========================================CHIKYU MAIL NEWS====== ■「ちきゅうメールニュース」137号(2009年7月30日) 地球の謎に挑戦する地球深部探査船「ちきゅう」や IODP研究プロジェクトの最新情報、イベント情報など 科学と技術に関する記事を皆様にお届けします。 ============================================================== ------------------------------------------------- 【JAMSTECプレスリリース】 統合国際深海掘削計画(IODP)地球深部探査船「ちきゅう」による 南海トラフ地震発生帯掘削計画(速報) 〜平成21年度第1次研究航海 ライザー掘削実施〜 (平成21年7月30日発表) http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20090730/ ------------------------------------------------- 1.概要 独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏)の 運用する地球深部探査船「ちきゅう」は、統合国際深海 掘削計画(IODP)による「南海トラフ地震発生帯掘削計画」 ステージ2として、巨大地震発生帯の直上を深部まで 掘削して地質構造や歪の状態を明らかにすることを目的とし、 紀伊半島沖熊野灘にて本年5月12日より本年度の第1次 研究航海を実施しており、8月1日終了見込みです。 2.平成21年度第1次研究航海実施内容 本航海では、厳しい海気象条件・地質条件の下、 2,000mを超える大水深のNT2-11地点(水深2,054m)において ライザー掘削に挑み、当初の計画通り海底下1,603.7mに達しました。 また、以下の調査を実施しました。 (1)海底下1,510mまで、ドリルパイプの先端近くに 搭載したセンサーによる掘削同時計測 (MWD: Measurement While Drilling)を実施し、 孔井傾斜・方位、孔内圧力、自然ガンマ線等のデータを リアルタイムで入手しました。 (2)海底下約700mからライザー掘削を開始し、 ライザー掘削システムの特徴である泥水循環により 掘り屑(カッティングス)を船上に回収し、深度方向の 岩相と年代の変化の全体像をつかむため、分析処理を 行いました。海底下1,510-1,593.9mの区間で、 柱状地質試料(コア)を採取しました。 (3)掘削後の孔内にはワイヤーで吊るしたセンサーを 直接降ろし、泥水の温度・電気抵抗、地層の電気抵抗・ 孔径・間隙率・密度・ガンマ線・間隙水の圧力や 流体の浸透率、地層の応力や強度等の測定を 実施しました(ワイヤーライン(WL)検層)。 (4)さらに、7月24日から25日にかけて、当機構所有の 深海調査研究船「かいれい」を移動させながら エアガンにより音波を発振し、掘削孔の中に降ろした 16台の地震計と海底に設置した8台の地震計を用いて、 孔内地震波探査(VSP: Vertical Seismic Profiling)および 孔井周辺の地震波探査を実施し、従来より高精度な プレート境界や付加体の地質構造に関するデータを 入手することに成功しました。 3.今後の予定 今回の掘削孔は、今後予定される長期孔内計測に活用するため、 孔底までケーシングパイプを設置し、8月1日(見込み)に、 孔口装置に蓋を設置して作業を終了する予定です。引き続き、 本年度第2次研究航海として、NT2-01地点において、 地震発生帯から延びる巨大分岐断層浅部をライザーレス掘削 により貫通し、掘削同時検層(LWD: Logging While Drilling) により岩石層序・構造・物理特性のデータを取得します。 また、来年度以降に予定している長期孔内計測の準備の 一環として簡易測定器を孔内に設置し、温度および圧力の 測定を開始します。 今後、乗船研究者が進める詳細な研究により、過去の地震の 記録が含まれている南海トラフの付加体の発達過程と 巨大地震・津波発生のメカニズムを解明する重要な知見が 得られることが期待されます。 (*)上記の予定は海気象等の状況によって変更することも あります。なお、「ちきゅう」の掘削作業の最新状況は、 下記URLの当機構ホームページで確認できます。 http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/Expedition/NantroSEIZE/special.html ※1 統合国際深海掘削計画 (IODP: Integrated Ocean Drilling Program) 日本・米国が主導国となり、平成15年(2003年)10月から 始動した多国間国際協力プロジェクト。現在、欧州、中国、 韓国、豪州、インド、NZの24ヶ国が参加。日本が建造・運航する 地球深部探査船「ちきゅう」と、米国が運航する掘削船を 主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船を加えた 複数の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、 地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を 目的とした研究を行います。 ※2 ライザー掘削 「ちきゅう」と海底の掘削孔を連結したパイプ(ライザーパイプ) の中をドリルパイプが通る二重管構造での掘削方法。 ライザーパイプとBOP(噴出防止装置)を用いて、海上での 泥水循環掘削(泥水で孔壁を保護し、地層圧力とバランスを 取りながら行う掘削)を行うことで、掘削孔の崩れを防ぎ、 より深くまで安定して掘削することを可能とします。 ========== 本プレスリリースの図・写真は、以下のウェブページで ご覧いただけます。 http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20090730/ また、乗船研究者による船上レポート、写真・映像なども 南海掘削特設ページでご覧いただけます。 http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/Expedition/NantroSEIZE/special.html ========================================CHIKYU MAIL NEWS====== 「ちきゅうメールニュース」登録中の方にお送りしています。 購読の登録・中止はこちらから http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/mailnews/ 「地球発見」ウェブサイトは、地球深部探査船「ちきゅう」と その科学と技術に関する情報ポータルサイトです。 http://www.jamstec.go.jp/chikyu/ 統合国際深海掘削計画(IODP)は、複数の科学掘削船を用いて 深海底を掘削することにより、地球環境変動の解明、 地震発生メカニズムの解明、地殻内生命の探求等を目的として 研究を行う国際研究協力プロジェクトです。http://www.iodp.org/ 海洋研究開発機構地球深部探査センターは、IODP日本実施機関として 地球深部探査船「ちきゅう」を運用しています。 発行:JAMSTEC/CDEX 海洋研究開発機構 地球深部探査センター ==============================================================