地球発見 まだまだ知らない「ちきゅう」がある。

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海底泥火山での挑戦

コアの試料のX線CT画像

コアの試料のX線CT画像

 ハイブリッド保圧コアシステムの確立と運用には色々な苦労があったという。システムを開発し、製作自体はそうした器具の作成を専門とするメーカーに委託する。テストを行い、設計に改良を加えた上で、再び製作する。こうして完成されたシステムは、2012年の6月、紀伊半島沖、水深2000メートルの海底にある泥火山で実際の運用が行われた。泥火山は地下深くから泥が噴き出したもので、泥と破壊された岩石、メタンハイドレートが混ざり、普通に試料を採取することさえ難しい。圧力は保っているのに、中身がほとんどないということもあった。だが、試験5日目に採集された試料をX線で調べると、画面に泥と、泥火山の噴火で破壊され、深部から運ばれた岩石の礫(レキ)、そして編み目のように広がるメタンハイドレートの姿が浮かび上がったのである。内部の圧力はおよそ200気圧。現場の圧力を保持し、海底下にあった堆積物本来の姿をそのままとどめた初めての試料だ。この意義は大きい。海底下の世界でどのようなことが起こっているのか? このシステムは謎の解明に大きく貢献してくれるはずだ。

水口 保彦