地球発見 まだまだ知らない「ちきゅう」がある。

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私たちは"聴診器"と"内視鏡"を手に入れたことになる

東南海地震発生前から東南海発生に至るまで

東南海地震発生前から東南海発生に至るまで

 巨大地震が発生する前には、海底下の浅い深度で微小地震が活発化してくると考えられており、これは通常では見られない現象である。DONETではそうした微小地震の変化をとらえることを期待されている。
 また海底の深度にも変化が起きる。通常時、沈み込むフィリピン海プレートに引きずられるように、DONETを設置した海底も深度が深くなる。しかし地震発生直前には、その現象が逆転し、深度が浅くなるとみられている。DONETの水圧計は1cmの水深変化も見逃さない。20か所の観測点で海底の変化をとらえることで、「面」としてのデータを得ることができる。「DONETは、いわば聴診器なのです。今回接続された長期孔内観測装置は、こうしたデータをより精緻にするでしょう」と金田プロジェクトリーダー。歪計では海底下深部での力がどのように変化しているのかを察知し、温度計では海底下深部での流体の動きを感知することができる。どちらも地震活動に密接とみられる要素である。
 DONETが聴診器ならば、長期孔内観測装置は内視鏡であり、両者をあわせることで、私たちはより地球の“健康状態”を知ることができるのだ。そして、こうした精密なデータは、地震・津波被害予測などにとっても重要な役割を果たすと期待されている。

より広く、より深部へ!

 今後の発生が懸念されている東南海地震は、南海地震と連動するといわれている。実際、過去には連動して発生した例も多い。連動性を調べるために進められているのが、徳島県海部郡海陽町から高知県室戸市へとケーブルをつなぎ、四国南東へと展開が進められているDONET2である。7個のノードと29か所の観測点が設置される予定で、3年以内に完成の見込みだ。そして将来的に土佐沖から日向灘にもDONETのような観測網を展開する必要があるという。
 一方、海底下深部の観測装置は、最終的には地震の巣といわれる海底下数千mの設置を目指している。「今回の接続は、その第一歩となるものです」と金田プロジェクトリーダーはいう。まずは1,000m級で装置を検証し、そのデータを反映させて新たな観測装置を作っていく。さらなる深部に設置するときには、「ちきゅう」の活躍も期待される。

南海トラフ巨大地震の津波シミュレーション

金田義行