程度までの試料採取を行い、 分岐断層と関連する流体状況や付加堆積物の調査を実施 共同首席研究者: 木村学(東京大学/海洋研究開発機構 地球内部変動研究センター) E.Screaton(Florida大学 米国) 各研究航海には、IODP参加国から各研究航海に約25名の 研究者が乗船参加する予定です。 5.今後の行動予定 「ちきゅう」は8月末に横浜港に入港し、各種改修工事、年次検査、 資機材積込み等を行った後、9月10日に横浜港を出港する予定です。 それ以後の予定は以下の通りです。 9月10日 横浜港出港 9月14日 新宮港入港 資機材積込み等 9月21日 新宮港出港 9月21日から11月16日 第1次研究航海(IODP Expedition 314) 11月17日から12月19日 第2次研究航海(IODP Expedition 315) 12月20日から平成20年2月5日 第3次研究航海(IODP Expedition 316) 2月5日 新宮港入港 (*上記の予定は海気象等の状況によって変更することもあります。) なお、本計画では、和歌山県新宮市の新宮港を補給船(サプライボート) による資機材輸送等の支援基地とし、三重県度会郡南伊勢町の 宿田曽漁港に整備した南伊勢町ヘリポートをヘリコプターによる 人員輸送の支援基地として、実施していきます。 (*1) 統合国際深海掘削計画(IODP:Integrated Ocean Drilling Program) 日・米が主導国となり、平成15年(2003年)10月から始動した多国間 国際協力プロジェクト。現在、欧、中、韓の21ヶ国が参加。 日本が建造・運航する地球深部探査船「ちきゅう」と、米国が運航する 掘削船を主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船を加えた 複数の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、 地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行う。 (*2) 掘削同時検層(LWD: Logging While Drilling) ドリルパイプの先端近くに各種の物理計測センサーを搭載し、 掘削作業と同時に現場での地層物性の計測を行う技術。 地質試料の採取はできないが、掘削箇所の地層状況を”現場”で 連続測定することにより、比較的短期間に地質情報を得ることができる。 これらにより、科学情報と共にその後の試料採取掘削等に有用な 掘削孔の安全監視及びリスク回避等の情報が得られるため、 南海トラフのような複雑な地質構造での掘削には非常に有効である。 今回、取得予定のデータは、地層密度、空隙率、音波速度、 自然ガンマ線、比抵抗、流体圧等。 <お問い合せ先> (「ちきゅう」運用計画について) 地球深部探査センター 企画調整室長 田中 武男 電話 045-778-5640 (報道について) 経営企画室 報道室長 大嶋 真司 電話 046-867-9193 ◇図や各掘削地点と掘削目標深度の表など、ウェブをご覧ください。 http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20070823/index.html ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ CHIKYU MAIL NEWS 登録中の方にお送りしています。 購読の登録・中止はこちらから http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/mailnews/ CHIKYU HAKKENウェブサイトは、 地球深部探査船「ちきゅう」とその科学と技術に 関する情報の発信基地です。 http://www.jamstec.go.jp/chikyu/ 統合国際深海掘削計画(IODP)は、複数の科学掘削船を 用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動の解明 地震発生メカニズムの解明、地殻内生命の探求等を 目的として研究を行う国際研究協力プロジェクトです。 http://www.iodp.org/ 海洋研究開発機構地球深部探査センターは、IODP 日本実施機関として「ちきゅう」を運用しています。 発行元: 独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC) 地球深部探査センター(CDEX) ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛