┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ CHIKYU MAIL NEWS 85号 2007/12/28   CHIKYU MAIL NEWSは、地球の謎に挑戦する   「ちきゅう」やIODPの最新情報、イベント情報   科学と技術に関する記事を皆様にお届けします。 CHIKYU HAKKEN WEB SITE http://www.jamstec.go.jp/chikyu/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ =================================================== 南海トラフ地震発生帯掘削計画ステージ1 IODP第316次研究航海ウィークリーレポート(第1週) 2007年12月27日 http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/Expedition/NantroSEIZE/exp316_wr1.html =================================================== 第315次研究航海に引き続き、12月19日より第316次研究航海を 開始しています。「ちきゅう」は、22時30分に最初の掘削サイト C0004に到着しました。 掘削サイトC0004は、巨大分岐断層が海底面まで伸びた地点から、 陸側の付加体斜面上に位置します。このサイトでの掘削の目的は、 海底斜面上の年代の若い堆積物と、その下にある古い斜面上堆積物、 そして隆起して変形している付加体物質のコアサンプルを採取する ことです。特に、最大の狙いは、三次元地震波探査の結果から 海底下約300mにあると推定されている巨大分岐断層帯を貫いて サンプルを採取し、さらにその下の海底下400mまでのサンプルを 採取することです。 12月20日午前5時35分、掘削孔Cでの掘削を開始しました。水圧式 ピストンコア採取システム(HPCS)で海底下89mまでのコアを採取し、 同時にコア採取システムに内蔵されたセンサーによる孔内温度の 計測を3回行いました。22時13分 からは伸縮式コア採取システム (ESCS)によるコアの採取を海底下127mまで行いました。 しかし、回収されたコアに掘削による擾乱が見られたため、再び 水圧式ピストンコア採取システムに変更しました。海底下135mに 達したところで、ピストンコアでは地中に十分貫入できない硬い 地層になったため、掘削孔Cでの掘削を終了し、掘削パイプを揚収、 編成を変更しました。 12月21日13時00分に、回転式掘削によるコア採取を掘削孔Dで 開始しました。既にコアを採取している深度については掘り飛ばし、 海底下100m地点からコア採取を開始しました。船上に回収された コアと圧力の計測値から判断すると、回転式掘削を行っている間に、 ドリルビットの周辺に掘りくずが詰まる現象が何度か発生していた ことが確認されたため、これらの掘りくずを取り除く作業を行いました。 また、サンプルの回収率を改善するために、掘削パイプの回転数や 孔内に送り込む水の流量を調整して、ドリルビット周辺の クリーニングを実施し、海底下238m以深では通常より短い コアバレルを用いました。12月25日午後23時34分、本掘削サイトの 目標深度であった海底下400mに到達し、地質年代が若い斜面 海盆の堆積物、その下に認められた地層の不整合を挟んで、 古い斜面堆積物、さらに付加体まで到達してコアを採取することに 成功しました。 水圧式ピストンコア採取システムと伸縮式コア採取システムでの コア回収率は素晴らしく、掘削孔Cでのコア回収率は海底下135m まで100-105 %でした。(コアは船上に回収された際に膨張し、 100%を超える長さを採取できることがあります。)また、掘削孔Dで 実施した回転式掘削でのコア回収率は、特に掘削が困難な付加体 浅部の破砕した岩石中では変動が大きく一定しませんでしたが、 船上の掘削エンジニアとの協力により、掘削孔Dの下部ではコア 回収率はかなり改善しました。その結果、海底下100-242mでの コア回収率は平均で30%以下でしたが、海底下242-400mでの 回収率は平均で約70%でした。付加体の物質は激しく変形、 破砕したものでした。付加体の底部では年代が二カ所で逆転しており、 これは逆断層を貫いたことを示しています。これら断層帯を 採取した貴重なコアは、より詳細な分析を行うために、通常の 半裁処理せずに分析方法を慎重に検討しています。 乗船研究者は、採取したコアを最大限に活用するため、幅広い 研究が可能になるようなサンプル採取を予定しています。 サンプル採取、肉眼による記載に加えて、採取したコア全てに対して、 間隙水、微生物、微化石、鉱物、堆積、構造地質、水理学、 土質工学的な研究のための様々な計測と物性、古地磁気、 固体と流体の両方を対象とした有機、および無機化学の分析を 行っています。 12月26日、「ちきゅう」は次の掘削サイトであるC0006地点に移動し、 無人探査機(ROV)が稼動できない水深3000m以深での作業に 備えて水中カメラのテストを開始しています。 =================================================== 「ちきゅうメールニュース」では、IODP南海掘削の実施中、 船上から届くウィークリーレポートを配信しています。 ◇最新の掘削状況を知るには? (IODP南海掘削特設ページへ) http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/CHIKYU/status.html ◇船上の様子を写真で見るには? (第316次研究航海フォトギャラリーへ) http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/Expedition/NantroSEIZE/exp316_pg.html ◇購読をみんなに勧める! (メールニュース登録ページへ) http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/mailnews/index.html ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ CHIKYU MAIL NEWS 登録中の方にお送りしています。 購読の登録・中止はこちらから http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/mailnews/ CHIKYU HAKKENウェブサイトは、 地球深部探査船「ちきゅう」とその科学と技術に 関する情報の発信基地です。 http://www.jamstec.go.jp/chikyu/ 統合国際深海掘削計画(IODP)は、複数の科学掘削船を 用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動の解明 地震発生メカニズムの解明、地殻内生命の探求等を 目的として研究を行う国際研究協力プロジェクトです。 http://www.iodp.org/ 海洋研究開発機構地球深部探査センターは、IODP 日本実施機関として「ちきゅう」を運用しています。 発行元: 独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC) 地球深部探査センター(CDEX) ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛