封じ込めへの展望
分析が進む一方、将来的な展望もある。「下北八戸沖合の石炭層は何枚もの層に分かれていました。石炭は二酸化炭素を吸着しやすい性質がありますが、非常に通しにくい性質があります。一方で、石炭層の間は、隙間の多い砂の層があります。「夾炭層」と呼ばれるこうした地層環境に、将来的には、温室効果ガスである二酸化炭素を封じ込める技術が確立されるでしょう。地下に送りこまれた二酸化炭素は、微生物によって天然ガス(メタン)に変えられるかもしれません。あるいは炭酸塩鉱物になって地層を固めるかもしれません。それを調べるには、孔の内部にセンサーを設置し、実験的に送り込んだ二酸化炭素がどう広がるのか、それをモニターする必要があります。」稲垣上席研究員は、長大な時間スケールでゆっくりと循環する地下の炭素を、人間が桁外れの勢いで石油を燃やし二酸化炭素にして大気に放出していることを憂慮している。「地上と地下、2つの世界は時間スケールがまるで違うのです。人間がそれを崩したのなら、戻せるのは人間だけでしょう。」下北八戸沖の地下に広がる生物と石炭の関係。2012年の掘削調査の成功と研究は、こうした夢の炭素・エネルギー循環システムにもつながる第一歩なのだ。
海洋研究開発機構 高知コア研究所で活躍する研究スタッフ

