科学分析の方法

採集された砂試料は、実験室でより詳しい分析を行います。

01.試料準備 野外授業で採集した砂試料は、実験室でより詳しい分析を行います。まずバルク試料をふるいにかけて、250μm(マイクロメートル)よりも粗いものを取り除きます(1マイクロメートルは1/1000ミリメートル)。粗いものには岩片などが多く、単結晶の鉱物に分離されていないものが多いからです。その後、ふるいにかけた試料と椀かけで濃縮した重鉱物の2種類の砂試料のそれぞれについて、薄片と呼ばれる試料に加工します。

02.薄片製作
岩石や鉱物をスライドガラスに貼り付けて薄く削ったものを薄片と言います。不透明鉱物を除く鉱物は非常に薄くすると光を透過するようになり、顕微鏡で観察することが可能になります。
薄片製作
採取した砂試料の観察準備
  • さ野外で採集したバルクの砂試料をふるいにかけて、250μm(マイクロメートル)よりも粗いものを取り除く
  • 濃集させた重鉱物の試料は、重液と呼ばれる比重の大きい液体で、さらに純度良く重鉱物を濃集させる(重液分離)
  • 砂試料は、そのままではバラバラになってしまうため、エポキシ系接着剤と混ぜてペースト状にし、スライドガラスに貼り付けて固定する。
  • 完全に固化したら、グラインダーなどで削って観察できる厚さまで薄くする。

* 重液分離とは?
水よりも比重(密度)の大きい液体を重液と言います。軽鉱物の密度は2.6から2.7 g/cm3くらいなので、これよりも比重の大きな液体の中では軽鉱物は浮きます。一方、重鉱物の密度はおおむね3.0 g/cm3以上なので、液の密度をこの間に調整してやれば、軽鉱物は浮き、重鉱物は沈みます。このようにして鉱物を分離する作業を重液分離と言い、鉱物分離の手法の一つとしてよく使われています。

03.顕微鏡観察 偏光顕微鏡という特殊な顕微鏡を用いて、薄片の観察をします。顕微鏡観察によって、肉眼(ルーペ)で見た時よりも詳細に鉱物の種類や組織などの特徴を観察することができます。
04.電子顕微鏡による観察と化学組成分析
電子顕微鏡
鉱物の中には通常の顕微鏡観察だけでは見分けのつきにくいものもあります。そういった鉱物は、電子顕微鏡で化学組成を測定することによって判別します。また、鉱物の中には同じ種類であっても化学組成が微妙に異なるものがあります。たとえば、斜方輝石の化学式は(Fe, Mg)2Si2O6で表されますが、この最初の項「(Fe, Mg)2」 は、鉄(Fe)とマグネシウム(Mg)を足して2になる、という意味です。 つまり同じ斜方輝石であっても、Fe : Mg = 1 : 1のものもあれば、Fe : Mg = 0.5 : 1.5のものもあるということです。電子顕微鏡を用いた化学測定ではこういった化学組成の違いを明らかにすることができ、それによって、それぞれの鉱物の起源などを推定することができる場合があります。
05.年代測定 ジルコンやモナズ石といった鉱物は、ごく微量の放射性元素(ウランやトリウムなど)を含んでいます(もちろん微量なので、人体には無害です)。これらの元素は鉱物ができた時に取り込まれ、その後、徐々に崩壊して他の元素に変わっていきます(放射壊変)。この崩壊は一定の速度で起こるので、今残っている放射性元素の量と、それが崩壊して新しくできた元素の量の比をとれば、今から何年前(実際には何万年、何億年という単位ですが)に、この鉱物ができたのかを知ることができます。これらの鉱物は、あたかも鉱物ができた時にタイマーのスイッチを入れたかのように正確に時を刻んでおり、これは鉱物の起源を知る非常に有力な手がかりとなります。
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