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IODP科学者が北極の気候変動の歴史を紐解く |
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| 2006年6月1日 |
| IODP科学者が北極の気候変動の歴史を紐解く |
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| ▲スウェーデンの掘削船「Vidar Viking号」は2004年8月-9月に北極海でコアを採取した。(Photo:
IODP/ESO) |
2004年の秋に北極海の海底を調査していた海洋掘削科学者のグループが、6月1日付Nature に新しい発見を発表しました。この調査は統合国際深海掘削計画(IODP)によって実施され、今回の発表には、北極点に近い北極海の海底下430mから採取された堆積物試料の解析結果が含まれています。この調査では、先史の気候が記録されている堆積物を採取するため、掘削やぐらを備えた1隻を含む計3隻の砕氷船が運航されました。今回採取された堆積物は、ロモノソフ海嶺における水深約1000mの地点のものです。
IODP北極海掘削計画(ACEX)に参加した科学者は、Nature に次のような発見を発表しました:
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北極海における海氷の存在が、これまで考えられてきたよりも前の、およそ4500万年以前に遡ること |
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およそ5500万年前に一度、北極の海面水温が亜熱帯レベル(摂氏約23度)まで上昇したこと |
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およそ4900万年前に一度、少なくとも夏期には、北極域の表層は淡水と大量のシダ類に覆われ、緑が広がっていたこと |
本航海の共同首席研究者のロードアイランド大学Kathryn Moran教授は、採取された堆積物の記録は、予想よりも数百万年間分も長いものであったと言います。このような採取が可能になったのは、難しい海氷の動向管理を戦略的に計画したことにあります。航海の計画者は、3隻の船隊では最大丸2日間までしか掘削船の位置を保持できないと予測していましたが、Vidar Viking号は、多年氷が漂う中、9日間も同じ位置を保持しました。この偉業によって、ACEX
の科学者は重大な記録まで達する海洋掘削を続けることができたのです。Moran教授は「科学者コミュニティーは、この特別な海氷管理の恩恵を受けている。北極海からの完璧な地質記録を研究しているのは、私達が最初である。」
もう一人の共同首席研究員であるスウェーデンストックホルム大学Jan Backman教授は、チャレンジングだった調査の状況をこう振り返っています。「時々、掘削地点が2-3mの厚さの海氷で覆われることがあった。一冬だけで形成された海氷よりも固くて圧縮された多年氷の流氷に直面していた。それはあたかもレンガ壁に突っ込むようなものだった。」回収された堆積物の上部(160m)は、過去1400から1600万年間は海氷が発達していたことを示していました。
ACEXの成果、掘削の位置図、コアの記載及び写真が掲載されている要約、
「IODP Proceedings, Volume 302」はオンラインで閲覧できます。
http://www.ecord.org/exp/acex/vol302/
その他の写真、航海日誌、乗船研究者のリスト等の詳細はこちら
http://www.ecord.org/exp/acex/302.html
IODP302航海は、欧州海洋研究掘削コンソーシアム(ECORD)が、IODPの3つの運用機関の一つで特定任務掘削船を担当するECORD科学運用機関(ESO)を通じて実施しました。ECORDは17カ国から構成され、IODPのメンバーとして貢献しています。IODPは海底下の観測及び掘削によって地球の科学的な理解を促進する計画です。20カ国の科学者を支援する国際計画であり、日本の文部科学省と米国の国立科学財団によって主導されています。www.iodp.org
◆日本から参加した科学者
高橋 孝三 (九州大学大学院理学研究院)
小野寺 丈尚太郎 (九州大学大学院理学府)
須藤 斎 (筑波大学地球科学研究科)
坂本 竜彦 (独立行政法人海洋研究開発機構地球内部変動研究センター)
鈴木 紀毅 (東北大学大学院理学研究科)
山本 正伸 (北海道大学大学院地球環境科学研究科)
リチャード・ジョーダン (山形大学理学部地球環境学科)
渡辺 真人 (独立行政法人産業技術総合研究所地質情報研究部門) |
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