一般向けCINDY2011関係情報

ここでは、一般の方向けに、我々の今年度のプロジェクトであるCINDY2011に関する日本語の情報を載せています。最新の関係論文リストも含めた研究者向けの日本語での情報は、こちらにおいてあります。本Webに関してのお問い合わせは、Topページを参照して下さい。

0.MJOとは?

MJOは、正式にはマッデン・ジュリアン振動(Madden-Julian Oscillation)といいます。米国の研究者のRoland MaddenとPaul Julianが、1971年に発見したのでこう呼ばれます。日本が位置する中緯度域では日々の天気は高・低気圧によって左右されますが、赤道域ではこのMJOが重要な役割を果たします。MJOの特徴として、(1)ゆっくりと東向きに進む数千km(数10°)の大きさを持つ雲の群れ(雲群)、(2)雲群は主にインド洋で発生し、西太平洋の暖かい海水面上でだけ見られる、(3)同じ場所では30-60日程度の周期で現れる、等が挙げられます。

1.MJOは何をしているの?

MJOは熱帯の日々の天気に大きく影響を与えています。それだけでなく、低緯度域における季節(卓越風:モンスーン)の入れ替わりにも関係していますし、エルニーニョ現象の発生・終息や、熱帯低気圧発生への関係も明らかになっています。そうしたことから、MJOは、地球規模での気候や異常気象にも影響を与える現象として注目されています。

2.MJOの何が分かっていないの?

これまでMJOに関して数多くの研究が行われてきました。しかし、(1)大規模な雲群がどのようにインド洋上でで出来上がるのか、(2)出来上がった雲群が、どうしてゆっくりと東向きに進むのか?、等の基本的な問題点が未だに解明されていません。その理由の1つとして、熱帯海洋上での観測データが圧倒的に不足していることが挙げられます。また、MJOに関する我々の理解不足を反映して、日々の天気予報等で使われる殆どの数値モデルで、MJOを適切に再現することができず、大きな問題となっています。

3.CINDY2011では何をするの?

MJOの発生海域であるインド洋において現場観測を行って、上記の疑問である、「MJOに伴う大規模な雲群がどのようにインド洋上で出来上がるのか」を明らかにしようと考えています。観測には、JAMSTECの観測船「みらい」を使いますが、1地点だけでは得られる情報に限りがありますので、米国NOAAの観測船や、アフリカから西太平洋までの赤道に沿った陸上観測地点(ケニアのナイロビからパプアニューギニアのマヌス島まで)と協力しながら、広い範囲でのできる限り緻密なデータを取ろうとしています。

schematic_mjo

上図:MJOがインド洋で発生し、発達しながら西太平洋まで移動していく様子が模式的に描かれている。

下図:MJOの影響について模式的に描かれている。

role_of_mjo