========================================CHIKYU MAIL NEWS====== ■「ちきゅうメールニュース」134号(2009年6月23日) 地球の謎に挑戦する地球深部探査船「ちきゅう」や IODP研究プロジェクトの最新情報、イベント情報など 科学と技術に関する記事を皆様にお届けします。 ============================================================== ------------------------------------------------- 【文部科学省プレスリリース】 統合国際深海掘削計画(IODP)における研究航海の開始について 〜ベーリング海における古海洋環境変動に関する掘削調査〜 (平成21年6月23日発表) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/06/1278365.htm ------------------------------------------------- 統合国際深海掘削計画(IODP)の一環として、「ベーリング海に おける古海洋環境変動に関する掘削調査」を実施するため、 米国が提供するジョイデス・レゾリューション号の研究航海を 7月5日から開始致します。 「ベーリング海における古海洋環境変動に関する掘削調査」は、 過去約500万年間の古海洋環境の変動の解明を目的としており、 我が国から、8名の研究者が乗船するほか、米国・欧州・中国・ 韓国等の研究者を含め、計28名の研究者が参加する予定です。 1.日程(現地時間) 平成21年7月5日 ビクトリア(カナダ)にて開始 (準備が整い次第、7月10日までに出港) ベーリング海にて掘削を実施 9月4日 横浜に入港(掘削航海終了) ※気象条件や調査の進捗状況等によって変更の場合あり。 2.我が国から参加する研究者 高橋孝三(九州大学大学院理学研究院 教授) ※本航海の共同首席研究者 朝日博史(東京大学海洋研究所 特任研究員) 池原 実(高知大学海洋コア総合研究センター 准教授) 井尻 暁(海洋研究開発機構 海洋・極限環境生物圏領域 ポストドクトラル研究員) 岡崎裕典(海洋研究開発機構 地球環境変動領域 研究員) 岡田 誠(茨城大学理学部 准教授) 小野寺 丈尚太郎(高知大学 海洋コア総合研究センター 研究員) 坂本 竜彦(海洋研究開発機構 海洋・極限環境生物圏領域 研究代表者) 3. 研究の概要 本航海では、ベーリング海における過去約500万年間の 詳細な古海洋環境変動を調べ、太平洋と北極海との 接続・分断の歴史(ベーリング海峡の開閉史)の解明を行い、 その歴史の中でのベーリング海の持つ役割を明らかにする ことを目的とします。特に以下の点が科学的に重要です。 第1に、今回の科学掘削は新生代の後期における北半球 氷河化の歴史の解明を目指した初めての本格的科学掘削と いう点で重要です。 過去500万年の間、特に270万年前頃、地球の気候は、 北半球にほとんど氷床のない温暖な状態から、4万年や 10万年の周期で氷河期が訪れる寒冷な状態へと移行した と考えられています。しかし、ベーリング海における 本格的な科学掘削が行われてこなかったため、北部 太平洋側における、このプロセスは科学史上、不明のまま でした。 第2に、数百年から数万年規模の長周期の大規模な気候 変動のメカニズム解明と言う点で重要です。過去数十万 年間にわたり、地球規模で、ミランコビッチサイクル(※注) や数百年周期から数千年周期の気候変動が起こっている ことが世界各地の氷床コアや海底堆積物コアから明らかに なっていますが、それを引き起こすメカニズムは不明の ままです。これらの長周期から短周期の気候変動メカニズム を説明する候補として、北極海と太平洋の間に存在する ベーリング海の役割があげられています。北太平洋の 縁辺域であるベーリング海は、太平洋の表層水を 北極海に運搬する役割があり、また、季節海氷形成に ともなって形成されるベーリング海の高密度水が 北太平洋中層水の起源水であると考えられていることから、 汎世界的な気候変動メカニズムを解明する上で重要です。 以上を明らかにするため、本航海では、1)ベーリング海 における約500万年前の鮮新世以降の気候変動と海洋表層 環境の復元、2)ベーリング海における北太平洋中層水 (深層水)の形成と影響の変動の解明、3)ベーリング海 周辺の大陸氷床・河川流量・海氷形成史(ベーリング海と 周辺の陸域との関連性)の解明、そして、4)気候変動に 鋭敏に反応する縁辺域での気候変動と、汎世界的な 気候変動との関連性の調査を行います。 (※注)ミランコビッチサイクル 地球の公転と自転に関連する軌道要素の周期的変化が 要因で、日射量が変動する周期のこと。周期は約2万年、 約4万年、約10万年の3つがある。 ------------------------------------------------- 【最新情報】 「ちきゅう」南海掘削の最新情報をお伝えしています http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/Expedition/NantroSEIZE/special.html ------------------------------------------------- 特設ウェブに掲載されているデイリーレポートでは、 最新の「ちきゅう」による掘削の様子をお伝えしています。 船上から届いた写真、映像などと合わせてご覧いただけます。 ◇南海掘削特設ページ 映像クリップを追加しました!(2009/06/18) http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/Expedition/NantroSEIZE/sp319_vg.html ========================================CHIKYU MAIL NEWS====== 「ちきゅうメールニュース」登録中の方にお送りしています。 購読の登録・中止はこちらから http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/mailnews/ 「地球発見」ウェブサイトは、地球深部探査船「ちきゅう」と その科学と技術に関する情報ポータルサイトです。 http://www.jamstec.go.jp/chikyu/ 統合国際深海掘削計画(IODP)は、複数の科学掘削船を用いて 深海底を掘削することにより、地球環境変動の解明、 地震発生メカニズムの解明、地殻内生命の探求等を目的として 研究を行う国際研究協力プロジェクトです。http://www.iodp.org/ 海洋研究開発機構地球深部探査センターは、IODP日本実施機関として 地球深部探査船「ちきゅう」を運用しています。 発行:JAMSTEC/CDEX 海洋研究開発機構 地球深部探査センター ==============================================================