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大気海洋相互作用研究プログラム

相互作用セミナー

第43回相互作用セミナー

日時
3月10日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM
発表者
安藤 健太郎
タイトル
50代後半の研究者が最近流行りのPythonで仕事をしてみた2020年
要旨
2020年はコロナで大変な年になりました。JAMSTECでも2020年の3月から在宅勤務が可能となりました。在宅勤務が始まった当初は、多くの会議がまずは延期もしくは中止となり、皆さんは解析や論文書きのための時間ができたと思います。私は、完成間際だった論文を投稿したのち、前年からの懸案だったセイルドローンの解析をしようと考え、まずはnetCDFを読む事に取り掛かりました。調べていくとPythonがnetCDFを読むのに楽という情報を得て、Anacondaを入れると案外スムースに読めてしまい、解析を始める事ができました(4月)。ただ、残念ながら解析したデータは論文化ができるような現象を捉えていなくて、状況の解析で終わっています(5月)。その後、TPOS2020の最終報告書の一部分担を依頼され(5月半ば)、西太平洋のトライトンブイの塩分データの見直しを行うこととして、Pythonを使ってみることにしました。その後、解析結果を元にTPOS2020の分担者たちと議論を行いました(6月から7月)。
 そうこうしている内に、文部科学省の仕事の一つであるGEO/AOGEOで、2019年のキャンベラ会合において豪州が実施すると約束していた統合優先課題(IPS)データセット(Sentinel, Landsat7&8, ALOSが主)の維持が困難という状況になりました。このシステムでは豪州が作成したPythonベースのOpen Data CubeとオープンソースのJuputerやPostgreSQLを使うものでした。関係国間で議論した所、豪州一国でなくて関係国で分担すればよいということになり、日本以外の韓国、中国、豪州にも分担を提案して維持する方向に変更しました(10月)。その後、日本の分担分については、日本国内の関係機関に依頼しましたが上手く受けてもらえず、アルゴグループの赤澤さんのサポートを得ながら、デモを作成することとになりました。衛星データの解析等行ってこなかったので、結構大変で最低限の事しかできませんでしたが、AOGEOシンポジウムでの発表には間に合わせることが出来ました。ただ実はこの作業は、年度当初のセイルドローンやTPOSの解析の中でのPythonの勉強が役に立ちました。
 セミナーでは、これらの一連の解析の結果を示すことで、50代後半でもPythonがそこそこ使えるようになることを示し、新たな言語はなあと思っているであろう年配の研究者の方々に元気と勇気を与えたいと思っています。

第42回相互作用セミナー

日時
3月3日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM
発表者
植木 巌
タイトル
暖水プール北部における海洋と大気の変動
要旨
暖水プール北部の13N,137Eにてフィリピン海ブイによる表層係留観測を2016年12月より開始した。今回のセミナーでは得られたデータの紹介と共に、暖水プール北部での海洋と大気の変動をレビューしつつターゲットと成り得る現象を整理する。

第41回相互作用セミナー

日時
2月24日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM
発表者
森 修一
タイトル
Weather radar detection of planetary boundary layer and smoke layer top of peatland fire in Central Kalimantan, Indonesia
要旨
2015年8月から10月の乾期において、泥炭火災の多発地帯であるインドネシア・カリマンタン島パランカラヤのBMKG(インドネシア気象気候地球物理庁)Cバンド現業レーダーにより、観測半径100km内の高度2~3km以下に-19~+34dBZの反射強度を持つエコーを検出した。
レーダー画像の時間変動は、熱帯大気境界層形成の日周期を示しており、これは再解析データから求めた大気屈折率と相当温位の鉛直プロファイル日変化とも矛盾ない。レーダー反射エコーは大気境界層トップによるブラッグ散乱と考えられ るが、いまだ議論のあるところである。
今回の結果から、現業気象レーダーによる煙霧層トップの監視が泥炭火災のリア ルタイム管理支援に役立つ可能性を持つ。
参考文献:Rahman, et al. (Sci. Rep. 2021)

第40回相互作用セミナー

日時
2月17日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM
発表者
名倉 元樹
タイトル
Interannual variability in sea surface height at southern mid-latitudes of the Indian Ocean
要旨
This study examines interannual variability in sea surface height (SSH) at southern mid-latitudes of the Indian Ocean (10°-35°S). Our focus is on the relative role of local wind forcing and remote forcing from the equatorial Pacific Ocean. We use satellite altimetry measurements, an atmospheric reanalysis and a one-dimensional wave model tuned to simulate observed SSH anomalies. The model solution is decomposed into the part driven by local winds and that driven by SSH variability radiated from the western coast of Australia. Results show that variability radiated from the Australian coast is larger in amplitude than variability driven by local winds in the central and eastern parts of the south Indian Ocean at mid latitudes (between 19° and 33°S), whereas the influence from eastern boundary forcing is confined to the eastern basin at lower latitudes (10° and 17°S). The relative importance of coastally forced variability at mid latitudes is due to the weakness of wind stress curl anomalies in the south Indian Ocean. Our analysis further suggests that SSH variability along the west coast of Australia originates from remote wind forcing in the tropical Pacific, as is pointed out by previous studies. The zonal gradient of SSH between the western and eastern parts of the south Indian Ocean is also mostly controlled by variability radiated from the Australian coast, indicating that interannual variability in meridional geostrophic transport is driven principally by Pacific winds.

第39回相互作用セミナー

日時
2月10日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM
発表者
城岡 竜一
タイトル
陸域長期連続観測におけるメタデータについて
要旨
我々が実施している陸域の長期連続観測で得られるデータについて、公開や提供を念頭においたメタデータやデータ構造の在り方を、パラオのAWS(地上気象観測装置)を例として考察した。
コロナ禍により新規データの入手が滞っている現状を機に、新しい形式への移行を目指したが、いまだに検討中の状態から抜け出せていない。

第38回相互作用セミナー

日時
2月3日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM1
発表者
勝俣 昌己
タイトル
「みらい」降雨レーダー偏波情報利用の現状と今後
要旨
「みらい」降雨レーダーは2014年に偏波機能を付加され、熱帯から極域に至る多彩な海域・事例で観測データの蓄積が進んでいる。一方で、偏波情報を用いた成果創出の現状は、陸上型偏波レーダーと同水準には至っていない。本発表では、「みらい」レーダー偏波情報の利用の現状及び今後の方向性について概略を紹介する。

第37回相互作用セミナー

日時
1月27日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM2
発表者
松本 淳
タイトル
Some problems on the Philippines monsoon
要旨
In this presentation, some problems on summer and winter monsoons over the Philippines will be discussed. First, the intraseasonal monsoon variations in summer monsoon season after the monsoon onset will be shown. Second, the pre-monsoon rainfall situation will be introduced.
Finally, winter monsoon related problems will be introduced.

第36回相互作用セミナー

日時
1月20日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM1
発表者
藤田 実季子
タイトル
Wave Gliderを用いた海上可降水量観測
要旨
2018年7月にパラオ沖で実施したWave Gliderに搭載したGNSSによる可降水量観測について紹介する。ラジオゾンデや他衛星との比較からこれまでの船舶上のGNSS可降水量とほぼ同等の精度で計測可能であることが確認できた。

第35回相互作用セミナー

日時
1月13日(水)13:00~14:30
場所
ZOOM
発表者
米山 邦夫
タイトル
YMC-BSM 2018 及び 2020において得られたラジオゾンデ・湿度データの評価
要旨
ここでは、異なるタイプのラジオゾンデの湿度データの評価を、ラジオゾンデの同時飛揚観測とGNSSから求めた可降水量との比較から行った結果を示す。また、このような比較観測ができずに得られたデータに対する補正の実施有無の判断に関する手法を提案する。
2018年の7月から8月にかけて行われたYMC-BSM 2018中、フィリピン・ラワーグにおいてロッキードマーチン社のラジオゾンデLMS6とヴァイサラ社のラジオゾンデRS41-SGPの同時飛揚による比較観測を行った。両者の相対湿度の差は、常にLMS6が乾燥傾向を示すものの、その差は対流圏下層において5%程度と現業データとしては、仕様の範囲内であった。しかしながら、GNSSから得られた可降水量との比較から、RS41-SGPがより精度が高いと判断された。そこで、RS41-SGPを基準としてLMS6データの補正を、観測値の相対湿度と温度の関数として補正項を導出する形で行った。
一般に、同時飛揚やラジオゾンデ以外の独立した測器により得られた湿度データを用いて精度を評価することが望ましいが、必ずしもそのようなデータが取得されるとは限らない。実際に、YMC-BSM2020では比較観測を実施していない。この観測で得られたミクロネシア連邦ヤップにおけるデータもLMS6によるものである。
前述のYMC-BSM2018で得られた補正手法をそのまま適用してよいかどうかの判断が必要である。そこで、ラジオゾンデデータしか入手できない場合の1つの方法として、ラジオゾンデで取得される大気境界層(ここでは300mの厚さ一定とした)の平均絶対湿度と、ラジオゾンデの初期値として入力されている気象台が独自に計測している地上気象で得られた湿度データを比較することで、日射を受ける日中のデータと日射補正の必要のない夜間のデータそれぞれにおいて、前述2つのパラメータの差の傾向から、判断を行った。本研究で使用したデータでは、両者にラワーグ観測と同様の傾向を確認したため、2020年のヤップで取得されたデータに対して、2018年のデータから導出した値を適用することとした。この手法は、比較観測などがないデータに対して補正の有無の必要性を判断する1つの方法足りうる。

第34回相互作用セミナー

日時
12月23日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM2
発表者
荻野 慎也
タイトル
YMC-BSM2018で捉えられた東南アジアにおけるオゾン変動
要旨
夏期のアジアモンスーンに伴う中緯度・熱帯の物質交換過程を捉えるためYMC-BSM2018の一環としてベトナムとインドネシアにおいてオゾンゾンデ・水蒸気観測を実施した。捉えられた変動の一つとして、ベトナム・ホーチミンでは1ヶ月程度の時間スケールを持った気圧・気温およびオゾンの変動が認められた。この変動は、観測期間中に東南アジアから西太平洋域で活発化したBSISO対流と関連したものと考えられる。

第33回相互作用セミナー

日時
12月16日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM2
発表者
堀井 孝憲
タイトル
スマトラ・ジャワ島南の沿岸湧昇に関連するクロロフィル変動
要旨
インド洋東部、スマトラ・ジャワ島沿いで発生する沿岸湧昇はインド洋ダイ ポール現象の発生・発達に関わる重要な現象である。この沿岸湧昇を理解する ために、衛星観測および再解析データを用いて、季節変動および季節内スケー ルの変動に焦点を当てて、ジャワ島南のクロロフィル変動を調査した。元の データには欠損値が非常に多いため、まず時間・空間的に補間を行い日ごとの 時系列を作成した。解析の結果、ジャワ島南のクロロフィル変動には主に年変 動、次に半年変動が卓越していた。季節内スケールの変動は常に卓越するわけ ではないが、場合によって海面高度や海面水温の低下と同期したクロロフィル 変動のピークが観察された。セミナー発表では、インド洋ダイポール現象の発 生期に目立つ短周期の変動についても議論したい。

第32回相互作用セミナー

日時
12月9日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM2
発表者
鈴木 順子
タイトル
YMC-Sumatra2017に観測された力学場とオゾンの短周期変動
要旨
2017年12月にインドネシア・ベンクルにて実施した、YMC-Sumatra2017の期間中にみられたオゾンと力学場の変動について、1日(24時間)以下の成分に着目した解析結果を報告する。頻回オゾン観測の期間中、対流圏のオゾン混合比の鉛直プロファイルは鉛直にほぼ一様であり、空気塊が鉛直によく混合していた。いっぽう頻回観測期間後には、対流活動は非活発であり、一様性に乏しかった。下部成層圏では、高度22km付近に重力波に起因すると見られる等オゾン混合比層があった。また、25-30kmには、オゾン混合比が小さくなる時間帯があり、Sakazaki et al. (2015, ACP)で報告されているオゾンの日周期変動が存在していることが分かった。

第31回相互作用セミナー

日時
12月2日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM1
発表者
服部 美紀
タイトル
Pre-YMC2015におけるみらいラジオゾンデ観測のMJOおよびコールドサージに対する同化インパクト
要旨
Pre-YMC2015におけるみらいラジオゾンデ観測がMJOやコールドサージの解析へ与える影響について、アンサンブルデータ同化システム(ALEDAS2)を用いて調べた。MJOに伴う西風域が観測点に到達する前後で、同化による差の顕著な領域が観測点の西側から東側へ遷移する特徴が見られた。ベンガル湾や南シナ海、西部太平洋の偏東風が蛇行する領域においても差が増加する傾向が示された。比湿の差も対流活発域の東進に伴い東進するが、ベンガル湾周辺では同化による南風偏差に伴い比湿が増加する傾向が見られた。コールドサージについては、南シナ海における北東風の発達に伴い観測域周辺および南シナ海、インドシナ半島において2m/sを超える南北風の差が見られた。特に、Borneo Vortex の発生・発達・西進とそれに伴うベンガル湾での北東風の解析に対して差が大きいことが示された。誤差減少率では、MJOの通過前は観測点より西のインド洋で、通過後は西風が到達する中部太平洋域まで、10%を超える大きなインパクトが現れた。南シナ海からインドシナ半島においては、Borneo Vortex の解析に対して5-10%の減少が見られ、みらいによる観測の影響が大きいことが示された。

第30回相互作用セミナー

日時
11月25日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM1
発表者
清木 亜矢子
タイトル
北半球夏季季節内振動と太平洋ー日本パターンの季節内規模での関係
要旨
フィリピン海における積雲対流活動は、北半球夏季に太平洋-日本パターン(PJパターン)を発生させ東アジア域へ遠隔影響を及ぼすことが指摘されている。一方、熱帯には大規模な積雲対流活動を伴う季節内変動が存在し、夏季には北東進する北半球夏季季節内振動(BSISO)が卓越している。BSISOはフィリピン海における対流活動へ大きな影響を与える一方、PJパターンとの関係はあまり研究されていない。本研究では、季節内規模に着目してBSISOとPJパターンとの関係について調査した結果を報告する。

第29回相互作用セミナー

日時
11月18日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM2
発表者
耿 驃
タイトル
Variation of Radar-Observed Precipitation Characteristics in Relation to the Simultaneous Passages of a Madden-Julian Oscillation Event and Convectively Coupled Equatorial Waves during Years of the Maritime Continent Pilot Study
要旨
In this study, we examined the variations of precipitation morphology and rainfall in relation to the simultaneous passages of a Madden-Julian Oscillation (MJO) event and convectively coupled equatorial waves (CCEWs) observed during Years of the Maritime Continent pilot study. This study utilized the globally merged infrared brightness temperature data and the radiosonde and radar data observed aboard the research vessel Mirai at 4°4′S, 101°54′E. Besides the observed MJO event, the equatorial Rossby waves (ERWs), Kelvin waves (KWs), and mixed Rossby-gravity waves (MRGWs) were identified. The radar data exhibited a high-frequency variation mainly caused by KWs and MRGWs and a low-frequency variation mainly caused by the MJO and ERWs. MRGWs predominantly modulated convective echo areas as well as convective and stratiform volumetric rainfall. On the other hand, the MJO event had no contribution to the variance of convective echoes. Moreover, stratiform echo areas and volumetric rainfall were more modulated by the combined effect of the MJO, ERWs, KWs, and MRGWs than their convective counterparts. The intense development of stratiform echo areas and volumetric rainfall was coherent with the superimposition of the active phases of the MJO event and all CCEWs. The strongest development and a significant reduction of convective echo-top heights before and after the peak MJO date, respectively, were coherent with the passages of ERWs and MRGWs, which were the dominant wave types in modulating echo-top heights. Thus, it appears that the superimposition of the CCEWs on the MJO event exerted complex modulations on convective activities within the MJO event.

第28回相互作用セミナー

日時
11月11日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM1
発表者
茂木 耕作 (DCOP)
タイトル
令和2年7月豪雨における梅雨前線の停滞要因
要旨
令和2年7月豪雨は、2020年7月3日から7月31日にかけて、熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で発生した一連の集中豪雨を指す。特に降水量が多かった九州付近の東経130度における梅雨前線の位置を追跡すると、7月3日から29日まで北緯30度から35度の緯度帯内に停滞し続けていた。Moteki and Manda 2014は、九州付近における梅雨前線の停滞には、黄海高気圧の維持が必要条件であり、通常の年では、7月中旬から下旬にかけて黄海高気圧が衰退して梅雨明けとなることを示した。今年の7月は、黄海の海面水温が例年より1−3℃ほど低く、黄海高気圧がより長期間維持されやすかったと考えられる。更に、黒潮より南側の太平洋域の海面水温は広く高温偏差が分布しており、北緯30度付近における水温コントラストが非常に強くなっていた。結果として、東シナ海上における梅雨前線が北緯30度付近に停滞しやすい条件が持続し、九州地域において長期間の断続的な豪雨をもたらしたと考えられる。

第27回相互作用セミナー

日時
11月4日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM1
発表者
永野 憲 (GOORC)
タイトル
2018/2019冬のセールドローン黒潮観測の解析結果と2020年度の観測計画
要旨
まず,2018/2019年冬に行ったセイルドローンによる日本南岸の黒潮での観測データの解析結果を紹介する。セイルドローンによって、日本南岸沖の黒潮の流軸付近に存在するメソスケールの高温の領域(メソスケール暖水斑)のデータを取得することができた。このメソスケール暖水斑の上で、冬季モンスーンの北風の強化と、さらに小規模(サブメソスケール)の海面気圧の変化が観測された。このことから、黒潮のメソスケール暖水斑に大気境界層が圧力調整応答をしていることがわかった。今年度もセールドローンミッションを予定しており、2018年度の観測で得られた経験をもとに黒潮続流の横断観測を行う計画を立てた。セミナーでは、今年度の黒潮続流での観測計画を紹介したい。

第26回相互作用セミナー

日時
10月21日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM1
発表者
Muhammad Rais Abdillah (バンドン工科大)
タイトル
East Asian cold surges and their impacts over the Maritime Continent
要旨
Cold surges are characterized by equatorward outbreaks of cold air in middle latitudes. Beside greatly affecting weather variability across East Asia, cold surges are of importance for Southeast Asian countries because they can propagate far to the tropics and excite convective activities. However, these tropical responses are highly dependent on the downstream pathways of the surges because they potentially control the transports of momentum and moistures in low latitudes. In this seminar, I will present a recent study that identifies several prominent pathways of cold surges, which result in distinct tropical signatures. These pathways and their impacts are partly influenced by preexisting synoptic conditions over the tropics, including the MJO. The use of extratropical cold surge indicators and carefully predicting surges interactions with associated tropical forcing may improve weather forecast over the Maritime Continent.

第25回相互作用セミナー

日時
10月7日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM2
発表者
伍 培明 (DCOP・JAMSTEC)
タイトル
The diurnal cycle of convection over Sumatra Island in an active phase of the MJO during the Pre-YMC observation campaign
要旨
This study examined the diurnal cycle of convection over Sumatra Island in an active phase of the Madden-Julian Oscillation (MJO) during the pre-Years of the Maritime Continent (YMC) observation campaign in December 2015, using observation data and an atmospheric model. Prior to an active phase of the MJO in early December, convection frequently occurred over the island in the afternoon. In contrast, during the active phase of the MJO in mid-December, afternoon convection over the island was suppressed, and a gap in convection aligned with the island was evident during the early morning hours. Numerical experiments successfully replicated the main features of the observed diurnal variation of convection. The results showed that in an active phase of the MJO, strong prevailing winds prevented the accumulation of heated and moistened air on the mountainous areas of the island. As a consequence, afternoon convection on the island was weakened. The convective suppression in the early morning was due to the decrease in atmospheric instability caused by a significant decrease in moisture in the lower level on the island. The diurnal cycle of convection played an important role in the convective suppression over Sumatra Island during an active phase of the MJO.

第24回相互作用セミナー

日時
9月9日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM1
発表者
趙 寧 (DCOP・JAMSTEC)
タイトル
粒子追跡で見た令和2年7月豪雨の水蒸気輸送
要旨
今年7月、日本では記録的な大雨が発生した。大雨の原因となった大量な水蒸気輸送について、再現実験と後方追跡モデルを用いて、我々が7月3日ー4日九州で発生した豪雨を注目し、その水蒸気の起源、輸送ルート及び輸送過程を調べた。 結果によると、インド洋・南シナ海 (6割) の他、熱帯太平洋 (2割) と西太平洋 (2割) を起源とした水蒸気もあった。熱帯からの水蒸気が約20N付近で合流し、太平洋高気圧の外縁に沿って、日本に届いたが、輸送中徐々に失っていた。一方、亜熱帯における西太平洋での対流湿潤過程(convective moistening)によって、中下層大気が湿潤され、下層風に乗って豪雨の水蒸気に供給した。本研究によって、熱帯からの水蒸気が重要だが、輸送中に発生した大気の乾燥・湿潤過程も豪雨に大きな寄与があった。

第23回相互作用セミナー

日時
5月20日(水)13:30~15:00
場所
RIGC_ZOOM1
発表者
横井 覚(DCOP)
タイトル
熱帯西太平洋夏季北進季節内変動に伴う 大気境界層熱・水蒸気変動
要旨
「みらい」MR08-02航海の一環で2008年6月6-27日に行われた熱帯西太平洋(12N,135E)での定点観測データを用い、北進季節内変動の対流活発位相通過前後の大気境界層の熱力学的特性について解析した。大気境界層準平衡近似のもとで対流ダウンドラフト質量フラックス(Md)と境界層上端でのエントレインメント質量フラックス(Me)を見積もり、その日々変動の妥当性を評価した。また、定点観測期間の前半11日(対流活発位相通過前)と後半11日(通過時)の間の変化を調べた。2期間でMeには統計的に有意な変化は認められなかったが、Mdは期間後半には前半に比べて約5倍増加したという有意な差が見られた。Mdに伴う湿潤静的エネルギー(MSE)流出量も約3.5倍増加していた。一方で、放射冷却に伴うMSE流出量は後半の方が前半よりも少なく、その差は統計的に有意であるものの、差はMdに伴う流出量の変化に比べて無視できるほど小さいものだった。海面フラックスによるMSE流入量やMeに伴うMSE流出量には有意な差は認められなかった。浮力フラックスの観点では、海面フラックスは後半に有意に流入量増加、放射は有意に流出量減少を示し、それぞれ対流-海面フラックス相互作用、対流-放射相互作用を反映しているが、定量的には後者は前者の約2割ほどの影響しか及ぼしていなかった。

セミナー係:sougosayou-seminar(at)jamstec.go.jp