
「ちきゅう」は忙しくも実りの多い1年を終えて、新たな1歩を踏み出そうとしている。2013年4月には国際ワークショップが開催され、新たなIODPでの「ちきゅう」プロジェクトについて詳細な議論が交わされる見込みだ。
(2013年3月 掲載)
| 取材協力 東 垣 地球深部探査 センター(CDEX) センター長 |
「ちきゅう」の歴史の中で、最も忙しい1年
2012年度の「ちきゅう」は、統合国際深海掘削計画(IODP)による科学掘削だけでも三つのプロジェクトを実行しました。
春から夏にかけて進めた「東北地方太平洋沖地震調査掘削(JFAST)」は、科学掘削の長い歴史の中で、おそらく最も迅速に進めたプロジェクトです。天候の不順、機器の故障などに悩まされながらも、最終的には目的を果たすことができました。この研究成果の1つが、アメリカの科学誌『Science』2013年2月8日号に掲載されました。プロジェクトの立案から学術論文の発表まで見ても非常に短期間に行うことができたのは、未曾有の災害に対する研究者の熱い想いだったと思います。2011年の東北地方太平沖地震の発生に端を発した緊急事態に対応し、この国際プロジェクトを進めることができたことは、今後の活動に向けての大きな経験になったといえるでしょう。
秋に行った「下北八戸沖石炭層生命圏掘削」では、水深1,180mの海底を2,466mまで掘削することに成功しました。この掘削では、「ちきゅう」のライザー掘削技術を存分に発揮し、非常に良い状態で石炭試料を取ることができました。この研究の成果が発表されるのはまだ先のことですが、良い分析結果が期待されます。
冬に進めた「南海トラフ地震発生帯掘削」は、残念ながら掘削深度は、当初の予定である海底下3,600mから2,000mまでに留まりましたが、予定を変更し、平成26年度に予定していた他地点における掘削を実施しました。流速6ノット(時速約11km)の強い海流(黒潮)にとどまっての掘削は、想定以上の困難さがありましたが、海底下2,000m以深の掘削は、来年度に再開が決まっています。
この1年、「ちきゅう」はその歴史の中で、最も忙しい時間をすごしました。多くの研究者に活躍してもらい、また研究者のさまざまな要望を受けとることもでき、「ちきゅう」とそのスタッフにとって、実りの多い1年でした。願わくば、こうした年をこれからも繰り返して、「ちきゅう」の科学掘削能力を向上させていきたいものです。
- |1|
- 2|

